Access Agilent 2014年9月号

Agilent MP-AES および モバイル FTIR による 高速多元素潤滑油分析

Wayne Collins
アジレントグローバルマーケティング

プラント等の施設における保全戦略では一般的に、ラボでの定量的試験を指針として、保全のために必要とされる措置や時期を判断しています。 一般には、各設備から潤滑油サンプルが採取され、ラボに送られて検証されます。ラボの分析結果が戻ってきたら、適切な措置に関する判断が下されます。残念ながら、ラボの分析結果を待つ時間は、何時間や何日、ときには何週間にもなることがあります。そのあいだにも、潤滑油の状況はさらに悪化する可能性があります。作業命令を処理する場合は、さらなる遅れが生じることもあります。しかし、オンサイトでの分光分析を可能にする新たな技術により、その場で潤滑油を分析できるようになりました。

時間とともに減少するフェノール系酸化防止剤の官能基バンドの FTIR スペクトルの重ね合わせ。最も強いバンド (ライトブルー) は新品の ISO 32 タービンオイルで最も弱い吸光度 (ライトグリーン) は酸化が見られはじめたタービンオイルのものです。

図 1. 時間とともに減少するフェノール系酸化防止剤の官能基バンドの FTIR スペクトルの重ね合わせ。最も強いバンド (ライトブルー) は新品の ISO 32 タービンオイルで、最も弱い吸光度 (ライトグリーン) は酸化が見られはじめたタービンオイルのものです。
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時間とともに減少するフェノール系酸化防止剤の官能基バンドの FTIR スペクトルの重ね合わせ。最も強いバンド (ライトブルー) は新品の ISO 32 タービンオイルで最も弱い吸光度 (ライトグリーン) は酸化が見られはじめたタービンオイルのものです。

図 1. 時間とともに減少するフェノール系酸化防止剤の官能基バンドの FTIR スペクトルの重ね合わせ。
最も強いバンド (ライトブルー) は新品の ISO 32 タービンオイルで、最も弱い吸光度 (ライトグリーン) は酸化が見られはじめた
タービンオイルのものです。

時間とともに減少するアミン系酸化防止剤の官能基バンドの FTIR スペクトルの重ね合わせ。最も強い吸光度 (赤) は新品の ISO 32 タービンオイル中のアミン系酸化防止剤、最も弱いバンド (青および緑) は酸化が見られはじめたタービンオイルのものです。

図 2. 時間とともに減少するアミン系酸化防止剤の官能基バンドの FTIR スペクトルの重ね合わせ。最も強い吸光度 (赤) は新品の ISO 32 タービンオイル中のアミン系酸化防止剤、最も弱いバンド (青および緑) は酸化が見られはじめたタービンオイルのものです。 (図を拡大)
 

時間とともに減少するアミン系酸化防止剤の官能基バンドの FTIR スペクトルの重ね合わせ。最も強い吸光度 (赤) は新品の ISO 32 タービンオイル中のアミン系酸化防止剤、最も弱いバンド (青および緑) は酸化が見られはじめたタービンオイルのものです。

図 2. 時間とともに減少するアミン系酸化防止剤の官能基バンドの FTIR スペクトルの重ね合わせ。
最も強い吸光度 (赤) は新品の ISO 32 タービンオイル中のアミン系酸化防止剤、最も弱いバンド (青および緑) は酸化が
見られはじめたタービンオイルのものです。

タービンオイルの迅速なオンサイト分析を可能にする Agilent 5500t FTIR

タービンオイルに含まれるフェノール系およびアミン系酸化防止剤は、オイルの酸化や有害なワニス沈殿物の生成を防ぐための保存剤です。酸化防止剤が消費されると、酸化プロセスが急激に加速して潤滑油が劣化し、機械の損傷につながるおそれがあります。

