Access Agilent 2014年11月号

Agilent LC およびLC/MSソリューションによる 治療法の迅速な実用化

Koen Sandra 氏
Research Institute for Chromatography、Kortrijk、Belgium

Maureen Joseph
アジレントビジネス開発、LC カラム

モノクローナル抗体 (mAb) 治療法は 20 年以上にわたって使用され、癌や自己免疫疾患などの分野の治療として一般的になってきています。初期の mAb 治療法は現在、バイオ医薬品の「ジェネリック」つまりバイオシミラー・バージョンが開発される段階に達しています。mAb 治療の開発には、mAbの回収、精製、脱塩、特性解析、および 品質管理のためのさまざまな技術が含まれています。これらの技術の 1 つを紹介するために、本記事では還元型 mAb の逆相液体クロマトグラフィー/質量分析法に焦点を当て、重鎖と軽鎖を分析して生物製剤と有望なバイオシミラーを比較しています。

クローンとオリジネータの重鎖と軽鎖の逆相 LC/UV プロファイル

図 1. クローンとオリジネータの重鎖と軽鎖の逆相 LC/UV プロファイル(図を拡大)

クローンとオリジネータの重鎖と軽鎖の逆相 LC/UV プロファイル
 

条件、LC

カラム

Agilent ZORBAX RRHD 300SB-C8、2.1 x 100 mm、1.8 µm

移動相

A、0.1% TFA。B、0.1% TFA ACN 溶液

グラジエント

0~2 分、30% B、2~35 分、30~38.6% B、
0~2 分、30% B、2~4 分、30~38.6% B

流量

200 µL/min

注入量

5 µL 還元型 mAb (1 µg)、1 µL パパイン消化 (2 µg)、1 µL インタクト mAb (2 µg)

温度

80 °C

UV 検出

214 および 280 nm

図 1. クローンとオリジネータの重鎖と軽鎖の逆相 LC/UV プロファイル

軽鎖クローンのデコンボリューションされた MS プロファイル。

図 2. 軽鎖クローンのデコンボリューションされた MS プロファイル。(図を拡大)

軽鎖クローンのデコンボリューションされた MS プロファイル。
 

条件、MS

キャピラリー電圧

3,500 V

フラグメンタ電圧

200V (Lc, Hc)、350 V (インタクト mAb)

質量範囲

500~3,200 m/z (MS および MS/MS)

データ取り込みレート

1 スペクトラム/s

分解能

4 GHz 高分解能モード

データ解析

Agilent MassHunter BioConfirm (MaxEnt デコンボリューション)

図 2. 軽鎖クローンのデコンボリューションされた MS プロファイル。

重鎖クローンのデコンボリューションされた MS プロファイル。

図 3. 重鎖クローンのデコンボリューションされた MS プロファイル。(図を拡大)

重鎖クローンのデコンボリューションされた MS プロファイル。

図 3. 重鎖クローンのデコンボリューションされた MS プロファイル。

Agilent ZORBAX および Infinity ソリューションを使用して
クローンとオリジナルを簡単に比較

たとえば、図 1 は、有望なバイオシミラー・クローンとそのオリジネータの重鎖と軽鎖の逆相分離の比較を示しています。主な軽鎖と重鎖のピークは同じですが、クローンの 逆相分離ではいくつか異なったピークがあります。ピークの違いは、Agilent 1290 Infinity LC に取り付けられた Agilent ZORBAX RRHD 300SB-C8 1.8 µm カラム に UV 検出器を使用した場合の優れた分解能によって明らかになります。いくつかの違いを観察した後、ピーク同定を行うことができます。2 つのサンプルクロマトグラムのピークには a から g までのラベルが付けられているので、質量分析法でそれぞれを検証し同定することができます。

Agilent MS テクノロジーおよびソフトウェアによるクローンの同定

最初にサンプルクロマトグラムの軽鎖の部分のピークに注目します。Jet Stream ESI ソース付きの Agilent 6540 UHD Accurate-Mass Q-TOF LC/MS システム を使用すると、逆相 Agilent ZORBAX 300SB-C8 カラムが a から d までのピークの同定に十分な分解能を備えていることが分かります。データは Agilent MassHunter ソフトウェアで収集され、質量スペクトラムが抽出されました。分析の最終段階では、デコンボリューションが Agilent BioConfirm MaxEnt ソフトウェアによって実行されました。

オリジネータを比較すると、ピーク a とピーク b は軽鎖と 2 ヘキソースおよび軽鎖と 1 ヘキソースに由来していることがわかります (図 2 を参照)。ピーク d は、クローンとオリジネータでの同じ軽鎖の脱アミド化であることが観察できます。オリジネータとの比較では、多くの類似する構造的な特長にわずかな違いがいくつかありました。デコンボリューションには Agilent MassHunter BioConfirm ソフトウェアの最大エントロピー (MaxEnt) アルゴリズムが採用されました。BioConfim MaxEnt は、アーティファクトから「実際の」ピークを正確に決定する、広く認められているソフトウェアアルゴリズムで、わずかな違いを調べる場合に有効です。

クローンのグリコシル化された重鎖からのピーク e とピーク f (図 3) を観察すると、以前の実験 (本記事には掲載していない) で同定された G1F がクローンでは欠けていることが詳細に確認できます。C 末端リジンが付着したままの G0F のピーク e も観察できます。分子量はリジンの追加に比例して増加するため、本記事の高分解能 逆相 液体クロマトグラフィー/質量分析法手法はオリジネータと有望なバイオシミラーとの比較に最適なものとなります。

アジレントのソリューションによる短時間で正確な生物製剤の特性分析

アミノ酸および集合体からグリカンおよびチャージバリアントまでさまざまな生物製剤を分析するソリューションをアジレントは豊富に提供しています。アジレントの LC および LC/MS、または CE および CE/MSソリューションは、作業を完了するために必要なツールをすべて提供します。アジレントは、疾病研究から QA/QC、製造までのプロセスのあらゆる段階で、mAb 治療法を適切に市場に投入するうえでの正しい選択を支援しています。