Access Agilent 2011年10月号

効率の良いタンパク質のサイズ分離をおこなうための最適なカラムの選択

Linda Lloyd
アジレントプロダクトマネージャ、バイオカラム

Keeley Mapp
アジレントLCアプリケーションケミスト

分析の目的を明確にしましょう

タンパク質の分子量、大きさ、凝集、分解断片化について正確な情報が必要になるかどうかは、アプリケーションによって異なります。創薬やプロセスモニタリングではスピードと分離能が求められますが、最終製品の QA/QC では、定量の精度がもっとも重要となります。カラムやメソッドパラメータを検討する際には、分離の目的を明確に定義し、分離のスピードや分離能をコントロールするパラメータを完全に理解することが不可欠です。

図 1. Agilent Bio SEC-3 カラムでは、非特異的相互作用が小さくなります (溶媒 B) (図を拡大)。

図 1. Agilent Bio SEC-3 カラムでは、非特異的相互作用が小さくなります (溶媒 B)。

図 2. 実験前後のタンパク質標準の分離による非特異的相互作用の特定 (溶媒 A)(図を拡大)。

図 2. 実験前後のタンパク質標準の分離による非特異的相互作用の特定 (溶媒 A)。

図 3. Agilent Bio SEC-3 カラムでは、タンパク質テスト用ミックス (左) とポリクローナルマウス IgG (右) の分析において、優れたフラグメンテーションパターンが得られています (溶媒 A) (図を拡大)。

図 3. Agilent Bio SEC-3 カラムでは、タンパク質テスト用ミックス (左) とポリクローナルマウス IgG (右) の分析において、
優れたフラグメンテーションパターンが得られています (溶媒 A)。

この例では、一般的な組み換え生物医薬品の特性範囲 (抗体から小型球状タンパク質まで) をカバーする一連のタンパク質標準を用いて、分離能とデータ品質におけるパラメータの影響を測定しました。

非特異的相互作用の特定

サイズ排除クロマトグラフィ (SEC) では、特定のサイズにもとづく分離を確保し、固定相との二次的な相互作用が生じないようにする必要があります。タンパク質の SEC では、通常はシリカ系の充填剤が用いられます。この充填剤は、不活性な親水性表面をもつように、化学的に修飾されています。しかし、この化学修飾が不十分だと、もともとのイオン交換特性が残ってしまいます。また、ポリマーを導入しすぎると、疎水性相互作用が生じる可能性もあります。

堅牢な SEC 分離をおこなうためには、幅広い塩濃度にわたってサイズ分離を実行できるカラムが必要となります。塩濃度が 25~500 mM NaCl の 4 種類のタンパク質 (リゾチーム、α-キモトリプシノーゲン A、オボアルブミン、ミオグロビン) について、リテンションタイムとピーク形状を調べ、表面電荷と疎水性を検証しました。カラムの製造において異なる粒子ケミストリが用いられていると文献に記載されていることから、3 種類のカラム (Agilent Bio SEC-3、ベンダー A、ベンダー B) を使用しました。

条件

カラム

Agilent Bio SEC-3、300Å、4.6 x 300 mm、3 µm
ベンダー A、4.6 x 300 mm、1.7 µm
ベンダー B、4.6 x 300 mm、4 µm

機器

Agilent 1290 Infinity または Agilent 1260 Infinity UHPLC

溶媒 A

150 mM リン酸バッファ、pH 7

溶媒 B

20 mM リン酸バッファ + x mM NaCl、pH 7

流速

0.35 mL/min (4.6 mm)

検出

UV、220 nm

サンプル

BioRad ゲルろ過標準 (溶媒 5 mL で希釈した 1  バイアル) チログロブリン、γ-グロブリン、オボアルブミン、ミオグロビン、ビタミン B12
リゾチーム、α-キモトリプシノーゲン A、オボアルブミン、ミオグロビン
マウス IgG

図 1 のクロマトグラムは、3 つのカラムの非特異的相互作用の違いをはっきりと示しています。リゾチームのリテンションタイムで示されているように、低塩濃度条件では、3 つすべてでイオン相互作用が見られますが、ベンダー A のカラムでは、高い塩濃度でも非特異的な相互作用が見られています。

図 2 は、各種の塩濃度を用いた非特異的相互作用の評価が完了したのちに、タンパク質標準の分離をおこなった際の効率と分離能の変化を示しています。Agilent Bio SEC-3 カラムがもっとも高い堅牢性を示しました。

ピーク面積の比較でも、3 つのカラムで違いが見られます (図 2)。ベンダー A のカラムは、縮小幅がもっとも大きく、回収率が悪いことが示されています。この点については、実験前後の BioRad タンパク質テスト用ミックスの分離の比較でも確認しました。カラム効率の低下は、推奨洗浄手順の実行により、ある程度まで回復しました。

ポリクローナルマウス抗体の分離

ポリクローナルマウス IgG および BioRad タンパク質テスト用ミックスを用いて、分離におけるケミストリと粒子径の影響をさらに評価しました。効率の計算には、ミックス中のビタミン B12 ピークを使用しました。粒子径が小さいほど段数が高くなりますが、Agilent Bio SEC-3 では、もっとも明確なモノ IgG のフラグメンテーションパターンが得られています (図 3)。

メソッドを向上

粒子と表面ケミストリはいずれも、SEC のイオン性または疎水性の非特異的相互作用に影響を与えます。非特異的相互作用を最小限に抑えるためには、カラム固定相の特性と分析するタンパク質をもとに、分離に最適な溶媒を決定する必要があります。サンプル回収率も、固定相と溶媒により異なります。サンプルのロスに注意を払わないと、カラムの汚染によりカラム性能が低下します。粒子が小さいほど効率は高くなりますが、かならずしも重要な分離におけるパフォーマンスが向上するとは限りません。

アジレントのアプリケーションノート 5990-8613EN では、モノクローナル抗体の高速分離をおこない、二量体をわずか 4 分で定量する方法を紹介しています。こちらをクリックすれば、Agilent Bio SEC カラムの詳細をご覧いただけます。