Access Agilent 2013年7月号

一貫性と再現性を高め、費用を削減する自動サンプル前処理

Eric Phillips
アジレントアウトバウンド製品マーケティングマネージャ

Weighステーション搭載 サンプル前処理ワークベンチ は、標準的なサンプル前処理手順に加えて、秤量を必要とするサンプル前処理を実施する機能を備えています。

図 1. Weighステーション搭載 サンプル前処理ワークベンチ は、標準的なサンプル前処理手順に加えて、秤量を必要とするサンプル前処理を実施する機能を備えています。

サンプル前処理は、分析ワークフローの中で、キーになるプロセスの一つです。分離分析の場合、サンプル前処理として、なんらかの形でのサンプルの抽出、計量、希釈、内部標準添加が含まれることが多く、場合によっては誘導体化を行うケースもあります。分析するサンプルや各サンプル中に存在する化合物の種類がさまざまであるため、サンプル抽出のテクニックもさまざまです。そのため、サンプル抽出は標準化するのが難しい場合もあります。一方で、標準化の容易なその他のサンプル前処理手順では、エラーが生じやすい傾向があります。

サンプル前処理に関する大きな問題点としては、重要な要素が2つあります。ひとつは、サンプル抽出からその他のサンプル前処理手順へ移行する際に、一貫した精度を保つことです。そしてもうひとつは、一貫した精度を保ちながら、コストを削減し、サンプル前処理時間を最小限に抑えることで、より多くの時間をもっと重要な作業に割いて、生産性を高めることです。

精度、一貫性、信頼性、安全性を備えたサンプル前処理

Weighステーションを搭載した サンプル前処理ワークベンチ (図 1) は、そうした問題点の優れた解決策となります。サンプル前処理ワークベンチは、きわめて精密で、一貫性と信頼性の高いスタンドアロン型機器で、精密な液体ディスペンサーと、混合機能、加熱機能、オプションの精密秤量機能を兼ね備えています。手動のサンプル前処理では不可能な一貫した精度を得られるだけでなく、危険な化学物質への曝露も最小限に抑えられます。コンパクトなサイズなので、すべてのサンプル前処理作業をドラフトチャンバー内でおこない、ラボの作業者の安全を保つことができます。

ほぼあらゆる分析テクニックのサンプル前処理に対応する包括的な機能

サンプル前処理ワークベンチを使えば、さまざまなサンプル前処理手順を自動化する幅広い標準機能により、毎日の作業で一貫性と再現性を確保することができます。おもな特長は、以下のとおりです。

  • 大容量シリンジにより、内部標準添加、溶媒希釈、誘導体化試薬添加などの一般的な作業の際に、
    液体を精密にサンプルバイアルに注入することができます。
  • バーコードリーダー/ミキサーは 80 °C までの加熱が可能で、溶解および誘導体化手順に対応します。
  • 加熱/冷却モジュールでは、50 バイアルトレイの加熱 (25 °C ~ 80 °C) と別の
    50 バイアルトレイの冷却 (40 °C ~ 5 °C) を同時におこなうことができます。
  • サンプルおよび溶媒などの液体を、いつでも任意の 2 mL バイアルから移すことができるため、
    移動手順に適した液相を簡単に選択できます。
  • オプションのWeighステーションを使用すれば、小数点以下5 桁まで秤量ができます。
    バイアルに加えたあらゆる試料を正確に秤量し、また重量補正をすることが可能なので、
    精密な秤量が求められるASTM メソッドなどに最適です。
上のクロマトグラムは、バイオディーゼル中 FAME の分析におけるWeighステーション搭載 サンプル前処理ワークベンチの性能を示しています。下のクロマトグラムは、同じ手順で サンプル前処理ワークベンチ を使用し、秤量のみを手動でおこなった場合の性能を示しています。

図 2. 上のクロマトグラムは、バイオディーゼル中 FAME の分析におけるWeighステーション搭載 サンプル前処理ワークベンチの性能を示しています。下のクロマトグラムは、同じ手順で サンプル前処理ワークベンチ を使用し、秤量のみを手動でおこなった場合の性能を示しています。 (図を拡大)

