Access Agilent 2014年4月号

ハンドヘルド技術を飛躍的に進歩させる 革新的な 4300 FTIR

John Seelenbinder Ph.D
アジレントモバイル FTIR マーケティングマネージャ

Alan Rein Ph.D
アジレントビジネス開発マネージャ

人間工学を意識して設計された新しい Agilent 4300 ハンドヘルド FTIR は、旧モデルよりも小型で軽量になっています。あらゆる場所のあらゆるサンプルで、非破壊的分析を実施することが可能です。

図 1.人間工学を意識して設計された新しい Agilent 4300 ハンドヘルド FTIR は、旧モデルよりも小型で軽量になっています。あらゆる場所のあらゆるサンプルで、非破壊的分析を実施することが可能です。

ハンドヘルド型のフーリエ変換赤外分光光度計 (FTIR) のパイオニアであるアジレントは、複合材料、コーティング剤、ポリマー、地質学、芸術品および歴史的遺物、食品、農業といった幅広い産業分野で非破壊的測定を可能にする革新的な機器を開発しています。

ハンドヘルド型 FTIR を使えば、場所やサイズにかかわらず、分析が必要な「もの」のもとへ機器を直接持ちこむことができるため、従来のように分析対象物やサンプルをラボへ運ぶ必要がなくなります。測定が 現場でリアルタイムに実施できるので、測定対象や測定場所の柔軟性が高まります。また、分析対象物からサンプリングする必要がないハンドヘルド型 FTIR は、完全に非破壊的な分析ソリューションとなります。

アジレントはこのたび、クラス最高のモバイル型分光光度計製品群の中でも最新の革新的システムを発表しました。それが、Agilent 4300 ハンドヘルド FTIR です。

独自の難問に対応した設計

ハンドヘルド型 FTIR 技術の開発には、独自の難問が伴います。軽量かつ小型で、バッテリーで駆動し、直観的に使える機器設計にすると同時に、重要な判断を下す際に求められる最高品質のデータを提供できるようにしなければなりません。アジレントの第 1 世代のハンドヘルド型 FTIRである 4100 ExoScan と 4200 FlexScan は、持ち運び可能な大きさと重量という点で飛躍的な進歩を遂げたシステムです。この 2 つの機器の威力が証明されたことで、お客様からは、より軽く、よりコンパクトな機器を開発してほしいという声が寄せられました。その要望を受けて開発されたのが、Agilent 4300 ハンドヘルド FTIR です。このシステムは、旧モデルよりも軽く、安定感があり、かつ使いやすくなっています (図 1)。

人間工学的な改良により、分析結果も向上

ハンドヘルド機器を開発する際には、S/N比や光学的スループットといった従来の指標と同じくらい、優れた人間工学的設計が全体的な FTIR 性能において重要な役割を果たします。高品質データを得るためには、サンプルのある場所に容易にアクセスでき、測定時間全体を通して機器を無理なく支えられなければなりません。通常、測定は 30 秒未満で終了しますが、軽量であるだけでなく、バランスのとれた安定した機器なら、良質なデータの採取がさらに容易になるはずです。

人間工学的基準では、ハンドヘルド機器の重量を 2.3 kg 未満とし、重心を持ち手の中心近くに置くことが推奨されています [1]。Agilent 4300 ハンドヘルド FTIR は、そうした要件を満たしています。旧モデルのハンドヘルドシステムより 35 % も軽量でありながら、旧システムと同じ性能を備えています。

FTIR のサイズを小さくしながら、なぜS/N比と分解能を維持できたのでしょうか。アジレントでは、光学システムを最適化することで、それを実現しました。Agilent 4300 ハンドヘルド FTIR の各コンポーネントは、光学収差が最小限になるように設計されています。そのため、光学システムの効率が高くなっています。つまり、コンポーネントの小型化により光学部を旧モデルよりも小型化および軽量化しても、光学系を最適化し、光路長を短くすれば、サンプルへ届く、ひいては検出器へ至る光の割合が大きくなるということです。

博物館から山地まで、サンプルのある場所へ直接赴き、信頼性の高いデータを現場 で採取できます。

図 2.博物館から山地まで、サンプルのある場所へ直接赴き、信頼性の高いデータを現場 で採取できます。

MicroLab Mobile ソフトウェアが、Agilent 4300 ハンドヘルド FTIR に組み込まれたコンピュータを通じてシステムコントロールします。

図 3.MicroLab Mobile ソフトウェアが、Agilent 4300 ハンドヘルド FTIR に組み込まれたコンピュータを通じてシステムコントロールします。(図を拡大)

MicroLab Mobile ソフトウェアが、Agilent 4300 ハンドヘルド FTIR に組み込まれたコンピュータを通じてシステムコントロールします。
 

図 3. MicroLab Mobile ソフトウェアが、Agilent 4300 ハンドヘルド FTIR に組み込まれたコンピュータを通じてシステムコントロールします。

