Access Agilent 2013年2月号

Agilent 4100 MP-AES による土壌抽出液中交換性カチオンの測定

Annie Guerin
INRA、Laboratoire d’Analyses des Sols

Ute Steeg
アジレント原子分光分析アプリケーションエンジニア

Yolande Abdelnour
アジレント原子分光分析製品スペシャリスト

土壌サンプル中の栄養素の正確なルーチン分析は、土壌の肥沃度を把握するためには必要不可欠です。植物に欠かせない栄養素の多くは、交換性カチオンです。これらのイオンは、土の粒子や土壌中の有機物に緩やかに結合したり、吸着したりしています。カチオン分析により栄養素の不均衡が明らかになれば、適切な成分の肥料を投入し、問題を是正することができます。

この研究では、Agilent 4100 マイクロ波プラズマ原子発光分光分析装置(MP-AES) を用いた土壌中 Ca、K、Mg、Mn、Na の測定について説明します。この分析では、MP-AES で得られた分析結果を、フレーム原子吸光分析 (FAAS) や誘導結合プラズマ発光分光分析 (ICP-OES) などの効果の実証されている他の定評ある分析法や、複数ラボの分析結果と比較し、MP-AES データの信頼性と精度を実証しています。

適切な分析法は?

多元素分析に最適な分析法を選択する際には、多くの要素を考慮する必要があります。多くの場合、妥当な検出範囲を得られる分析法は複数あるため、分析法の選択は、サンプルスループット、使いやすさ、必要なインフラ、継続的な使用コストなどの要素に左右されます。多元素分析の場合、サンプルスループット要件の低い小規模ラボでは FAAS が使用されることが多く、大規模ラボ (サンプルスループット要件が高い) では ICP-OES が使われることがあります。

4100 MP-AES は、検出力、ダイナミックレンジ、分析スピードという点で、FAAS と ICP-OES の中間に位置します。主要性能についてそうした特性を備えた MP-AES は、FAAS にも ICP-OES にも置き換えられる独特の選択肢となり得ます。

MP-AESには、そうした従来の選択肢に比べて、いくつかの明確な技術的利点があります。常にガスを再供給する必要がない Agilent 4100 MP-AES を使えば、継続的な使用コストを大幅に削減できます。また、可燃性ガス (FAAS で必要) の使用を避けられるため、安全性が高まり、無人の夜間分析が可能になります。必要なインフラの少ない MP-AES は、ガス供給が難しかったり、供給に費用がかかったりする遠隔地での分析にも最適です。こうした機能を備えた 4100 MP-AES は、多くの中小規模の農業関連ラボにとって魅力的な分析法です。特に、遠隔地での分析や、使用コストをできるだけ低く抑える必要のあるラボに適しています。

この MP-AESによる Ca の検量線は、MP-AES 分析で得られる代表的な直線性を示しています。

図 1. この MP-AESによる Ca の検量線は、MP-AES 分析で得られる代表的な直線性を示しています。(図を拡大)

この MP-AESによる Ca の検量線は、MP-AES 分析で得られる代表的な直線性を示しています。
 

図 1. この MP-AESによる Ca の検量線は、MP-AES 分析で得られる
代表的な直線性を示しています。

Agilent 4100 MP-AES は、多元素分析に変革をもたらす機器です。この機器で使用されているマイクロ波プラズマは、窒素をベースにしたもので、圧縮空気と Agilent 4107 窒素ジェネレータから供給されます。4100 MP-AES では、アセチレンや亜酸化窒素などの高価な可燃性ガスは必要ありません。また、優れた感度とサブ ppbレベルの検出下限を備えた 4100 MP-AES なら、分析性能と生産性が FAAS よりも向上します。

MP-AES、ICP-OES、FAAS を比較するために、1 M 酢酸アンモニウムを用いて土壌サンプルを抽出し、3 つの分析法により分析しました。

1 は、MP-AES を用いた場合の Ca の検量線を示しています。検量線は、4100 MP-AES を用いた場合に、FAAS よりも優れたダイナミックレンジが得られることを示しています。MP-AES ではサンプル希釈の必要性が減少するため、サンプルの汚染が避けられ、生産性も高まります。

MP-AES、ICP-OES、FAAS により測定した参照分析結果および土壌抽出物中 K 濃度は、MP-AES 分析結果の精度を示しています。

図 2. MP-AES、ICP-OES、FAAS により測定した参照分析結果および土壌抽出物中 K 濃度は、MP-AES 分析結果の正確さを示しています。(図を拡大)

MP-AES、ICP-OES、FAAS により測定した参照分析結果および土壌抽出物中 K 濃度は、MP-AES 分析結果の精度を示しています。

図 2. MP-AES、ICP-OES、FAAS により測定した参照分析結果および
土壌抽出物中 K 濃度は、MP-AES 分析結果の正確さを示しています。

正確なサンプル分析

以下の 2 つのメソッドを用いて、MP-AES で得られた結果の精度を評価しました。i) MP-AES の結果と、他の分析テクニック (FAAS または ICP-OES) で得られた結果の比較。ii) ラボ間試験で得られたデータ (参照分析結果および対応する標準偏差) による MP-AES 分析結果の z スコアの算出。

2 は、カリウム (K) の分析において、4100 MP-AES の結果と他の分光分析法の結果が良好に一致していることを示しています。その他のカチオンでも同様に、一致した結果が得られています。Z スコアも、4100 MP-AES 分析データの正確さを裏打ちしています。

広く受け入れられている分析法と良好に一致

Agilent 4100 MP-AES の分析結果は、ラボ間試験の値や、FAAS および ICP-OES といった定評のある分析法で得られた結果と良好に一致しています。このことは、4100 MP-AES がこの種のアプリケーションに適していることを裏づけています。

また、MP-AES では、従来の定評ある分析法にはない、数多くの利点が得られます。

  • 生産性の向上 – 安全で信頼性の高い多元素分析により、従来の FAAS システムの 2 倍を超えるサンプルスループットが得られます。
  • 高性能 – 磁気的に励起させたマイクロ波プラズマソースにより、FAAS と比べて感度、直線ダイナミックレンジ、検出下限が向上します。
  • 消耗品コストの削減 – 中空陰極ランプや重水素ランプといったバックグラウンド補正用の高価な消耗品が不要になります。
  • 所有コストの削減 – アセチレン、亜酸化窒素といった可燃性ガスやアルゴンのような高価なガスを継続的に供給する必要がありません。

こうした利点が魅力的だと感じたら、Agilent 4100 MP-AES の詳細を紹介したビデオをご覧ください。