タービンオイルに含まれるこれらの酸化防止剤は、特定の赤外スペクトル領域で顕著な吸光バンドを示します。そのため、ASTM International は、これらの化合物の測定にフーリエ変換赤外 (FTIR) 分光法を推奨しています。図 1 は、タービンオイルに含まれるフェノール系酸化防止剤の主要な赤外バンドの 1 つについて、時間とともに酸化剤が消費されるのに伴い、バンドが変化する様子を示しています。同様に、図 2 では、タービンオイルの経過時間に伴うアミン系酸化防止剤の漸進的な減少を示しています。これらの「指紋領域」は、この 2 つの化合物の官能基の特性を示すものです。定量には Agilent 5500t FTIR が使用されています。

FTIR 測定は、電極ベースの酸化防止剤モニタリング機器よりも時間がかかりません。また、直観的な赤、黄、緑の条件モニターで結果が表示されるため、分析者のスキルによる変動を最小限に抑えられます。さらに重要なのは、FTIR によりオンサイトで酸化防止剤レベルを測定できれば、従来のオイル分析ラボにサンプルを送ってオフサイトで分析をする場合に比べて、より簡単かつ頻繁にサンプルを分析し、より迅速に結果を得られるという点です。このアプリケーションの詳細については、アジレントアプリケーションノート 5990-7801JAJP をご覧ください。

Agilent MP-AES による潤滑油中金属の正確かつ迅速な検出

潤滑油では、ベアリングなどの機械部品の摩耗から生じる金属の有無についてもモニタリングされています。こうした金属量は、壊滅的な故障に至るまえに機械を止め、修理を行うべき時期を見極める指標になります。潤滑油中の摩耗金属の包括的な測定には、フレーム原子吸光分光分析 (FAAS) が用いられてきましたが、多くのラボは、Agilent マイクロ波プラズマ原子発光分光分析 (MP-AES) などの、より高速な多元素分析テクニックに移行しています。表 1 を見ると、潤滑油中の NIST SRM 1085b 摩耗金属サンプルに含まれるすべての元素について、MP-AES 測定結果と認証値が良好に一致していることがわかります。この結果は、MP-AES を用いた分析メソッドの有効性を実証しています。図 3 に Cu のスペクトルを示しています。


元素/ 波長 (nm)

測定値 (mg/kg)

認証値 (mg/kg)

回収率 (%)

Fe 259.940

314.7 ± 0.3

301.2 ± 5.0

104

Mn 259.372

289.9 ± 0.2

300.7 ± 2.0

96

Cd 226.502

290.9 ± 2.9

302.9 ± 5.1

96

Cr 276.653

305.2 ± 0.1

302.9 ± 3.9

101

Si 251.611

295.7 ± 1.9

300.2 ± 5.0

99

Ni 305.081

291.6 ± 0.1

295.9 ± 7.4

99

Cu 327.395

300.9 ± 0.1

295.6 ± 8.5

102

Ag 328.068

308 ± 0.2

304.6 ± 8.9

101

Pb 283.305

296.1 ± 0.1

297.7 ± 6.8

99

V 310.229

287.6 ± 0.1

297.8 ± 4.6

97

Ti 323.452

293.9 ± 0.1

301.1 ± 2.9

98

Sn 303.411

295.3 ± 0.3

299.4 ± 4.8

99

Mo 319.398

296.9 ± 0.1

300.6 ± 3.2

99

Al 396.152

291.7 ± 0.2

300.4 ± 9.3

97

Na 589.592

297.4 ± 0.1

305.2 ± 7.0

97

表 1. Agilent MP-AES を用いた NIST SRM 1085b 分析の測定値と認証値の比較。

5 ppm における Cu 327.395 nm のシグナルは、Agilent MP-AES の優れた感度を示しています。

図 3. 5 ppm における Cu 327.395 nm のシグナルは、Agilent MP-AES の優れた感度を示しています。(図を拡大)

5 ppm における Cu 327.395 nm のシグナルは、Agilent MP-AES の優れた感度を示しています。

図 3. 5 ppm における Cu 327.395 nm のシグナルは、Agilent MP-AES の優れた感度を示しています。

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