Access Agilent 2011年9月号

異なる LC 機器間のメソッド移管の問題を ISET により解決

Christian Gotenfels
アジレント 液体クロマトグラフ プロダクトマネージャ

異なる部署、場所、および LC 機器間で HPLC および UHPLC メソッドを移管するすべての業界のすべてのラボにとって、異なる機器間でメソッドを移管することができるかどうかは重要なトピックスです。これは、R&D、CRO、およびメーカー間での分析メソッドの移管が新製品の開発に不可欠のプロセスとなる医薬品業界に特に当てはまります。FDA による数百件の所見と、USP 1224 の新しい章、「Transfer of analytical procedures」の提案は、このメソッド移管の重要性を強く示しています。これが、アジレントの ISET (Inteligent System Emulation Technology:インテリジェントシステムエミュレーション技術) がメソッドを移管するすべてのラボで必要になる理由です。

ディレイボリュームと移動相のミキシング挙動の影響

LC システムのディレイボリュームは、グラジエントがカラムに到達するまでの速さを左右し、移動相のミキシング挙動はグラジエントプロファイルに影響を与えます。したがって、同一の LC メソッドを実行しても、使用するLCシステムが異なると、ピークのリテンションタイムや分離度が異なる結果となります。 (図 1a、1b)。このディレイボリュームと移動相のミキシングの挙動は、いずれも機器の設計によって決まるため、設計の異なるシステム間でメソッド移管を行うと、異なるクロマトグラムが得られるのです。

 

図 1a. UHPLC システムと従来の HPLC の間のディレイボリュームと移動相のミキシング挙動の比較。UHPLC システムの方が、混合溶媒がカラムに到達するまでの時間が非常に短く、グラジエント勾配の傾斜が急であるため、設定された組成にも早く達します。(図を拡大)

 

図 1b.ディレイボリュームとグラジエントミキシング挙動の違いにより生じるカラムの溶媒組成の差によって、ピークのリテンションタイムと分離度が異なる結果となります。 (図を拡大)

ISET を採用した 1290 Infinity LC: 機器間でメソッドを移管するためのソリューション

ISET(Inteligent System Emulation Technology:インテリジェントシステムエミュレーション技術)を使用すると、機器や元のHPLCおよびUHPLCメソッドに変更を加えずに、マウスをクリックするだけで、他のシステムで行った場合の結果と同じクロマトグラムを、1290 Infinity LCで得ることができます。つまりAgilent 1290 Infinity LC は世界初の真の汎用 LC システムとなります。この技術は、次の 2 つのコンポーネントに基づいています。

A. 1290 Infinity LC の最高クラスの性能
Agilent1290 Infinity LCは、幅広い流量‐圧力範囲 (図 2)、比類のない流量およびグラジエント送液の正確性、きわめて低いディレイボリューム、優れた感度を備えており、ISET 技術を実装するための主要な要件を満たしています。

B. 革新的なエミュレーションアルゴリズム
ISET は、ターゲットとなる LC システムのディレイボリュームとミキシング挙動に関する正確な情報と、1290 Infinity LC の高い送液性能を利用して、リテンションタイムにシフトがなく、分離度の変化がない、ターゲット機器と同じグラジエント条件を提供するエミュレーション機能を作り出します (図 3a、3b)。

   

図 2. 1290 Infinity LC の広い流量‐圧力範囲により、ナローボアから標準ボアカラムまで HPLC および UHPLC メソッドを実行することができます(図を拡大)

 

図 3a. ISET を使用すると、ディレイボリュームとミキシング挙動をエミュレートすることにより、1290 Infinity LCによって1100 シリーズLC(バイナリポンプシステム)と厳密に同じグラジエントを実行することができます(図を拡大)

 

図 3b. ISETを適用した結果: 各ピークについてほぼ同一のリテンションタイムと分離度が得られました (機器またはメソッドの変更は不要です)(図を拡大)

メソッド開発と QA/QC の両方で高い生産性とコストの削減を実現

Agilent 1290 Infinity LC および ISET を使用すると、迅速な UHPLC メソッドの開発が可能になるだけでなく、ターゲットの機器をエミュレートすることで開発したメソッドを微調整することができます。この結果、意図したとおりのメソッドを確実に実行することが可能になります。QA/QC で行う装置間のメソッドの移管に問題が発生することはもはやありません。マウスを 1 回クリックし、元のメソッドを開発した LC システムをエミュレートするだけです。従来のメソッドを ISET で実行することができる一方で、1290 Infinity LC が持つ UHPLC の速度、分離能、および 感度を最大限に活用することができます。従来の古い LC システムを維持する必要性は一切ありません。

ISET (Inteligent System Emulation Technology:インテリジェントシステムエミュレーション技術) についての詳細情報、ISET による簡便なメソッドの移管方法、従来のシステムの維持が不要になるしくみについては、このビデオをご覧ください。また、お客様のラボで ISET の機能を活用する方法については、アジレントの担当営業までご相談ください。