Access Agilent 2013年11月号

Agilent 1200 Infinity シリーズを用いたオンライン SPE システムによる水中微量有機化合物の定量

Anneke Muehlebach
アジレント製品マネージャ、分析 HPLC

固相抽出 (SPE) は、サンプル前処理や分析対象物の濃縮のための強力なテクニックですが、多くの場合、時間のかかる手作業のオフライン処理手順です。オンライン SPE-LC/MS/MS システムを用いれば、スループットを向上させることができます。モジュール設計の Agilent 1200 Infinity シリーズ-オンライン SPE ソリューションなら、SPE の使用目的がマトリックス成分の除去でも、微量水サンプル分析などのアプリケーションで検出下限を引き下げるための高感度化(分析対象化合物の濃縮)でも、要求するすべての分析要件を満たすことができます。

Agilent 1200 Infinity シリーズオンライン SPE システム

図 1. Agilent 1200 Infinity シリーズオンライン SPE システム

Agilent 1200 Infinity シリーズオンライン SPE システム

図 2. Agilent 1200 Infinity シリーズオンライン SPE システム(図を拡大)

Agilent 1200 Infinity シリーズオンライン SPE システム

図 2.Agilent 1200 Infinity シリーズオンライン SPE システム

6メトラクロールの検量線 (10~500 ng/L)。三角の印は、濃度 100 ng/L の品質管理用サンプルを示します。

図 3. 6メトラクロールの検量線 (10~500 ng/L)。三角の印は、濃度 100 ng/L の品質管理用サンプルを示します。(図を拡大)

6メトラクロールの検量線 (10~500 ng/L)。三角の印は、濃度 100 ng/L の品質管理用サンプルを示します。

図 3. 6メトラクロールの検量線 (10~500 ng/L)。三角の印は、濃度 100 ng/L の品質管理用サンプルを示します。

オンライン SPE と組み合わせたAgilent 6460 トリプル四重極 LC/MS システムにより、微量 (低 ng/L) 分析が可能になります。Agilent オンライン SPE ソリューションは、Agilent 1290 Infinity フレキシブルキューブAgilent 6400 シリーズトリプル四重極 LC/MS システムをベースとしています。フレキシブルキューブは、再利用可能な SPE カートリッジと、最大 2 つのバルブ(Agilent 1200 Infinity シリーズ Quick-Change バルブ)を搭載しています。フレキシブルキューブ内部の一体型のシングルピストンポンプがサンプルを吸引し、カートリッジへ移送する構造となっているため、サンプル吸引・移送用の第 2 の LC ポンプが不要です。1290 Infinity フレキシブルキューブは、最大 3 種類の溶媒に対応する溶媒選択バルブも装備します。そのため、2 つのバルブがフレキシブルキューブ内部に収まり、無駄のない効率的な LC スタックが実現しています (図 1)。

アジレントでは多種のバルブを準備していますので、それぞれのニーズに合ったオンライン SPE システムをカスタマイズすることが可能です。以下のアプリケーションに対応する SPE スターターセットと組み合わせることもできます。

  • 直接注入
  • マルチ SPE
  • 大量注入
  • フラスコサンプリング

既存の LC モジュールの追加や、オンライン SPE 機能のアップグレードも容易にできます。

分析時間の短縮と優れた直線性と精度を実現

システム性能を実証するために、水道水、地下水、2 種類の地表水という 4 種の水サンプルに含まれる 27 種類の除草剤を分析しました。図 2 に化合物のクロマトグラムを示します。

3 に、除草剤メトラクロールの検量線を示しています。メトラクロールのリテンションタイムは 11 分です。検量線からは、優れた直線性が見てとれます。相関係数は 0.999 を上回りました。クロマトグラムでは、除草剤を添加した地表水の定量イオンと定性イオンのトレースを重ねて表示しています。濃度 50 ng/L において、測定値が参照値と一致しています。

自動濃縮プロセスを使えば、トリプル四重極 MS によるルーチン分析で優れた検出下限を実現し、時間のかかるサンプル前処理や SPE カートリッジによるオフライン濃縮をおこなわずに、水サンプルを迅速に分析することが可能です。このアプリケーションの詳細については、アジレントアプリケーション 5991-2405EN で紹介しています。

オンライン SPE による抗生物質の濃縮と検出下限 1 pptの実現

残留抗生物質の濃縮、分離、検出についても、Agilent 1200 Infinity シリーズオンライン SPE ソリューションの有効性を実証しました。この実験では、HPLC とトリプル四重極 MS 検出を用いて、水サンプルの微量分析をおこないました。表 1 に、各抗生物質の分子イオンについて特定した最適なフラグメンタおよびコリジョンエネルギーと、定量イオンおよび定性イオンを示しています。

化合物名

RT (分)

分子質量

分子イオン

フラグメンタ

定量イオン

CE

定性イオン

CE

バンコマイシン

10.25

1,447.43

724.80

120

144.0

12

100.1

40

トリメトプリム

11.37

290.13

291.14

150

230.1

20

123.0

24

オルメトプリム

11.88

274.14

275.15

150

259.1

24

123.0

24

セフォタキシム

12.27

455.05

456.06

110

125.0

52

126.0

44

テトラサイクリン

12.44

444.15

445.16

90

410.1

16

154.0

28

オルニダゾール

13.01

219.04

220.04

100

128.0

12

82.1

32

クロロテトラサイクリン

14.31

478.11

479.12

125

444.1

20

462.1

12

スルファメトキサゾール

15.11

253.95

254.06

95

92.1

28

108.0

20

オキソリン酸

16.08

261.06

262.07

85

244.0

16

216.0

28

エリスロマイシン

16.79

733.46

734.50

120

158.1

32

576.0

16

チロシン

17.55

915.51

916.52

155

174.1

40

772.4

28

ナリジクス酸

18.19

232.08

233.09

85

215.1

8

187.0

24

フルメキン

18.66

261.08

262.08

75

244.0

12

202.0

32

バンコマイシンの分子イオンは [M+2H]2+、それ以外は [M+H]+
フラグメンタ = 電圧 (V)
RT = リテンションタイム (分)
CE = コリジョンエネルギー (eV)
表 1.MRM および DMRM MS メソッド。各抗生物質に最適なフラグメンタとコリジョンエネルギーを示します。分子イオン、定量イオン、定性イオンも示します。

効率の高いオンライン SPE プロセスにより、飲料水サンプル中の抗生物質を優れた精度分析ができました。1 ppt という優れた定量下限 (LOQ) と優れたサンプル間再現性も得られています。詳細については、アジレントアプリケーション 5991-2335EN をご覧ください。

感度と生産性が向上

ここで紹介した例は、オンライン SPE により、水サンプル中の微量有機化合物の高感度自動分析が実現することを示しています。一体型の Agilent 1200 Infinity シリーズオンライン SPE ソリューションなら、効率の高いサンプル前処理プロセスを実現し、生産性を高めることが可能です。詳細については、このビデオをご覧ください。