Access Agilent 2014年1月号

ペプチドマッピングの高速化

James Martosella、Alex Zhu
アジレントバイオアプリケーション

逆相クロマトグラフィによるペプチドマッピングは、バイオ医薬品分析の主要テクニックで、バイオ医薬品の包括的な特徴分析が可能です。質量分析計と連結すれば、タンパク質や変異体の同定、翻訳後修飾やその位置の測定、タンパク質配列の確認などが可能です。

しかし、ペプチドマッピングには、タンパク質分解に伴う複雑さに起因する、大きなクロマトグラフィ上の難問が存在します。そのため、多くのラボでは、堅牢で信頼性の高いペプチドマップの開発に苦労しています。一般に、ペプチドマップに伴う問題としては、低感度、質の悪いピーク形状に加えて、必要な分離能を得るためには分離時間がきわめて長くなることなどが挙げられます。

アジレントの新しい 2.7 µm AdvanceBio ペプチドマッピングカラムは、バイオ医薬品分析における大きな問題を解消し、低い LC システム圧力での高効率かつ迅速なペプチドマッピングを可能にします。表面多孔性クロマトグラフィを用いた Agilent AdvanceBio ペプチドマッピングカラムなら、高効率のピーク性能を維持しながら、ペプチドマッピングの所要時間を大幅に短縮することができます。

mAb トリプシン分解物の高速 HPLC 最適化。上のグラフ:2.1 x 150 mm AdvanceBio ペプチドマッピングカラムを用いた 75 分の分離、59 ペプチドピーク。下のグラフ: 2.1 x 100 mm AdvanceBio ペプチドマッピングカラムで最適化した 14 分の分離、57 ペプチドピーク。

図 1. mAb トリプシン分解物の高速 HPLC 最適化。上のグラフ:2.1 x 150 mm AdvanceBio ペプチドマッピングカラムを用いた 75 分の分離、59 ペプチドピーク。下のグラフ: 2.1 x 100 mm AdvanceBio ペプチドマッピングカラムで最適化した 14 分の分離、57 ペプチドピーク。 (図を拡大)

mAb トリプシン分解物の高速 HPLC 最適化。上のグラフ:2.1 x 150 mm AdvanceBio ペプチドマッピングカラムを用いた 75 分の分離、59 ペプチドピーク。下のグラフ: 2.1 x 100 mm AdvanceBio ペプチドマッピングカラムで最適化した 14 分の分離、57 ペプチドピーク。
 

分析条件

移動相 A

水 + 0.1% FA

移動相 B

90% ACN + 0.1% FA

注入

15 µL

温度

40 °C

DAD

215 nm

図 1. mAb トリプシン分解物の高速 HPLC 最適化。上のグラフ:2.1 x 150 mm AdvanceBio ペプチドマッピングカラムを用いた 75 分の分離、
59 ペプチドピーク。下のグラフ: 2.1 x 100 mm AdvanceBio ペプチドマッピングカラムで最適化した 14 分の分離、57 ペプチドピーク。

分析結果を損なわずに分析時間を短縮

性能の向上を実証するために、AdvanceBio ペプチドマッピングカラムを用いて、モノクローナル抗体 (mAb) トリプシン分解物の高速 LC/MS 分析をおこないました。従来、mAb ペプチドのマッピングでは、必要なベースライン性能を得るために、2 時間以上の遅いグラジエントが用いられてきました。ランタイムを長くすれば、最適な分離能が得られ、重要な PTM ピーク情報が損なわれることはありません。しかし、Agilent AdvanceBio ペプチドマッピングカラムは、分離性能を損なわずに分析を高速化することが可能です。図 1 に示す LC/UV 分離結果を見れば、その高い柔軟性がわかります。上のクロマトグラムは、0.2 mL/min という標準的な流速 (カラム内径に対して) で 2.1 x 150 mm カラムを用いて、75 分で得られた一般的なペプチドマップを示しています。優れたベースライン分離能が得られており、グラジエントプロフィール全体で、59 の mAb トリプシン分解物ピークが分離されています。下のクロマトグラムは、2.1 x 100 mm AdvanceBio カラムで、流速 0.6 mL/min というきわめて急なグラジエントを用いた例を示しています。ランタイムは上に比べてきわめて短くなっています (14 分未満)この分離では、57 のピークで mAb トリプシン分解物ピークのカウントがほぼ変わらずに保たれています。ベースライン分離能、ピーク形状、感度、選択性も損なわれていません。また、カラム背圧は 500 bar を大きく下回っています。そのため、この高速高効率分離は、従来の高性能液体クロマトグラフィ (HPLC) 機器で実行することが可能です。

Agilent AdvanceBio ペプチドマッピングカラム (赤) と UHPLC ペプチドマッピングカラム (黒) による mAb トリプシン分解物のトータルイオンクロマトグラム。

