Access Agilent 2013年1月号

Agilentの新しいシリンジフィルタを使ってLC カラムの寿命を延長

Limian Zhao
アジレントアプリケーションケミスト

カラムのつまりは、LC 分析においてもっとも頻発する LC カラムのトラブルです [1]。粒子を含むサンプルを注入すると、カラムインレットがつまってカラムの背圧が上昇し、カラム効率が低下し、カラム寿命の短縮につながります。カラムの背圧が高くなると、思いがけなく LC 機器の圧力上限に達した場合に、LC 機器のシャットダウンにつながることがあります。また、接続部でリークが生じ、シャットダウンする可能性もあります。こうした問題により、ラボでの分析が中断され、サンプルをろ過した場合よりも長い時間が無駄になってしまいます。場合によっては、サンプルの前処理をやり直して、さらなるコストが生じることもあります。こうした影響は、サブ 2 µm カラムで特に大きくなります。サブ 2 µm カラムでは通常のカラムより小さいカラムインレットフリットが用いられ、ハイスループット分析に対応する超高圧で使用されるため、サンプル内の粒子の影響を受けやすくなります。カラムインレットフリットに粒子が蓄積すると、カラムの背圧が急激に上昇します。その結果、カラム寿命が短くなり、カラムを頻繁に交換する必要が生じます。

現代の検出器では感度と選択性が向上しているため、迅速で単純なサンプル前処理テクニック (バイオマトリックスサンプル処理におけるタンパク質沈殿など) が広く受け入れられ、活用されています。しかし、そうした単純なサンプル前処理テクニックのみでは、通常はサンプルマトリックスを効率的に精製できません。特に、溶媒中で抽出されたサンプルの場合、満足のいくクロマトグラフィ分離能を得るために、LC システムへの注入に先立ち、乾燥や水性溶液への再溶解が必要となることが一般的です。こうした溶媒変更時における溶解度の変化により、きわめて微小な粒子が生成されることがあります。この粒子をサンプルとともに注入すると、カラムのつまりにつながるおそれがあります。

そのため、こうしたテクニックを用いてサンプルを前処理する場合には、LC 注入前に粒子を完全に除去することが重要です。カラムのつまりを避け、LC カラムの寿命を保つためのもっとも簡単で安価な手法が、サンプルのろ過です。

カラム寿命におけるろ過の効果

0.45 µm フィルタを用いた表面多孔性 LC カラムと 0.2 µm フィルタを用いたサブ 2 µm LC カラムについて、サンプルろ過の影響を検証しました。サンプルにはラテックスビーズの試験溶液を使用しました。また、実際のアプリケーションにおいてろ過および遠心分離とカラム寿命の関連性を検証するために、試験溶液として血漿抽出液を使用しました。

0.002 % Triton X-100 の非イオン界面活性溶液を用いて、0.05 % ラテックスビーズ (0.3 µm および 0.46 µm) 溶液を作成しました。0.3 µm ラテックスビーズサンプルを用いて、サブ 2 µm カラムで 0.2 µm フィルタを用いた場合のカラム寿命への影響を評価しました。また、0.46 µm ラテックスビーズサンプルを用いて、表面多孔性カラムで 0.45 µm フィルタを用いた場合のカラム寿命への影響を評価しました。ラテックスビーズサンプルを直接注入して LC 分析をおこない、ろ過をおこなわない場合のデータを採取しました。その後、対応する Agilent シリンジフィルタを用いて別の 2 mL 溶液をろ過しました。ろ液を 2 mL オートサンプラバイアルに採取し、LC システムに注入しました。

ヒト血漿抽出液を用いて、サブ 2 µm カラムの寿命におけるろ過の影響を評価しました。サンプルの前処理にあたっては、ヒト血漿 2 mLを 50 mL 遠心分離管に入れ、1 % ギ酸を含むアセトニトリル 10 mL を加えました。サンプルをよく撹拌したのち、4,000 rpm で 5 分間遠心分離しました。その後、上澄みを清潔な試験管に移し、窒素流を用いて 37 °C で乾燥させました。最後に、乾燥したサンプルを 10:90 MeOH/H2O に再溶解し、よく撹拌したのち、超音波分解しました。得られたサンプルについて、遠心分離したもの、ろ過したもの、または直接使用したものを比較しました。遠心分離サンプルの場合、溶液を 4,000 rpm で 3 分間遠心分離しました。ろ過サンプルについては、溶液を Agilent 0.2 µm シリンジフィルタに通過させ、ろ液 1 mL を 2 mL バイアルに採取して LC 分析しました。直接使用サンプルについては、さらなる処理をおこなわずに溶液を LC カラムに注入しました。

