Access Agilent 2012年4月号

微量分析の信頼性と生産性を高める Agilent ウルトライナートライナ

Limian Zhao
アジレントアプリケーションケミスト

GC 注入口ライナは、サンプルフローパスを構成する重要な要素です。ライナはサンプルが気化し、キャリアガスと混合され、キャピラリカラムに導入される場所であるため、ライナの設計とケミストリは、カラムへの化合物の導入に大きな影響を与える可能性があります。

ウール入り注入口ライナは、サンプルを均一に混合し、定量性能を高めるほか、サンプルの気化を促進し、不揮発性残留物を捕捉することから、よく用いられています。こうした特性はいずれも、GC カラムを保護し、機器メンテナンスの頻度を低減します。しかし、ウールを確実に不活性化できず、目的物質である活性化合物を捕捉してしまう可能性があるため、ウール入り注入口ライナの使用には限界があります。

新しい Agilent ウール入りウルトライナートライナは、欠点を生じさせずに、ウールの利点のすべてを提供するものです。アジレント独自の製造プロセスにより、ウールを確実に不活性化し、感度の低下を防止しています。

左のウール入り GC ライナはサンプルマトリックスを捕捉しています。右のウールなしライナでは、マトリックスにより GC システムが汚染されます。

図 1. 左のウール入り GC ライナはサンプルマトリックスを捕捉しています。右のウールなしライナでは、マトリックスにより GC システムが汚染されます。

ウールなしのライナを使うと、高マトリックスサンプルの分析でメンテナンスの頻度が高まり、ダウンタイムが長くなることがあります。

GC/MS システムに食品抽出液などの高マトリックスを導入すると、分析カラムや検出器の性能が低下し、カラムの寿命が短くなったり、MS ソースのメンテナンスの頻度が増えたりすることがあります。

図 1を見ると、ウールなしライナの底部に高サンプルマトリックスが蓄積しているのがわかります。この蓄積は、高サンプルマトリックスがライナボディを通過してフローパスに入りこみ、注入口からカラム、さらには MS イオン源に至るまでのあらゆる場所を汚染していることを示唆しています。この蓄積が生じると、ライナの交換や注入口の洗浄、カラムのトリミング、場合によってはカラムの交換、MS イオン源の洗浄などに伴い、長いダウンタイムが生じることになります。

通常のウールライナは活性化合物を捕捉しますが、感度の低下につながります。

沸点の高いマトリックス干渉を捕捉し、「不要物」が GC や GC/MS システムを汚染するのを防ぐためには、ウール入りライナの使用が明白な解決策のように思えます。しかし、ガラスウールライナにも、独自の欠点があります。

ウール表面の活性部位が反応性の高い分析対象化合物を捕捉するため、そうした化合物が分離や分析のためのカラムに導入できず、最終的にシステム感度が大幅に低下することがあります。表面積が広いガラスウールは、活性が高く、ガラスウール表面でのシラノール (-SiOH) の不活性化性能が低いため、ウールライナの実用的な使用には限界があります。こうした活性部位は、定性分析や定量分析の精度を低下させます。

全般的に見て、従来の不活性化テクニックでは、ガラスウール表面を効率的に不活性化することができませんでした。ウールに残された活性部位により、分析対象化合物がカラムに到達する前に、反応性の高い化合物が分解または吸着してしまいます。特に反応性の高い化合物では、この現象により感度が低下します。そのため、ガラスウール入り注入口ライナは、農薬や半揮発性化合物などの活性が高い物質の微量分析には推奨されていませんでした。

Agilent ウルトライナートライナでは、ウルトライナート機能のないライナ (下図) に比べて、分析対象化合物の完全性が保護されています (上図)

図 2. Agilent ウルトライナートライナでは、ウルトライナート機能のないライナ (下図) に比べて、分析対象化合物の完全性が保護されています (上図) (図を拡大)。

Agilent ウルトライナートライナでは、ウルトライナート機能のないライナ (下図) に比べて、分析対象化合物の完全性が保護されています (上図)

図 2. Agilent ウルトライナートライナでは、ウルトライナート機能のないライナ (下図) に比べて、
分析対象化合物の完全性が保護されています (上図)

Agilent ウール入りウルトライナートライナは、感度を低下させずに活性化合物を捕捉します。

Agilent ウール入りウルトライナートライナを使えば、両方の利点が得られます。アジレント独自の製造プロセスにより、半揮発性化合物、農薬、違法薬物などの微量分析に求められる感度を維持しながら、高マトリックスサンプルを注入できるウール入りライナが実現しました。表面が高度に不活性化されたライナとウールにより、注入口、カラム、ひいては MS ソースが保護されるのに加えて、図 2に示すように、表面活性の影響が大幅に低下します。

タッチレスパッケージによりメンテナンスをさらにスピードアップ

すでに説明したように、ウルトライナートライナは優れた不活性を備え、GC/FID による半揮発性化合物の微量分析の精度を高めます。しかし、利点はそれだけではありません。タッチレスパッケージのおかげで、点検がスピードアップします。タッチレスパッケージでは、GC/MS 抽出試験により承認された製薬グレードの PTEG チューブでウール入りウルトライナートライナが提供されることに加えて、洗浄およびコンディショニング済みで、ノンスティックプラズマ処理が施された O リングがあらかじめ設置されています。そのため、O リングを探して設置する手間をかけずに、新しいライナを取り付けることができるので、時間を短縮し、生産性を高め、汚染のリスクを低減することが可能です。さらに、Agilentウルトライナートライナは、経済的なバルクパックでも提供されているため、コストの制約が大きいハイスループットラボのニーズも満たすことができます。

違法薬物 (5990-7596EN)、農薬 (5990-7706EN)、半揮発性化合物 (5990-7381EN) の微量分析に関する最新の Agilent アプリケーションノートをダウンロードし、その利点をお客様の目でお確かめください。Agilent J&W ウルトライナート GC カラムファミリを含むアジレントのウルトライナート製品群をチェックし、ウルトライナートのあらゆる利点をご確認ください。