Access Agilent 2013年10月号

GC カラムの研究 - ガスクロマトグラフィの中核 - パート 2

Allen K. Vickers、Daron Decker、Ronald E. Majors
アジレント GC アプリケーション

先月のパート 1 では、GC カラムの開発、製造、試験といった面に焦点をあてました。パート 2 では、固定相コーティングと品質管理について説明します。

GC カラム固定相の使用率

図 1.GC カラム固定相の使用率
(図を拡大)

GC カラム固定相の使用率

図 1.GC カラム固定相の使用率

固定相コーティングの重要性

固定相はクロマトグラフィ分離能と再現性を決定します。そのため、コーティングステップはカラムの全体的な効率やその用途を左右する重要な手順です。固定相は、その厚さ、均質性、内壁への付着度が均一でなければなりません。こうした均一性が、温度プログラムサイクルや溶媒およびサンプルの注入時における固定相のはがれを防ぎます。通常、現代の固定相は架橋により固定されています。これにより、非架橋相に比べて安定性が高まり、使用後に汚染されたカラムの溶媒洗浄が可能になっています。

固定相の種類は、アプリケーションによって決まります。図 1 に、一般的な固定相を示しています。

ほとんどの固定相は、ポリマーです。GC カラムコーティングに用いるポリマーを、数か月や数年の使用に耐えられるようにするために、多くのメーカーは、カラムコーティングに使用する前に、ポリマーの合成、精製、試験をおこないます。コポリマーの場合、保持力の再現性を確保するためには、置換率をコントロールすることが重要です。 特に重要なのが、分子量の小さいフラクションを除去することです。こうしたフラクションは、特に高温でのカラムブリードの原因になります。ポリマーが使用可能なレベルに達したら、適切な濃度で、適切な溶媒中で混合する必要があります。この組成が、固定相の膜厚を決定します。

コーティングを成功させるためのさまざまなメソッドとステップ

GC キャピラリカラムのコーティング手法には、動的手法と静的手法があります。表 1 に、その 2 つのプロセスにおけるコーティング被覆の仕組み、フィルムの厚さに与える影響、それぞれの用途と利点をまとめています。

コーティングの
種類

メソッド

フィルム被覆

フィルムの厚さ

利点

用途

動的

固定相を含む溶媒プラグをカラム始点に導入し、加圧して一定スピードで流します。

プラグがカラム内を移動すると、付着してコーティングされます。

溶液の組成、カラム表面や固定相、溶媒の物理的特性などにより変わります。

製造スピード。

おもに PLOT カラム、まれにWCOT キャピラリ。

静的(D)

目的のフィルム厚に適した濃度で揮発性溶媒に溶解した固定相をカラムに充てんします。その後、一方の端を密閉し、チューブを空にします。

溶媒がカラムを逆方向に流れるのに伴い、付着してコーティングされます。

溶媒中の固定相濃度とチューブの直径に比例します。

カラムの再現性。

WCOT キャピラリ。

表 1.固定相コーティング手法

固定相は、動的または静的手法を用いたコーティングの際に、in situ で固定または架橋することができます。このプロセスは、安定した不活性な相を作るために、酸素のない状態でおこなう必要があります。別のアプローチとしては、まずモノマーを付着させたのち、熱や触媒により重合反応を開始させ、カラム壁の表面でポリマー固定相を生成するという方法もあります。このプロセスにより、固定相が内壁に付着し、固定されます。また、このプロセスは動的手法でも静的手法でも有効です。

どのコーティングプロセスを使う場合でも、カラムの内径 (id) にかかわらず、相比 (β) をコントロールすることが重要です。各カラム間で id が異なる場合は、フィルムの厚さを修正して相比を調整し、βを一定に保てるようにします。キャピラリチューブの一般的な許容範囲は +/- 6 µm で、これは 0.53 mm カラムの場合は 1.1 % の変動、0.25 mm カラムの場合は 2.4 % の変動にあたります。

固定相が結合または固定されたら、反応していないポリマーを洗浄により除去し、その後、洗浄溶媒を除去する必要があります。溶媒除去の際には、カラムをゆっくりと加熱しながら、不活性ガスを流します。最後のステップとして、カラムを最高使用温度の上限まで加熱し、酸素の含まれないガスを流します。