分析 1 回ごとに、カラムを検出器から外し、廃液に直接廃水しました ( 13 参照)。注入回数とともにカラム背圧を記録しました。カラムの背圧が 1,000 bar (UHPLC) または 500 bar (HPLC) を超えると、カラムに不具合が見られました。高圧により分析中に機器がシャットダウンするなどの現象が発生しない限りにおいて、1000 回注入シーケンスを採用しました。また、シーケンスごとに新しいカラムを使用しました。

 サブ 2 µm カラムの寿命における Agilent 0.2 µm シリンジフィルタによるろ過の影響。ラテックスビーズ (0.3 µm) サンプルをろ過。

図 1. サブ 2 µm カラムの寿命における Agilent 0.2 µm シリンジフィルタによるろ過の影響。ラテックスビーズ (0.3 µm) サンプルをろ過。 (図を拡大)

 サブ 2 µm カラムの寿命における Agilent 0.2 µm シリンジフィルタによるろ過の影響。ラテックスビーズ (0.3 µm) サンプルをろ過。。

サブ 2 µm カラム寿命分析の UHPLC 条件

カラム

Agilent ZORBAX RRHD Eclipse Plus C18、
2.1 x 50 mm、1.8 µm

移動相

アセトニトリル:水 (35:65、v/v)

流速

0.4 mL/min、アイソクラティック

注入量

1回につき10µL、1分につき1回注入

従来カラム寿命分析の HPLC 機器条件

カラム

Agilent Poroshell 120 EC-C18
Solvent Saver、3.0 x 50 mm、2.7 µm

移動相

アセトニトリル:水 (35:65、v/v)

流速

1.0 mL/min、アイソクラティック

注入量

1回につき50µL、1分につき1回注入


図 1.サブ 2 µm カラムの寿命における Agilent 0.2 µm シリンジフィルタによるろ過の影響。
ラテックスビーズ (0.3 µm) サンプルをろ過。

Agilent Captiva PES シリンジフィルタでは、タンパク質ろ過において他メーカーの PES および  PVDF シリンジフィルタ (0.2 µm フィルタ) よりも高い回収率が得られます。

図 2. サブ 2 µm カラムの寿命における Agilent 0.2 µm シリンジフィルタによるろ過の影響。ヒト血漿抽出サンプルをろ過。(図を拡大)

サブ 2 µm カラムの寿命における Agilent 0.2 µm シリンジフィルタによるろ過の影響。ヒト血漿抽出サンプルをろ過。

図 2. サブ 2 µm カラムの寿命における Agilent 0.2 µm シリンジフィルタによるろ過の影響。ヒト血漿抽出サンプルをろ過。

Agilent Captiva PES シリンジフィルタと他メーカーの PES および  PVDF シリンジフィルタにおける濃度 0.1~1.0  mg/mL の「くっつきやすい」ミオグロビンの回収率の比較。

図 3. 表面多孔性カラムの寿命における Agilent 0.45 µm シリンジフィルタによるろ過の影響。ラテックスビーズ (0.46 µm) サンプルをろ過。 (図を拡大)

表面多孔性カラムの寿命における Agilent 0.45 µm シリンジフィルタによるろ過の影響。ラテックスビーズ (0.46 µm) サンプルをろ過。

図 3. 表面多孔性カラムの寿命における Agilent 0.45 µm シリンジフィルタによるろ過の影響。
ラテックスビーズ (0.46 µm) サンプルをろ過。

この分析結果は、LC システムへの注入前にサンプルをろ過すれば、カラム寿命が大幅に向上することを明らかに示しています。

ニーズに適したフィルタ

アジレントでは、サンプル溶液中の粒子が問題を引き起こす状況に対応するために、幅広いメンブレンシリンジフィルタを提供しています。フィルタメンブレンを包む不活性のポリマーハウジングは、サンプルがメンブレンの表面全体に広がる設計になっているため、最高のキャパシティが得られます。抽出物を避けるために、接着剤や接合剤を使用せずに製造されています。Agilent シリンジフィルタの提供する多くの利点の詳細情報をチェックし、幅広い製品のなかからお客様のニーズに合うものを選択してください。Agilent シリンジフィルタによるカラム寿命の向上をぜひとも実感してください。

References

  1. R.E.Majors, “Current Trends in HPLC Column Usage”, LCGC, Jan1, 2012.