Access Agilent 2012年1月号

Agilent Method Translator により HPLC 分析時間を最小限に短縮

Ronald E. Majors
アジレントシニアケミスト

多くの HPLC ラボは、サンプル数の大幅な増加と分析者の減少といった問題に直面しているため、サンプルスループットを迅速に向上させる必要があります。多くの場合、このようなラボでは、既存の機器でより多くの対象化合物を分析できるように、分析時間を劇的に短縮しなければなりません。このため、多くのラボは、粒子径の小さい HPLC カラムや、高い流量で使用する表面多孔性カラムにカラムを変更しています。これらのラボでは、ピークの分離能を維持しながら、既存の HPLC メソッドをこれらの新しいカラムに容易に変換できるソフトウェアツールを緊急に必要としています。そのようなツールの 1 つが Agilent Method Translator です。このツールは、手間の掛かる手動による計算なしでメソッドを変換します。そして、このオンラインツールは無料です。

スループットの向上が必要なラボは、メソッド変換を容易に行うことを望んでいます。化合物の溶出順序と分離能は同一のまま、速度を向上させる必要があります。これは、アイソクラティックメソッドとグラジエントメソッドの両方に当てはまります。ただし、ケミストは、粒子サイズ、カラム長、内径、流量、保持係数、注入量、サンプル濃度、カラム背圧など、メソッド変換時に多くの変数を考慮しなければなりません。これは、多大な労力を必要とする作業です。

幸運にも、更新された分析の目標を満たす新しいクロマトグラフィ条件を確立するための方程式があります。アイソクラティック HPLC では、これらの方程式は比較的簡単ですが、グラジエント分析では多くの課題があります。Agilent Method Translator はいずれの計算も実行できます。

画面: トコフェロールのアイソクラティック分離の単純なメソッド変換。左側に元のメソッド、右側に新しい高速メソッドを示します。

図 1. 画面: トコフェロールのアイソクラティック分離の単純なメソッド変換。左側に元のメソッド、右側に新しい高速メソッドを示します。 (図を拡大)。

画面: トコフェロールのアイソクラティック分離の単純なメソッド変換。左側に元のメソッド、右側に新しい高速メソッドを示します。

図 1. 画面: トコフェロールのアイソクラティック分離の単純なメソッド変換。左側に元のメソッド、右側に新しい高速メソッドを示します。

例 1: 速度を上げるためのアイソクラティックメソッドの変換

Agilent Method Translator の使用方法を説明するために、3 種類のビタミン E トコフェロールのアイソクラティック分離で分析時間を短縮し、溶媒消費量を削減しました。このメソッドでは、従来の 400 bar HPLC システムを UV 検出とあわせて使用しました。元のメソッドの分離時間は 15 分間でした。既存の条件を無料のオンライン Agilent Method Translator に入力し、小さい粒子が充てんされた短いカラムを使用する高速メソッドの条件を指定しました (図 1)。Method Translator では自動化システムの「チェックおよびバランス」を使用し、システムが確実に正しく変換を行うようにします。

更新されたメソッドでは、元の長さの 3 分の 1 のカラムを使用します。所要時間は 3 分の 1 で、溶媒の使用量は 67 % 削減されます。注入量は元のメソッドの 3 分の 1 です。出だしは順調です。

これらの元のメソッドの変更は HPLC を変更しないで行いましたが、この短い HPLC カラムでは、従来の HPLC システムの大きいシステムディレイボリュームによってピークが拡散し、理論段数が失われることがわかりました。ピーク拡散を低減するために、HPLC 接続チューブとフローセルを小さいものと交換しました。このような変更によってカラム外ボリュームが 3 分の 2 減少し、有効段数が増加したため、分析性能も向上しました。

従来のアイソクラティックメソッドと変換後の流量 3 mL/min のアイソクラティックメソッドの比較。

図 2. 従来のアイソクラティックメソッドと変換後の流量 3 mL/min のアイソクラティックメソッドの比較。 (図を拡大)。

従来のアイソクラティックメソッドと変換後の流量 3 mL/min のアイソクラティックメソッドの比較。

図 2. 従来のアイソクラティックメソッドと変換後の流量 3 mL/min のアイソクラティックメソッドの比較。

速度をさらに最適化するために、Agilent Method Translator では、流量を 3 mL/min まで上げることを推奨しています。この高い流量では圧力が 224 bar に上昇しますが、これでもシステムの正常な動作範囲内に収まっています。図 2の左側のクロマトグラムが最終的な分析を表しています。Method Translator を使用することで、分析時間を 8.9 分の 1 に短縮し、1 回の分析あたり 10 mL の溶媒を削減することができます。この場合でもピークは十分に分離され、形状も良好です。新しいカラムおよび機器構成を入力すると、多くの機器設定は Method Translator によって自動的に調整されます。

例 2: グラジエント分析から高速メソッドへの変換

グラジエント溶出は、分析時間を短縮し、ピークキャパシティと感度を向上させることができるため、一部の HPLC 分析ではきわめて重要です。ただし、グラジエントメソッドで 1 つのメソッドパラメータを変更した場合は、グラジエント方程式に従って、それに比例するように別のパラメータを調整してオフセットする必要があります。たとえば、カラム長を短くした場合は、グラジエント時間や流量によってオフセットするか、または %B を増加させる必要があります。幸い、Agilent Method Translator はこのような変数にも対応するため、高速分析の新しい条件を見つける際に役立ちます。最近の LCGC のテクニカルノートでは、Agilent Method Translator を使用して、グラジエントメソッドで時間を 4.6 分の 1 に短縮する方法について説明しています。詳細については、記事全文をご覧ください。

生産性を向上するためのその他の方法

ラボの生産性を向上させるために、アジレントは、スループットの向上と優れた結果の達成に役立つ高速 LC カラムを提供しています。

・ 1200 bar までの安定性を備えた Agilent ZORBAX ラピッドレゾルーション High Definition (RRHD) ファミリには 12 を超える相があり、他の ZORBAX カラムと同じ相を使用しているため、既存のメソッドからの拡張が容易です。

Agilent Poroshell 120 カラムは従来の機器の効率を大幅に向上し、時間を短縮します。また、機器をアップグレードする場合には、高圧への拡張が容易です。Poroshell 120 カラムは ZORBAX ファミリの 1 つであるため、相の選択性が非常に類似しており、容易にメソッド変換ができます。

分析速度の向上

サンプルが大量にある場合に、HPLC メソッドを変換して高いサンプルスループットを達成する必要がある場合は、Agilent Method Translator が役立ちます。時間が掛かる、エラーが発生しやすい計算は不要です。詳細については、この便利なツールに関するテクニカルノートをご覧ください