定評のあるカラム間性能を確保するための品質管理と品質保証

厳密な品質試験により、カラム間で一定の性能が確保されます。そのため、適切なテストプローブを用いて、ブリード、理論段数、保持インデックスを評価することが重要です。表 2 に、一般的なテストプローブを示しています。もちろん、単一のプローブであらゆるアプリケーションのあらゆるカラムを試験できるわけではありません。一般に、要件の厳しいアプリケーション用の質量分析 (MS) 相などの「プレミアム」カラムでは、同様の設計の「標準」カラムに比べてテストプローブの数が多くなり、テスト用混合物中のプローブの活性も高くなります。半揮発性物質用または PONA カラムなどのプレミアムな「特殊」アプリケーション用のカラムについては、ターゲット分析対象物の仕様をより厳密にして、第 2 の品質管理試験をおこなうこともあります。

化合物種

代表的なテストプローブ

目的

炭化水素

ウンデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン

効率と保持力

アルコール

1-ドデカノール

活性、保持インデックス、ピーク高比率

FAME、PAH

カプリン酸メチル、アセナフチレン

保持インデックス

4-クロロフェノール

酸特性、ピーク高比率

塩基

1-デシルアミン

塩基特性、ピーク高比率

表 2.各カラム特性に適したテストプローブ

いずれのケースでも、等温条件でカラムを試験する必要があります。こうした条件での試験は、温度プログラムよりも厳しいものです。温度プログラムによる試験では、シャープがピークになり、問題が見つかりにくくなります。

カラム効率については、k 値が 5 を超えるペンタデカンなどの保持力の高い化合物について、メーターあたりの段数として測定されます。 低い k 値を選ぶと、段数が高く出るため、カラム効率を正しく試験できません。

選択性の測定では、さまざまな官能基を持つさまざまなプローブが用いられます。不活性さについては、非立体障害官能基を持つプローブにより測定されます。これにより、固定相とキャピラリ壁との相互作用が最大化されます。不活性さのもっとも確実な指標は、炭化水素と、極性官能基を持つ化合物のピーク高の比率です。炭化水素のピークは活性表面の影響を受けませんが、極性化合物では影響が出ることがあります。1-ドデカノール/テトラデカン、1-デシルアミン/トリデカン、4-クロロフェノール/トリデカンのピーク高の比率は、カラム不活性の確実な指標になります。

ブリードプロフィールについては、50 °C からカラムの温度上限までの温度プログラムにより採取します。一般的な GC/MS 用の 5 % ジフェニル/95 % ジメチルポリシロキサンカラムの場合、この温度範囲におけるフレームイオン化検出器を用いたブリード仕様は 4 pA 未満です。

アプリケーションに特化したテストが必要となる特殊カラム

通常、アプリケーションカラム (環境分析用農薬用カラム、半揮発性物質用カラムなど) は、アプリケーションで一般的に扱われるターゲット化合物と検出器を用いて試験されます。たとえば、塩素系農薬の場合、電子捕捉検出器と、EPA メソッド608 または 8081A リストの CLP 試験農薬を含むサンプルが用いられます。血中アルコール分析などで用いられる 1 次分析および確認用デュアルカラムの場合、各カラムを個別に試験し、エタノール/アセトン対などの分離の難しい化合物に対応できるかどうかが確認されます。

アプリケーションに適したカラムをお選びください。

WCOT キャピラリ GC カラムでは、厳密に制御された製造と品質管理により、トラブルのない動作と、再現性と信頼性の高い分離が実現しています。アジレントのカラムは、厳しいテストプローブにより、徹底的に試験されています。すべてのカラムに、規定どおりの性能を保証するデータシートが付属します。

アジレントでは、あらゆる GC 要件に対応する、幅広いウルトライナートカラム、キャピラリカラム、パックドカラム、低ブリード GC/MS カラム、ポリシロキサンカラム、PEG カラム、特殊カラム、PLOT GC カラムを製造しています。アジレントの GC カラムファミリーのラインナップをご確認ください。

この記事は、Vickers 氏ほか著、「The Art and Science of GC Capillary Column Production」(LC.GC.、2007 年 7 月 1 日) をもとにしています。

References

  1. K. Grob and G. Grob, J. Chromatogr. 347, 351–356 (1985).