Access Agilent 2014年2月号

Agilent Bond Elut QuEChERS(キャッチャーズ) サンプル前処理を用いた 簡単で正確な食品中残留農薬分析

Kathy Mills
アジレントグローバルマーケティングプログラムマネージャ、食品

世界中の規制当局は、食品および飲料業界用に策定された多くのガイドラインを公開しています。しかし、一般的でないサンプルマトリクスや複雑なサンプルマトリクスを扱う場合には、問題が生じることもあります。アジレントの食品安全性アプリケーションの汎用性を実証するために、きわめて違いの大きい 2 種類の食品マトリクスに含まれるきわめて異なる農薬クラス 2 種を、2 種類の分析テクニックを用いて分析しました (詳細については、アジレントアプリケーションノート 5991-3342EN および 5991-2408EN をご覧ください)。

フルーツジュース中の残留農薬の分析

ガスクロマトグラフィー質量分析 (GC/MS) による複数残留農薬分析に必要な、ジュース濃縮サンプルの前処理は、サンプルの化学的および物理的条件が極端になるため、きわめて困難になるケースがあります。たとえば、レモン濃縮ジュースはきわめて酸性度が高く、濃縮度が高いために密度も高くなります。

未知特性の濃縮レモンおよびオレンジジュース分析に最適化した Agilent Bond Elut QuEChERS メソッドのワークフロー。

図 1. 未知特性の濃縮レモンおよびオレンジジュース分析に最適化した Agilent Bond Elut QuEChERS メソッドのワークフロー。
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未知特性の濃縮レモンおよびオレンジジュース分析に最適化した Agilent Bond Elut QuEChERS メソッドのワークフロー。

図 1.未知特性の濃縮レモンおよびオレンジジュース分析に最適化した
Agilent Bond Elut QuEChERS メソッドのワークフロー。

Agilent Bond Elut QuEChERS を用いたサンプル前処理の最適化により、そうした困難な変動要因を克服し、データ品質を大幅に高めることができます。図 1 は、最適化したサンプル前処理ワークフローを示しています。このワークフローは、適切な組み合わせの抽出および分散 SPE 製品の選択、pH の最適化、適切なサンプル量の特定で構成されています。各最適化ステップにより、ほとんどの分析対象物でピーク形状と感度が向上します。この点は、カプタンやフォルペットなど、分析困難とされている農薬を扱う際にきわめて重要となります。これらのステップにより、優れた回収率とマトリクス適合検量線の R2 値が得られています。

この例では、サンプル前処理に Agilent Bond Elut QuEChERS EN 抽出キットと果実および野菜用の Agilent QuEChERS 分散 SPE キットを使用しました。GC/MS 分離には、Agilent J&W HP-5ms ウルトライナートカラムと Agilent 7890B GC、Agilent 7000 トリプル四重極 GC/MS システムを使用しました。

このアプリケーションで優れたクロマトグラフィー性能を得るためには、分析対象物保護剤 (AP) を使用する必要がありました。AP を使えば、この QuEChERS ワークフローを用いて前処理した他の複雑なマトリクスでも、同じ効果が得られます。ここで特定した変数と柔軟性は、他のマトリクスにおける性能向上にも役立つはずです [1]。

魚に含まれる残留殺虫剤の測定

植物性殺虫剤としてもっとも広く使われているニコチンは、タバコから容易に抽出し、液体クロマトグラフィー/質量分析 (LC/MS) テクニックで分析することができます。欧州連合では禁止されているものの (米国環境保護庁 (EPA) が 2014 年 1 月 1 日づけで撤回を指示)、魚におけるニコチンの生物蓄積は今後も続くと予想されます。 しかし、これらの極性化合物については、親水性相互作用クロマトグラフィー (HILIC) を用いれば、魚に含まれるニコチンやその代謝物の直接的なサンプル前処理および分析が可能です。

この例では、サンプル前処理に Agilent Bond Elut QuEChERS AOAC 抽出キットと QuEChERS 分散 SPE キットを使用しました。分離には、Agilent Poroshell 120 HILIC LC カラムAgilent 1290 Infinity LCAgilent 6460 トリプル四重極 LC/MS を使用しました。

魚 5 ng/g におけるニコチン、代謝物、内標準の MS クロマトグラム。

図 2.魚 5 ng/g におけるニコチン、代謝物、内標準の MS クロマトグラム。(図を拡大)

魚 5 ng/g におけるニコチン、代謝物、内標準の MS クロマトグラム。

図 2.魚 5 ng/g におけるニコチン、代謝物、内標準の MS クロマトグラム。

すべての化合物がベースラインでクロマトグラフィー分離されました。Poroshell 120 HILIC カラムでは、内標準のマトリンがニコチン近くで保持されます (図 2)。分析対象物については、魚中で 1~500 ng/g の濃度範囲において、優れた直線性 (R2 ≥ 0.998) が得られました。

特別なツールやアクセサリを使わずに、最大 48 種類の魚サンプルの前処理が 20 分未満で完了しました。手順は振とう、ボルテックス混合、遠心分離のみです。表面多孔性 Poroshell 120 HILIC カラムにより、すべての極性化合物を良好にクロマトグラフィー分離できました。検量線および回収率データでも優れた直線性が得られました [2]。

グローバルな問題に対応するグローバルなソリューション

食品サプライチェーンのグローバル化が進むのに伴い、これまで以上に幅広い農薬をモニタリングすることが求められています。そのためには、さまざまなタイプの分析において、数百種類の化合物を測定する必要があります。また、正確でコスト効率の良い、複数残留農薬の分析プロセスやサンプル前処理テクニックも求められます。

Agilent LC/MS および GC/MS を組み合わせた複数残留農薬分析メソッドは、食品分析に関連するほとんどの化合物に対応することができます。また、アジレントでは、両テクニックに適した抽出物を生成するための定評のあるサンプル前処理製品も提供しています。

サンプル前処理のスピードアップにより、ラボの生産性を向上

ここで紹介した例は、高速で堅牢性の高いハイスループットのサンプル前処理メソッドを実現する Agilent Bond Elut QuEChERS サンプル前処理キットの活用法の一例にすぎません。汎用性の高い QuEChERS テクニックから新たなアプリケーションの完成に伴い、多くのラボが QuEChERS テクニックの迅速で効果的、かつ簡単なサンプル前処理の恩恵を受けられるようになっています。アジレントの幅広い QuEChERS キットの概要をウェブページでご確認ください。e-セミナーやヒント、各種ツールなどの無料リソースも提供しています。 

References

  1. M. Chang. A QuEChERS Strategy for Juice Concentrates with Unknown Properties Analyzed by GC/MS/MS. Application note, Agilent Technologies, Inc., Publication number 5991-3342EN (2013).
  2. M. Chang. Modified QuEChERS for HILIC LC/MS/MS Analysis of Nicotine and Its Metabolites in Fish. Application note, Agilent Technologies, Inc., Publication number 5991-2408EN (2013).