機器間でのメソッド移管は、様々な LC 機器を使用する複数の部署間や複数の拠点間で HPLC および UHPLC メソッドを移管させる必要がある分析にとって重要なテーマです。特に医薬品の品質管理のような規制遵守が厳しい環境下では、オリジナルメソッドに修正を加えるのを避ける必要があるため、LC メソッドの移管は非常に大変な作業となります。
メソッド移管に影響を与える多くのパラメータ
パワーレンジ、ディレイボリューム、ミキシング挙動、温度制御、カラム外ボリューム、検出器セルなどはLC の機種によって異なるため、異なる機種間でメソッドを移管する際に影響を与えます。特に問題となるのが、Waters Alliance など旧型の HPLC システムから、Agilent 1290 Infinity LCなど新型の UHPLC システムへメソッドを移管する場合です。こうしたケースでは、リテンションタイムやピークの分離度に違いが生じる可能性があります。
分離能とリテンションタイムに影響を与えるディレイボリュームとミキシング挙動
LC システムのディレイボリュームは、移動相溶媒がカラムに到達する速度を左右します。またミキシング挙動は、実際のグラジエント挙動に影響を与えます。Waters Alliance 2695 HPLC システムのディレイボリュームは 650 µL であり、溶媒はポンプの低圧側で混合されます。それに対して、Agilent 1290 Infinity バイナリ LC システムでは高圧ミキシングが用いられているため、ディレイボリュームは 140 µL 未満です。そのため、単純にそのままメソッドを移管すると、リテンションタイムと分離能が異なる結果が得られます(図 1 参照)。
図 2. ISET 搭載 Agilent 1290 Infinity LC なら、あらゆる旧型の HPLC メソッドや最新の UHPLC メソッドの移管を行い、同じ結果を得ることができます。操作はマウスをクリックするだけです。(図を拡大)
「限りなく」優れた機器間でのメソッド移管を可能にするアジレントの ISET
アジレントの ISET (Intelligent System Emulation Technology:インテリジェントシステムエミュレーション技術)を備えた Agilent 1290 Infinity バイナリ LC は、最も適応能力の高い UHPLC システムです。図2 に示すように、ISET を適用することにより、旧型の HPLC システムで使用していたあらゆるメソッドを最新の UHPLC システムへ移管し、同じ結果を得ることができます。オリジナルのメソッドを変更したり、機器を物理的に修正したりする必要はありません。
この新技術は、アジレントの2つの革新的技術をベースにしています。
図 3.Agilent 1290 Infinity LC の広いパワーレンジにより、HPLC と UHPLC 間におけるメソッド移管がナローボアカラムから標準ボアカラムまで可能になります。
(図を拡大)
メソッド開発と QA/QC の生産性を向上し、コストを削減
Agilent 1290 Infinity バイナリ LC と ISET を組み合わせることで、目的の機器で確実に動作するメソッドをUHPLCの能力を活かすことで迅速に開発することができます。マウスをクリックするだけで、オリジナルのメソッドを開発した他の LC システムと同じ挙動をアジレントのUHPLCが示すため、QA/QC においてメソッドを移管する際の諸問題が解決します。従来のメソッドを ISET で実行することができる一方で、1290 Infinity バイナリ LC が持つ UHPLC の高速、高分離、高感度を最大限に活用することができます。従来の古い LC システムを無理に維持する必要性はありません。
HPLC から UHPLC へ効率的にメソッドを移管する方法の詳細
Agilent ISET 技術を搭載した1290 InfinityバイナリLCの利点や、簡単で効率的な機器間でのメソッド移管の詳細をご確認ください。