図 2.Agilent AdvanceBio ペプチドマッピングカラム (赤) と UHPLC ペプチドマッピングカラム (黒) による mAb トリプシン分解物のトータルイオンクロマトグラム。
(図を拡大)

Agilent AdvanceBio ペプチドマッピングカラム (赤) と UHPLC ペプチドマッピングカラム (黒) による mAb トリプシン分解物のトータルイオンクロマトグラム。
 

分析条件

移動相 A

水 + 0.1% FA

移動相 B

90% ACN + 0.1% FA

注入

15 µL

流量

0.6 mL/min

温度

40 °C

グラジエント

%B
0 3
10 35
12 90
14 90

図 2. Agilent AdvanceBio ペプチドマッピングカラム (赤) と UHPLC ペプチドマッピングカラム (黒) による
mAb トリプシン分解物のトータルイオンクロマトグラム。

76 のトリプシン IgG ペプチド断片の抽出化合物クロマトグラム。上:Agilent AdvanceBio ペプチドマッピングカラム、433 bar、配列カバー率 99.63 %。下: アジレント以外のメーカーの UHPLC ペプチドマッピングカラム、700 bar、配列カバー率 99.0 %

図 3.76 のトリプシン IgG ペプチド断片の抽出化合物クロマトグラム。
上:Agilent AdvanceBio ペプチドマッピングカラム、433 bar、配列カバー率 99.63 %。
下: アジレント以外のメーカーの UHPLC ペプチドマッピングカラム、700 bar、配列カバー率 99.0 %
(図を拡大)

76 のトリプシン IgG ペプチド断片の抽出化合物クロマトグラム。上:Agilent AdvanceBio ペプチドマッピングカラム、433 bar、配列カバー率 99.63 %。下: アジレント以外のメーカーの UHPLC ペプチドマッピングカラム、700 bar、配列カバー率 99.0 %
 

分析条件

移動相 A

水 + 0.1% FA

移動相 B

90% ACN + 0.1% FA

注入

15 µL

流量

0.6 mL/min

温度

40 °C

グラジエント

%B
0 3
10 35
12 90
14 90

図 3. 76 のトリプシン IgG ペプチド断片の抽出化合物クロマトグラム。
上:Agilent AdvanceBio ペプチドマッピングカラム、433 bar、配列カバー率 99.63 %。
下: アジレント以外のメーカーの UHPLC ペプチドマッピングカラム、700 bar、配列カバー率 99.0 %

HPLC の圧力で UHPLC の性能を実現

超高耐圧液体クロマトグラフィ (UHPLC) によるペプチドマッピングでは、小さい粒子を充てんした短いカラムにより、短いランタイムで高い効率が得られるため、バイオ医薬品タンパク質の詳細な特徴分析が可能です。しかし、この種の分離では圧力要件が高くなるため、従来の 400 および 600 bar HPLC 機器では実行できません。その点が、より広い範囲への応用の妨げになっています。2.7 µm AdvanceBio ペプチドマッピングカラムは、UHPLC レベルのマッピング性能を得られると同時に、UHPLC 機器と HPLC 機器のどちらにも対応できる柔軟性を備えています。

図 2 は、Agilent AdvanceBio ペプチドマッピングカラムとアジレント以外のメーカーの UHPLC ペプチドマッピングカラムの逆相 LC/MS 分離性能を示しています。トータルイオンクロマトグラムの比較では、AdvanceBio ペプチドマッピングカラムにより、UHPLC カラムに匹敵する分離性能が得られていることが明らかに示されています。また、mAb トリプシン分解物を適切かつ効率的に分離できることもわかります。性能は UHPLC/MS 分離に匹敵していますが、圧力は従来の HPLC に対応する 433 bar におさえられています。

図 3 の抽出クロマトグラムの比較では、AdvanceBio ペプチドマッピング HPLC/MS 分析により、UHPLC/MS カラム分析と同等の優れた配列カバー性能が得られていることがわかります。Agilent AdvanceBio カラムの配列カバー率は 99.63 % で、UHPLC カラムでは 99.0 % でした。UHPLC の圧力要件なしで UHPLC レベルの結果を得られる AdvanceBio ペプチドマッピングカラムは、バイオ医薬品の高速高効率分析に適した魅力的かつ汎用的な選択肢といえます。

多くのペプチドマッピングオプション

アジレントは、ペプチドマッピングを向上させるための幅広いカラムおよび機器を提供しています。無償で提供されている「Better Characterization of Biomolecules Using Agilent AdvanceBio Reversed-Phase Columns (Agilent AdvanceBio 逆相カラムによる生体分子分析の向上)」をダウンロードすれば、Agilent AdvanceBio ペプチドマッピングカラムAgilent 1290 Infinity バイオイナートクォータナリ LC によるペプチドマッピングの高速化および向上に関する詳細をご覧いただけます。