Access Agilent 2012年2月号

固相抽出メソッドの高速化のための新しいアプローチ

Kelly Colwell
アジレントプロダクトマーケティングマネージャ、
サンプル前処理

血清や血漿などの生物学サンプルでは、液体クロマトグラフ/トリプル四重極質量分析検出器(LCMSMS)を用いれば、さまざまな分析対象物をあらゆる濃度で多くのデータを得ることができます。また、自動化とデータ管理システムにより生産性が高まるため、分析スピードの制約となる唯一の要素は、サンプル前処理ということになります。タンパク質サンプルに対して、沈殿と希釈のみを実施する前処理は迅速で簡単ですが、これらの非選択的なメソッドによるサンプル前処理は、濃度の低い分析対象物では不適切であるケースがしばしばです。それに対して、固相抽出 (SPE) は、選択性のもっとも高いサンプル前処理手法として広く認識されています。しかし、SPE メソッドの開発は困難で、時間がかかることがあります。

VersaPlate 相

SPEC 相

C18

C18AR (耐酸性)

C8

C18

NH2

C8

SAX

C2

SCX

CN

DEA

PH

Certify (ミックスモード、C8 + SCX)

MP1 (ミックスモード、C8 + SCX)

Chem Elut (ケイソウ土)

MP2 (MP1 と同様、極性保持力を付加)

表 1. VersaPlate および SPEC 相

メソッド開発を効率化する VersaPlate と SPEC

アジレントでは、SPE メソッド開発を高速化するための複数のアプローチを提供しています。そのうちの 2 つが、ここで紹介する SPEC と VersaPlate です。SPEC (Solid Phase Extraction Concentrator:固相抽出コンセントレータ) は、各種の相をもつ 96 ウェルメソッド開発プレートとして利用できます。Agilent SPEC は、モノリシック型の抽出ディスクで、シリカベースのパックドベッドフォーマットよりもボイドボリュームが小さくなっています。そのため、高速のフローが得られ、溶出量は小さくなります。もう 1 つのアプローチである Agilent VersaPlate では、任意の Agilent Bond Elut 相を充てんしたカートリッジ/チューブを挿入し、96 ウェルプレートをカスタマイズすることができます。また、サンプル数に応じてチューブの数を設定できるため、96 より少ないサンプル数でもプレートすべてを無駄に使う必要はありません。未使用のチューブは、簡単に取り外して、後日使用することができます。表 1 に、Agilent VersaPlate および SPEC 相の一部を記載しています。

ここでは、SPEC キットを用いて、同じプレートで複数の相を用いることで、幅広い結果が得られることを実証しました。これらの結果を活用すれば、最高のデータが得られる相と条件を迅速かつ簡単に特定することができます。VersaPlate では、SPEC と同じスピードと柔軟性が得られます。図 1 は、血漿分析の一般的な溶出条件とレイアウトを示しています。

Agilent SPEC および VersaPlate による血漿固相抽出を用いたメソッド開発の  96 ウェルプレートレイアウトと溶出条件

図 1. Agilent SPEC および VersaPlate による血漿固相抽出を用いたメソッド開発の 96 ウェルプレートレイアウトと溶出条件 (図を拡大)。

Agilent SPEC および VersaPlate による血漿固相抽出を用いたメソッド開発の  96 ウェルプレートレイアウトと溶出条件

図 1. Agilent SPEC および VersaPlate による血漿固相抽出を用いたメソッド開発の 96 ウェルプレートレイアウトと溶出条件

Agilent SPEC メソッド開発キットを用いた一般的な溶出プロフィール。こうしたデータをもとに、データが得られた相を用いて、40~50 % での洗浄後に 70 % で溶出するメソッドを選択することができます

図 2. Agilent SPEC メソッド開発キットを用いた一般的な溶出プロフィール。こうしたデータをもとに、データが得られた相を用いて、40~50 % での洗浄後に 70 % で溶出するメソッドを選択することができます (図を拡大)。

Agilent SPEC メソッド開発キットを用いた一般的な溶出プロフィール。こうしたデータをもとに、データが得られた相を用いて、40~50 % での洗浄後に 70 % で溶出するメソッドを選択することができます

図 2. Agilent SPEC メソッド開発キットを用いた一般的な溶出プロフィール。こうしたデータをもとに、
データが得られた相を用いて、40~50 % での洗浄後に 70 % で溶出するメソッドを選択することができます

有機溶媒のパーセンテージに対してピーク面積または濃度をプロットすれば、溶出プロフィールが得られます。一般に、有機濃度が低いと、分析対象物はほとんど、またはまったく観察されません。有機濃度を上げていくと、一部の溶出が観察できるようになり、その後、急激に上昇し、最終的にはほとんどまたはすべての分析対象物が溶出して水平になります。図 2 に、溶出プロフィールの例を示しています。通常、溶出プロフィールはプレートの SPE 相の種類によって異なります。そのため、最適な相とメソッド条件を迅速に判断することができます。

この簡単な手順により、比較的短い時間で多くのデータが得られます。ほとんどのケースでは、異なる疎水性相を用いると、顕著に異なる性能やレスポンスが得られます。溶出プロフィールを目視により調べて回収率を計算すれば、最適な SPE 洗浄条件や溶出条件を判断できます。多くの場合、有機濃度を低くした溶出では、回収率を損なわずにクリーンな抽出液が得られます。ミックスモードの相は、比較に便利な選択肢です。条件の修正により、SPE メソッドを確認し、最適化することが可能です。

SPE を効率化する柔軟なフォーマット

Agilent VersaPlate および SPEC では一般に、異なる構成で少数のサンプルを処理したり、自動システムであらかじめアセンブルしたプレートを処理したりすることができますが、96 ウェルマニフォールドや標準 SPE マニフォールドを用いてサンプルを手動で処理することも可能です。

VersaPlate では、カスタムのメソッド開発プレートを作成し、同じ 96 ウェルプレートを用いて、複数の吸着剤/ベッドマス構成を検証することができます。また、液体ハンドリング自動化やマルチチャンネルピペットを用いた場合よりも、迅速に SPE メソッドを開発および最適化することが可能です。または、標準 SPE マニフォールドに個別の VersaPlate チューブを取り付け、メソッド条件を検証することも可能です。VersaPlate では、自動化のためのメソッドの最適化の手間を低減できるため、時間も短縮されます。さらに、チューブの背が高く、サンプルのクロス汚染を防止できるため、標準プレートにはない利点も得られます。

SPEC 96 ウェルメソッド開発キットを使えば、自動プラットフォームで用いた場合に優れたフロー特性が得られます。フローが 96 ウェルすべてで均一になり、再現性も高いため、回収率が向上します。また、溶出量が小さいため、分析対象物の濃度が高くなり、感度も向上します。

サンプル前処理を能率化し、高速化する Agilent SPEC および VersaPlate の詳細をご確認ください。購入については、お近くの Agilent 販売店にお問い合わせください。