Access Agilent 2014年11月号

アジレント LC/MS/MSを用いたEPA メソッド 545による 水中の藻類毒素を簡単に分析

Ralph Hindle
Vogon Laboratory Services、カナダ

Craig Marvin
アジレントグローバル環境産業マーケティングマネージャ

水中の汚染物質は人間の健康に対する脅威であり、迅速かつ信頼性の高い分析を必要とします。アジレントは、水道水質が米国環境保護庁 (EPA) のガイドラインを遵守していることを確認し、かつ、多忙なラボの確度と精度に対するニーズを満たす分析ソリューションを提供しています。

米国安全飲料水法では、EPA に対し、公共水系に発生する可能性のある規制外汚染物質の汚染物質候補リストを公表することを義務付けています。この汚染物質候補リストのバージョン 3 (CCL 3) には、飲料水に存在する可能性のある 3 種のシアノトキシン (藍藻毒)、ミクロシスチン LR、アナトキシン a (ANA)、およびシリンドロスパーモプシン (CYN)が含まれます。EPA はこれらのシアノトキシンに関するデータを収集するための飲料水中の ANA および CYN のレベルを測定する EPA メソッド 545 を開発しました。

Agilent LC/MS/MS で測定したアナトキシン-a (ANA) およびシリンドロスパーモプシンの MRM サンプルクロマトグラムおよび 2 種類の内部標準。

図 1. Agilent LC/MS/MS で測定したアナトキシン-a (ANA) およびシリンドロスパーモプシンの MRM サンプルクロマトグラムおよび 2 種類の内部標準。(図を拡大)

Agilent LC/MS/MS で測定したアナトキシン-a (ANA) およびシリンドロスパーモプシンの MRM サンプルクロマトグラムおよび 2 種類の内部標準。

図 1. Agilent LC/MS/MS で測定したアナトキシン-a (ANA)
およびシリンドロスパーモプシンの MRM サンプルクロマトグラムおよび 2 種類の内部標準。

ANA および CYN の最低濃度最小報告レベル (LCMRL) (ANA は 0.018、CYN は 0.038 µg/mL)

図 2. ANA および CYN の最低濃度最小報告レベル (LCMRL) (ANA は 0.018、CYN は 0.038 µg/mL)(図を拡大)

ANA および CYN の最低濃度最小報告レベル (LCMRL) (ANA は 0.018、CYN は 0.038 µg/mL)

図 2. ANA および CYN の最低濃度最小報告レベル (LCMRL) (ANA は 0.018、CYN は 0.038 µg/mL)

水道水に含まれる毒素は極めて有毒な可能性がある

シアノトキシンはシアノバクテリア (藍色細菌) により生産され、湖や海で広い範囲にわたりブルームを形成します。この毒素のレベルは、動物や人間の致死量にまで達することがあります。藍色細菌が生産するシアノトキシンは、人間の肝臓や腎臓に被害をもたらす CYN と、協調運動障害やけいれん、ひきつけ、呼吸麻痺による死亡など、人間に急性的影響を与える神経毒 ANA の 2 種類です。

米国オハイオ州トレドで最近起こった事件では、水中のミクロスチン LR の深刻さとこのような汚染物質を検査することの重要性がクローズアップされました。トレド市の住民は、エリー湖から供給される水に、これらの毒素が存在するので、水道水を飲まないようにと勧告されました。50 万人以上の住民が影響を受け、非常事態が宣言されました。

効果的なシアノトキシン分析結果をもたらすアジレント LC/MS ソリューション

LC/MS/MS は、シアノトキシン分析に効果的なテクニックで、EPA 545 が規定する最低濃度最小報告レベル (LCMRL)、精度、および正確度の値を提供します。ANA および CYN の調査では、感度を上げるため、 Agilent 1290 Infinity バイナリ LC とともに、Agilent Jet Stream イオン化技術を使って設定した Agilent 6460 トリプル四重極 LC/MS を使いました。Agilent Polaris C18-Ether LC カラムの選択性により、極性化合物の保持が高まりました。

この設定で作られた MRM サンプルクロマトグラムを図 1 に示します。これより、2 種類のシアノトキシンの完全な分離能と内部標準がわかります。

0.005~0.050 µg/L の検量線を使用し、シアノトキシン 0.010 と 0.020 µg/L の両方について、繰り返し分析を 2 セット実行しました。その後、9 種類の添加レベルを計算し、両方の化合物について LCMRL を決定しました。図 2 に LCMRL の結果を示します。これより、ANA の 0.018 µg/mL と CYN の 0.038 µg/mL は、EPA メソッド 545 が既定している値 (ANA は 0.018 µg/mL、CYN は 0.063 µg/mL) 以下であることがわかります。

EPA メソッド 545 を満たす精度サンプルテスト

EPA 545 では、ラボフィールドブランク、および塩素を含む水道水のレプリケートを 7 種類要求します。代表サンプルは保存料で 0.1 µg/L スパイクしました。サンプルセットごとに、回収率 (正確度) と精度を計算しました (表 1 参照)。算出された値は、試薬と水道水の両方で、これらのパラメータについてメソッドで設定されている ± 30% の回収率制限、および 20% の RSD 制限を大きく下回りました。

繰り返し番号

試薬水

水道水

ANA 回収率 (µg/L)

CYN 回収率(µg/L)

ANA 回収率 (µg/L)

CYN 回収率 (µg/L)

1

0.115

0.108

0.089

0.104

2

0.100

0.097

0.083

0.106

3

0.096

0.097

0.086

0.107

4

0.092

0.106

0.090

0.110

5

0.087

0.100

0.097

0.105

6

0.096

0.096

0.086

0.115

7

0.087

0.102

0.099

0.094

% 精度

96.1

100.9

90.0

105.9

RSD (%)

10.0

4.7

6.6

6.1

表 1.0.1 µg/L における ANA と CYN の正確度および精度

この結果から、EPA メソッド 545 の要件を満たす、またはそれを超える LCRML が得られました。回収率と精度は、EPA メソッド 545 の要件に十分収まりました。20µL 注入を用いています LC/MS/MS によるシアノトキシン分析の詳細については、アジレント文献 5991-4444EN を参照してください。

アジレント LC/MS で迅速で信頼性の高い水質検査を実現

シアノトキシンは、検出や定量化に高度な分析手法を必要とする潜在的な水中汚染物質の 1 種類にすぎません。揮発性物質、半揮発性物質、農薬、無機汚染物質、元素汚染物質など、調査対象にかかわらず、アジレントは迅速で信頼性の高い水質検査に必要な機器や製品、ツール、キット、ソフトウェアやサービスをお届けします。お客様のラボで、信頼性の高い水道水質分析するために必要なアジレントのソリューションと生産性ツールをご利用ください。