上のクロマトグラムは、バイオディーゼル中 FAME の分析におけるWeighステーション搭載 サンプル前処理ワークベンチの性能を示しています。下のクロマトグラムは、同じ手順で サンプル前処理ワークベンチ を使用し、秤量のみを手動でおこなった場合の性能を示しています。
 

図 2. 上のクロマトグラムは、バイオディーゼル中 FAME の分析における
Weighステーション搭載サンプル前処理ワークベンチの性能を示しています。
下のクロマトグラムは、同じ手順でサンプル前処理ワークベンチを使用し、
秤量のみを手動でおこなった場合の性能を示しています。

SOP に合わせて簡単にカスタマイズできるドラッグ&ドロップソフトウェア

Agilent Sample Prep WorkBench ソフトウェアは、複雑なプログラミングなしでシステムを自動化し、稼働させることができます。また、アイコン中心の直観的なインターフェースなので、ラボの SOP に応じたカスタマイズが容易です。きわめて視覚的な「ドラッグ&ドロップ」ソフトウェアなら、ほんの数分でメソッドを設定し、保存することができます (図 2)。カスタマイズの例としては、複数ステップの誘導体化プロセス、バーコードスキャンによるトレーサビリティの確保、希釈による検量線の作成、オプションの精密秤量などがあります。

サンプル前処理の自動化によるビジネス上の利点

革新的なソリューションの導入を検討する際には、成功に必要な厳しいビジネス上の要件にも照らし合わせて吟味する必要があります。この製品のビジネス上の利点を考えた場合、以下の利点により、コスト、安全性、品質、環境といった要件を満たせることがわかります。

  • 生産性:サンプル前処理を自動化すれば、1 シフトあたりの分析時間を
    30 分以上短縮できます。これを 1 年あたりの労働時間に換算すると、
    550 時間近くになります  (1 シフトあたり 0.5 時間 x 1 日あたり 3 シフト x 1 年 365 日)。
  • 安全性:サンプル前処理の自動化により、有害な溶媒や試薬への作業者の暴露時間が、通常は 75 % 以上短縮されます。また、小規模な前処理で用いられる試薬量が減ることで、曝露が制限され、可燃性などの危険な溶媒に伴うリスクが
    低減されます。ピペッティング要件の厳しいラボでは、人間工学上の問題も解消されます。
  • 品質:自動サンプル前処理の精度は、各シフトで複数の分析者が前処理を手作業で実施する場合の精度を上回ります。
    そのため、品質と信頼性が向上します。自動処理は再現性が高いため、手作業による前処理よりも優れた一貫性が
    得られ、分析者によるミスのリスクが低減されます。これにより、再分析の回数が減少することで、ラボのコストが
    減少します。また、ミスに起因する規格外製品の補償費用発生というリスクも低減されます。
  • 環境:小規模のサンプル前処理により、廃棄物の量が減り、廃棄コストが減少します。一般に、廃棄物の減少率は
    50 % を超えます。このアプローチは、CMA の Responsible Care® プログラムや ISO 14001 などの環境を考えた
    廃棄物削減計画もサポートしています。

サンプル前処理ワークベンチ は、希釈、内部標準添加、誘導体化などの手間のかかるサンプル前処理に伴うミスを排除し、一貫した精度を実現します。また、オプションのWeighステーション搭載 サンプル前処理ワークベンチ なら、試料を精密に秤量し、GC または LC バイアルに直接送ることができます。これにより、特定の ASTM および EN メソッドなどで求められる重量計算が可能になります (図 2)。

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サンプル前処理ワークベンチ で処理されるサンプルは、あらゆるメーカーが提供するほぼすべての機器で使用することができます。一貫したサンプル処理を約束し、サンプル前処理プロセスのミスや分析者によるばらつきに起因する再注入を排除することで、ラボの費用を削減します。使用する化学物質や溶媒は少量で済みます。廃棄物の量も少なく、サンプルバイアル以外のガラス容器も不要です。また、誘導体化試薬、酸や塩基、その他の有害物質への作業者の曝露も低減されます。そうしたことを実現できるのは、オプションでWeighステーションが搭載できるサンプル前処理ワークベンチだけです。このシステムがラボにもたらす利点の詳細をご確認ください。