Access Agilent 2014年4月号

食品信頼性のための Agilent FTIR ソリューション

By Zubair Farooq and Ashraf A. Ismail
McGill University, Montreal, Canada

グローバル化の広がりに伴い、受入検査や新製品の開発、包装といった食品製造業界全体で、品質や安全性、コスト効率に関して厳密な基準を満たす必要性が高まっています。フーリエ変換型赤外分光光度計 (FTIR) は、分析時間が短く、サンプル前処理が最小限で済み、分子構造を解析できることから、食品および食品成分の品質確保において大きな威力を発揮します。この分析手法を使えば、食品および食品成分の同定、確認、信頼性の分析が可能です。

ここでは、FTIR を用いた 2 つの食品信頼性分析例を紹介します。Agilent Molecular Spectroscopy Compendiumから、実績のあるアプリケーションと新しいアプリケーションの両方を採用しました。来月は、ICP-MS を用いた食品信頼性分析について説明します。

Agilent Cary 630 FTIR -ATR ユニットで測定した乳製品粉末の赤外スペクトル。

図 1.Agilent Cary 630 FTIR -ATR ユニットで測定した乳製品粉末の赤外スペクトル。(図を拡大)

Agilent Cary 630 FTIR -ATR ユニットで測定した乳製品粉末の赤外スペクトル。
 

図 1.Agilent Cary 630 FTIR -ATR ユニットで測定した
乳製品粉末の赤外スペクトル。

粉末乳製品の信頼性分析

乳製品粉末は、多種多様な食品に広く用いられています。乳製品粉末の構成成分であるタンパク質、炭水化物 (通常はラクトース)、脂肪および水分は、含量がさまざまに異なります。乳製品成分の特性評価は、通常、まず脂肪を溶媒抽出し、次にタンパク質とラクトースのクロマトグラフィー分離をおこないます。このメソッドは、精度が高い一方で、時間と手間、費用がかかります。FTIRでは、得られるスペクトルから、官能基情報等、多くの構造情報を得られます。そのため、FTIRは、複雑な乳製品成分の同定においても、きわめて有効な分析手法となっています。さらに、Agilent 600 シリーズ FTIR Slide-on ATR アクセサリAgilent Cary 630 FTIRを組み合わせれば、乳製品粉末の信頼性分析を高速かつ自動で、簡単に実施することが可能です。

1 には、Cary 630 FTIR と ATR を用いて測定した、α-ラクトアルブミン、β-ラクトグロブリン、乳清タンパク質分離物 (WPI)、乳清タンパク質濃縮物 (WPC) の典型的な赤外スペクトルを示しています。他の 3 つのタンパク質と WPC の差 (WPC 中に存在するラクトースに起因) が、1300 ~900 cm-1 に存在する追加のバンドにより、はっきりと示されています。その他のタンパク質の差は、肉眼で確認することはできませんが、Agilent MicroLab FTIR ソフトウェアが搭載する解析ツールを使えば、簡単かつ自動的に確認できます。

お茶の成分分析

お茶は水に次いで広く消費されている飲料です。白茶、黄茶、緑茶、烏龍茶、黒茶、発酵茶など、さまざまな種類のお茶があります。一部のお茶は、味を良くするために、添加物の添加や複数の種類のブレンドにより調整されています。ティーバッグおよび茶葉として売られているほとんどのお茶は、ブレンド茶です。

茶葉には、フラボノイド、アミノ酸、ビタミン (C、E、K)、カフェイン、多糖、フラボノール、タンニン、ポリフェノール、カテキンなど、700 を超える化合物が含まれています。化学組成が複雑であるため、茶葉の信頼性分析プロセスを確立するのは、きわめて困難です。実際、多くの企業は、カフェインの 2 成分分析とポリフェノール総量だけに絞っています。ひとつのサンプルあたり最小限のコストで迅速に実施できるのであれば、完全な成分分析が望ましいのは言うまでもありません。また、混合前の茶葉の信頼性分析および品質確認により、一貫して高品質の製品を製造できるようになれば、ブレンド茶を製造する企業にとっても大きな利益となります。

Agilent Cary 630 FTIR ATRユニットによる茶葉の赤外スペクトル。

図 2.Agilent Cary 630 FTIR ATRユニットによる茶葉の赤外スペクトル。(図を拡大)
 
 

Agilent Cary 630 FTIR ATRユニットによる茶葉の赤外スペクトル。
 

図 2.Agilent Cary 630 FTIR ATRユニットによる茶葉の赤外スペクトル。

乳製品粉末のケースと同様、Agilent Cary 630 FTIR と ATRユニットを使えば、お茶に含まれるすべての有機成分に関して重要なデータが得られます。このスペクトル情報はさまざまな形で利用できるため、お茶メーカーが製品を最適化し、一貫性を確保するのに役立ちます。Agilent MicroLab FTIR ソフトウェアでは、コストのかかる定性分析を化合物ごとにおこなうのではなく、測定したスペクトルを、既知のサンプルとしてプライベートライブラリの構築ができます。

次の例では (図 2)、MicroLab FTIR ソフトウェアにより、測定したスペクトルがスペクトルデータベースに自動的に保存されています。3800~2600 cm-1 および 2000~600 cm-1 のスペクトル情報により、お茶の種類を識別することができます。このスペクトル領域には、お茶に含まれるすべての主要および少量の有機成分の吸収バンドが含まれています。そのため、この領域内のすべてのスペクトル情報は、化学組成の異なるお茶の識別において重要な役割を果たします。

新たなサンプルのデータが測定されたら、以前に保存されたスペクトルと簡単に比較し、MicroLab FTIR ソフトウェアにより数秒で同定することができます。測定結果は、類似率(%) や、ユーザーが定義した類似率の上限設定にもとづく合否判定などの形で表示できます。

食品信頼性分析の Agilent ソリューション

現代のグローバルに広がるサプライチェーンでは、定評のある堅牢なプロセスを用いて食品の品質を正確かつ効率的に確認することがきわめて重要です。アジレントの食品プロファイリングアプリケーションでは、高度な分子分光技術により、食品等級分析をはじめ、混和物や汚染物質、劣化レベルの究明、産地および製造地の確認などに対応しています。アジレントのすべての分析機器は、幅広いアクセサリおよび補用品群消耗品により補完サポートされています。Agilent 分光分析補用品消耗品カタログ(PDF)で、Agilent UV-Vis、FTIR、蛍光分析機器の全貌をご確認ください。