フィールドでさまざまな種類のサンプルを分析するために、簡単に取り付けられる複数のサンプルインターフェースを用意しています。

図 4.フィールドでさまざまな種類のサンプルを分析するために、簡単に取り付けられる複数のサンプルインターフェースを用意しています。

新しい 4300 の構成なら、貴重なサンプルを破壊せずに、航空宇宙分野のアプリケーション分析を実施することが可能です。

図 5.新しい 4300 の構成なら、貴重なサンプルを破壊せずに、航空宇宙分野のアプリケーション分析を実施することが可能です。(図を拡大)

新しい 4300 の構成なら、貴重なサンプルを破壊せずに、航空宇宙分野のアプリケーション分析を実施することが可能です。
 

図 5. 新しい 4300 の構成なら、貴重なサンプルを破壊せずに、航空宇宙分野のアプリケーション分析を実施することが可能です。

柔軟性とスピードから選べる 2 つのバリエーション

Agilent 4300 ハンドヘルド FTIR には、2 つのバリエーションがあります。柔軟性の高い重水素化硫酸トリグリシン (DTGS)検出器か、熱電冷却機能を備えた高性能の水銀カドミウムテルル (MCT) 検出器のいずれかを選択できます。DTGS では、測定波数範囲が広く、5000~650 cm-1の赤外波数域でデータを採取することができます。この検出器は、幅広いアプリケーションに適しています。MCT 検出器では、測定波数範囲が 5500~1100 cm-1 と狭くなりますが、DTGS に比べて測定スピードが速く、S/N比が 20 % 向上します。そのため、ある決まった分析対象の表面や分析エリアで多くのデータを迅速に測定する必要があるようなアプリケーションに適しています。

長期間のフィールド測定に耐える堅牢な信頼性

堅牢性の高い Agilent 4300 ハンドヘルド FTIR は、フィールド測定専用に設計されているため、殆どの制約なく、どこでも効率的に使用することができます (図 2)。小型化された干渉計は、工場で恒久的にアラインメントされています。特許技術の光学レイアウト設計を導入し、長期間の使用に耐える丈夫な材料で製造しています。さらに、0~50 °C までの温度範囲で動作し、動作範囲全体でほぼ同じ性能が得られます。そうした機能と小型のサイズに加えて、衝撃や熱変動の影響を受けない短い光学路を備えた Agilent 4300 FTIR は、長年にわたって確実に良質なデータを提供できるシステムで、どこへでも持ち運ぶことが可能です。

統合型ソフトウェアと交換可能なインターフェースが実現する優れた使いやすさ

Agilent 4300 ハンドヘルド FTIR を使えば、幅広いアプリケーションでリアルタイムにデータが得られるため、重要な決断をこれまで以上に迅速に下すことが可能になります。この4300 FTIR は、メソッド操作型の Agilent MicroLab Mobile ソフトウェア を搭載した統合型コンピュータを備えています (図 3)。このソフトウェアが、測定完了までを手順ごとにガイドし、誰でも簡単に測定結果を得ることができます。すべてのデータ解析がメソッドに統合されているため、測定後に追加でのデータ処理を実行する必要もなく、結果から迅速に判断を下すことが可能です。

Agilent 4300 ハンドヘルド FTIR は柔軟性の高いプラットフォームを備えているため、反射性のサンプル、非反射性のサンプル、赤外を吸収または散乱するサンプルなど、さまざまなタイプのサンプルを効率的に測定することができます。そうした幅広いアプリケーションに対応するために、 5 種類のサンプルインターフェースが用意されています。各インターフェースは簡単に交換できます。 (図 4)。これらのインターフェースは RFID 自動認識機能を備え、サンプルインターフェースとソフトウェアに登録されているメソッドがシームレスに統合されています。これにより、測定の実施や追跡が容易になっています。

伝統のFTIRをポータブル機器で

Agilent 4300 ハンドヘルド FTIR は、アジレントの実績ある FTIRの最新システムです。このシステムは、飛躍的な進歩であると同時に、長年にわたる革新が積み重なって生まれたものです。Agilent 4300 ハンドヘルド FTIR は、これまではフルサイズの FTIR でしか得られなかった性能を、モバイル型の非破壊分析に最適なサイズ、重量、人間工学設計で実現したシステムです。DTGS 検出器は、フィールドでの柔軟性がきわめて高い選択肢です。もう 1 つの MCT 検出器は、スピードと性能という点でDTGS検出器に勝り、優れたリアルタイム測定機能を備えています。こうした新機能により、全体的な使用感が向上するだけでなく、ハンドヘルド FTIRを使用できる新たなアプリケーションの可能性も広がります (図 5)。

新たな分析ニーズや分析環境を切り拓く Agilent 4300 ハンドヘルド FTIR の詳細をご確認ください。また、新しい Agilent 4300 ハンドヘルド FTIR を今すぐ導入したい方は、アジレントの担当者にお問い合わせください。

References

  1. Assessment of the Ergonomic Quality of Hand-held Tools and Computer Input Devices, Helmut Strasser, IOS Press, Jan 1, 2007.