Access Agilent 2011年10月号

Poroshell 300SB-C8 を用いた抗体の微細構造の分析

Robert Ricker
アジレントサイエンティスト

抗体は、免疫作用の鍵となるタンパク質種です。抗体はきわめて高い特異性により、抗原やタンパク質ドメイン、糖タンパク質、DNA などと結合します。そのため、診断や一般研究、治療といった用途において、きわめて貴重な物質となっています。

IgG は、2 つの重鎖 (各 50 kDa) と 2 つの軽鎖 (各 25 kDa) をもつ抗生物質の一種で、これらの鎖はジスルフィド架橋により結合しています。カルボキシ末端ドメインは保存されますが、アミノ末端ドメインはアミノ酸配列において変化し、これにより分子の特異性と多様性が生まれます。この種の抗体のほとんどはグリコシル化されていて、これにより分子の多様性がさらに大きくなります。

各種の化学物質や酵素でインタクト抗体を処理すると、さまざまに異なる結果が得られます。ジチオスレイトール (DTT) は、ジスルフィド架橋を分断し、重鎖と軽鎖を遊離します。ペプチド-N-グリコシダーゼ F は、炭水化物部分を除去します。カルボキシペプチダーゼ -B は、C 末端を切断します。抗体の変化や切断に関するこれらのさまざまなメカニズムを利用すれば、抗体の一般的な構造を研究することができます。

抗体分析の貴重なツールとなる Poroshell カラム

Stablebond 技術を用いた Agilent Poroshell 300SB-C8 カラムは、さまざまな内径および結合相により、タンパク質やペプチドの高速分離において幅広い選択肢を提供します。このカラムは、高速 UHPLC メソッド開発や抗体の分析において、貴重なツールとなります。最適な Poroshell カラムは、サンプルの分子量や不均質性により異なります。このメソッドでは、以下の条件を用いました。

図 1. Poroshell 300SB-C8 により、各種の切断試薬で処理したあとの IgG の微細構造が明らかになります (図を拡大)。

図 1. Poroshell 300SB-C8 により、各種の切断試薬で処理したあとの IgG の微細構造が明らかになります。

カラム

Poroshell 300SB-C8、2.1 x 75 mm、5 µm (p/n 660750 -006)

移動相

A、水:ACN 90:10
B、水:ACN 10:90
A および B は 0.1 % TFA および 3 mL/min PEG 300 を含む

グラジエント

時間(分)

%B

0.0

25

10.0

40

10.1

25

12.0

25

温度

70 ℃

流速

1.0 mL/min

検出

UV、210 nm

図 1 のクロマトグラムは、抗体の重鎖型 (5~6 分で溶出しているピーク) の分離に最適化した高速逆相分析の結果を示しています。グラジエントプロフィールを最適化する際に、さまざまな型の重鎖 (50 kDa) を区別できます。上段のクロマトグラムは、DTT でジスルフィド結合を分断した IgG 抗生物質サンプルの分析結果を示しています。吸光度 (質量) の異なる 2 つの IgG 重鎖型が見てとれます。

IgG サンプルをさらに炭水化物切断酵素 (ペプチド-N-グリコシダーゼ F) により処理し、同じ条件でクロマトグラフィ分離をおこなうと、新たな位置および異なる比率で溶出する 2 つの重鎖型が検出されます。これらの重鎖は、グリコシル化型と非グリコシル化型、または異なる配座異性体と考えられます。

下段のクロマトグラムは、さらにカルボキシペプチダーゼ -B (IgG 重鎖の C 末端を切断) で処理したサンプルの分離結果を示しています。この最後の処理では、クロマトグラフィの溶出パターンにはほとんど変化が生じませんが、ピーク面積比は若干変化します。この研究では、鎖型の定量やさらなる酵素処理や修正、ダウンストリームで用いる抗体の各鎖型の分離において、この高速/高分離能分析を使用できることが示されています。この研究では、2 つの重鎖型についての初期情報を採取しましたが、さらなる分析により、抗体の構造や機能を解明することも可能です。

高速、高圧分析

Agilent Poroshell 300Å を用いた高速分離は、短い分析時間での抗体の高分離能 UHPLC 分離を可能にします。たとえば、この分析は 10 分未満で完了し、全面多孔粒子カラムを用いた 50 分の分析と同等の分離能が得られています。また、分析時間が短くなるため、メソッド開発も高速化します。さらに、このカラムは最高 600 bar の UHPLC 条件で使用できます。

詳細

この重鎖 IgG 分析の詳細については、アジレントアプリケーションノート 5989-0070EN でご覧いただけます。IgG 軽鎖に最適化した分析の詳細については、アジレントアプリケーションノート 5989-0030EN をご覧ください。その後、Agilent Poroshell カラムの多くの利点や、ラボでの導入方法などの詳細をご確認ください。

データ提供:Kurt Forrer 博士、Patrik Röethlisberger 氏、Novartis Pharma、バーゼル