Access Agilent 2014年11月号

コンプリヘンシブ 2D-LC とハートカット 2D-LC のギャップを埋める マルチハートカット 2D-LC

Jens Trafkowski
アジレントプロダクトマネージャ、液体クロマトグラフィー部門

LC のサンプルが複雑な混合物の場合、分離が困難になり、1 本の LC カラムで目的のピークが分離できなくなることがあります。この問題を解決するため、二次元液体クロマトグラフィー (2D-LC) システムの発売が開始されたこともあり、2D-LC による分析がいっそう普及してきています。ハートカット 2D-LC は現在多くのラボで使用され、 クロマトグラフィー性能の向上が必須のラボではコンプリヘンシブ 2D-LC の手法が用いられています。

標準的なハートカット 2D-LC 分析では緑の枠で囲まれたピークしか二次元目で分離されません。Agilent 1290 Infinity II 2D-LC システムでは、マルチハートカット機能により赤と緑の両方の枠内のピークを分離することができます。

図 1. 標準的なハートカット 2D-LC 分析では緑の枠で囲まれたピークしか二次元目で分離されません。Agilent 1290 Infinity II 2D-LC システムでは、マルチハートカット機能により赤と緑の両方の枠内のピークを分離することができます。(図を拡大)

標準的なハートカット 2D-LC 分析では緑の枠で囲まれたピークしか二次元目で分離されません。Agilent 1290 Infinity II 2D-LC システムでは、マルチハートカット機能により赤と緑の両方の枠内のピークを分離することができます。

図 1. 標準的なハートカット 2D-LC 分析では緑の枠で囲まれたピークしか二次元目で分離されません。
Agilent 1290 Infinity II 2D-LC システムでは、マルチハートカット機能により赤と緑の両方の枠内のピークを分離することができます。

マルチハートカット・バルブの構成 (左) とオンライン・モニタ・ビュー (右)

図 2. マルチハートカット・バルブの構成 (左) とオンライン・モニタ・ビュー (右)
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マルチハートカット・バルブの構成 (左) とオンライン・モニタ・ビュー (右)

図 2. マルチハートカット・バルブの構成 (左) とオンライン・モニタ・ビュー (右)

コンプリヘンシブ 2D-LC はきわめて複雑なサンプルにも最適で、大量の超高速グラジエントを二次元で組み込み、その結果大量のデータを生成します。ハートカット 2D-LC は特定のピークを再分離する際に使用されますが、二次元目のグラジエントを実行している間は、一次元目から溶出するピークのデータは失われます。図 1 の例では、緑色でマークしたハートカットのみが二次元目で分析されます。つまり、赤色のマークのハートカットは行われず、これらのピークに対してハートカット 2D-LC を行うには同じサンプルに対して分析を2回追加しなければなりません。

不要なデータは収集せず必要な分離能力すべてを得る

新しい Agilent 1290 Infinity II 2D-LC システムにはマルチハートカット機能が備わっています。スマート・バルブ設定で一次元目から溶出したピークを貯蔵し、二次元目の分析が終了して分析ができるようになるとすぐに、次のピークの分析を行います。これで図 1 で赤くマークされたものも含めてすべてのピークが二次元目で分析されます。

より正確に測定するための目的ピークの分離

医薬品製剤や化成品など合成化合物のクロマトグラフィー分析では、不純物と主化合物の分離や化学構造が類似した化合物の分離が不完全になり、しばしば悩まされます。合成プロセスをより適切に理解し、最高の製品品質を確保するには、これらの副産物を精確に識別することが必要です。Agilent 1290 Infinity II 2D-LC システムはマルチハートカット機能を備え、複数の 2D グラジエントを使用してクロマトグラム上の必要なピークに対して最適な分離を確実に行うことができます。

図 2 は アジレントのマルチハートカット機能を備えた 1290 Infinity II 2D-LC システムのバルブ構成を示しています。2D-LC 用の 2pos/4port Duo バルブにあった 2 つのサンプルループは、 ここでは 2個の 6pos/14port に接続しているループに相当します。この構成では 12個のループを接続でき、二次元目のグラジエントを実行中でも一次元目から溶出するピークを貯蔵することができます。オンライン・モニタ機能により、システムの分析状況やピークの貯蔵状況が表示され、バルブに関する必要な情報がすべて提供されます。

視覚的に表示することによりマルチハートカットのメソッド設定が簡単になっています

図 3. 視覚的に表示することによりマルチハートカットのメソッド設定が簡単になっています。(図を拡大)

視覚的に表示することによりマルチハートカットのメソッド設定が簡単になっています

図 3. 視覚的に表示することによりマルチハートカットのメソッド設定が簡単になっています。

新しいハートカット・ビューアーによるスマートなデータ解析

図 4. 新しいハートカット・ビューアーによるスマートなデータ解析(図を拡大)

新しいハートカット・ビューアーによるスマートなデータ解析

図 4. 新しいハートカット・ビューアーによるスマートなデータ解析

複雑なメソッドをより簡単に開発

メソッドの設定を簡単にするため、既存の 2D-LC ソフトウェアを拡張してマルチハートカット・メソッドを非常に簡単に設定できるようにしています。2D-LC メソッドのすべての情報が一目で分かり、さらに良いことに、メソッド設定時に参照クロマトグラムをアップロードしておくことにより、ピーク・ベースまたは時間ベースのハートカットを予測してサンプルを分析することができます (図 3)。

新しいツールでデータの分析を促進

一次元目の複数のピークそれぞれに対して 2D-LC 分析を行うマルチハートカットのクロマトグラムは、非常に複雑になることがあります。マルチハートカット分析で得られたすべてのクロマトグラムを分析するために、新しいハートカット・ビューアーを開発しました。図 4 に示すように、以下のデータ収集とそれらのリンクを一画面で表示します。

  • 完全な 1D クロマトグラム
  • 一次元目のリテンションタイム順に並んだ全てのハートカットのデータ表
  • 完全な 2D クロマトグラム
  • 二次元目のクロマトグラムを1つ選ぶことによる詳細なデータ分析

マルチハートカット 2D-LC は従来のハートカット 2D-LC とコンプリヘンシブ 2D-LC とのギャップを埋めます。もはや複雑なサンプルの複数のピークを分析するために何度も分析を行う必要はありません。

新しいマルチハートカット機能を備えた Agilent 1290 Infinity II 2D-LC システムは、必要なハードウェアをすべて備えたすぐに使えるシステムです。新しいハートカット・ビューアーを使用すれば、マルチハートカット 2D-LC のメソッド設定が簡単になり、優れたデータ分析を行うことができます。このシステムにより、2D-LC はすべての分析者にとって、より使いやすく、より高性能で、より最適なツールとなります。詳細については、新しい Agilent 1290 Infinity II 2D-LC システムについてのページをご覧ください