Access Agilent 2011年8月号

UHPLC の利点を最大限に高める役立つヒント

Jason Link
アジレントプロダクトマネージャ、LC カラム

分離能、感度、ベースライン安定性という点で、超高性能液体クロマトグラフィ (UHPLC) に勝るものはありません。UHPLC と最先端の UV および MS 技術を組み合わせれば、主成分の 0.001 % までの不純物を検出および定量し、分析時間の短縮という更なる利点を得ることができます。そのため、ここ数年で、分析ツールの選択肢として UHPLC を導入するラボがますます増えているのも当然のことです。

一般に、UHPLC 機器の使用とトラブルシューティングは、従来の高速液体クロマトグラフィ (HPLC) 機器とほぼ同じです。しかし、UHPLC の場合、すべてをスムーズにおこなうためには、従来の機器よりも慎重にクロマトグラフィ上の清浄性(クリーンさ)を保つことが求められるという点を理解しておく必要があります。

慎重なサンプル前処理から始まるクリーン対策

UHPLC では、サンプルのクリーンさが重要です。表 1 に、アジレントのサンプル前処理製品の概要を示しています。このリストを見れば、サンプルの純度レベルや予想されるマトリックス干渉の種類に応じて、分析に適した製品を簡単に見つけることができます。

テクニック 希釈注入 液液抽出 (SLE) 乾燥マトリックス
スポッティング
沈殿/ろ過 脂質除去"スマート"ろ過 固相抽出
干渉   Chem Elut Bond Elut DMS Captiva Captiva ND Lipids Bond Elut SPE
粒子 非対応 非対応 非対応 対応 対応 対応
タンパク質 非対応 部分的に対応 対応 対応 対応 対応
脂質 非対応 非対応 非対応 非対応 対応 対応
オリゴマー
界面活性剤
非対応 非対応 非対応 非対応 対応 対応
非対応 対応 部分的に対応 非対応 非対応 対応
表 1.サンプル前処理用製品

UHPLC カラムに合わせてシステムを最適化する

UHPLC では、長くて細いカラムを用いるか、短いカラムに充てんした小さい粒子の効率を活用するかのいずれかの方法により、流速と分離能を高めて、分析スピードを最大化します。また、UHPLC では溶媒使用量が少なくなるので、MS 検出には特に適しています。ここでは、システムを UHPLC に合わせて最適化する際に念頭に置いておく必要がある重要な指針を紹介します。

  • 接続には小さい (0.12 mm ID) 赤の配管と可能な限り短い配管を用いて、システムのデッドボリュームを最小限にする。
  • システム圧力トレースに異常が生じていないかを監視し、問題を早期に発見する。
  • Agilent UHPLC インラインフィルター (部品番号 5067-4638) を用いて、圧力が 10 % 上昇したらフィルターを交換する。
  • 大量の注入を避け、サンプルが「強い」溶媒に溶解している場合の注入量を 5 µL 未満とする。
  • 内蔵の熱交換器の代わりにマイクロ熱交換器を使い、システムのデッドボリュームを小さくする。
  • データ取り込みスピードを最低 40 Hz に設定し、UV 検出におけるピークあたりのデータポイント数が適切になるようにする。

クリーンな溶媒がクリーンなクロマトグラフィにつながる

ほとんどの高効率カラムの両端には、小型粒子を内包する小さな多孔性フリット (0.5 µm など) が備わっています。しかし、この小さい多孔性フリットが粒子をろ過および捕捉すると、望ましくない圧力上昇が生じることがあります。そのため、システムが汚染されないようにして、UHPLC での使用が保証されている HPLC/MS グレードの溶媒のみを使用し、カラムの詰まりや圧力の上昇を防ぐことが重要です。

溶媒のプロバイダーに、以下のことが保証されているかを確認してください。

  • 溶媒の不純物や金属不純物が少なく、少量サンプルまたは未知サンプルの干渉を防止できること
  • 微量金属の仕様が 5 ppb 以下であること
  • ポジティブおよびネガティブモードに対応する仕様
  • LC/MS および QC テスト; QC テストがしっかりしているほど、溶媒の質は高い

溶媒に関するヒント:

表 2. 一般的な pH 移動相修飾剤 (図を拡大)。

表 3. フィルターと溶媒の適合性 (図を拡大)。

  • 高圧分析では、ガラス製ではなく丈夫なステンレススチール製の溶媒フィルターを使用する。
  • バッファは詰まりが生じる可能性を高める; ガラス製フィルターを使用し、バクテリアの増殖を最小限に抑え、24~48 時間ごとにフィルターを交換する。
  • モディファイアーを混合する場合は常に慎重を期し、一般的な濃度を使用する (表 2 参照)。
  • 細いカラムの場合、分析 1 回あたりの溶媒の必要量が少ないということを覚えておく。
  • 溶媒をできる限り新鮮に保つ。

溶媒とサンプルを慎重にろ過する

ろ過により、汚染の可能性が高まる場合がある点に留意してください。そのため、必ず溶媒に対応したフィルターを使う必要があります (表 3)。

消耗品を確認し、交換する

ダーティなサンプルや大量のサンプルを分析する場合、以下の消耗品を頻繁に交換してください。

  • ポンプピストンとシール
  • オートサンプラニードル、ニードルシート、ローターシール
  • インラインフィルター
ポンプのシール洗浄を利用する

システムのシール洗浄オプションを利用してください。これにより、ポンプシールをクリーンに保ち、劣化を防ぐことができます。シール洗浄オプションが利用できない場合は、アジレント製ポンプにオプションを追加してください。

超高圧用に設計された新しい着脱交換可能なフィッティングを使う

アジレントの 120 MPa 対応着脱交換可能フィッティング (外径 1/16 in キャピラリ用) は、流路のあらゆる場所で使用できますが、再利用しても締め付けが緩くならないため、熱交換器とカラムの接続に特に適しています。この新しい改良版のフィッティングは、着脱交換可能ではない標準的なステンレススチール製 Swagelok フィッティングの代わりに使用できます。熱交換器で着脱交換のできない Swagelok フィッティングを使っている場合は、別メーカーのカラムに切り替える際に、熱交換器を交換する必要があります。着脱交換可能なフリットは、機器に応じて、ショート (部品番号 5067-4733)、ロング (部品番号5067-4738)、エクストラロング (部品 5067-4739) の 3 サイズを利用できます。

UHPLC 対応の ZORBAX Rapid Resolution High Definition (RRHD) カラムで生産性を高める

ZORBAX RRHD カラムは、120 MPa での分析に適しています。また、幅広い相が用意されているので、信頼性の高いメソッド拡張やメソッド変換が実現します。アジレントでは現在、HILIC をはじめとする 10 種類以上の結合相の RRHD カラムを提供しています。これらの結合相は、すべての ZORBAX および Poroshell 120 とで同じラインアップなので、拡張やメソッド変換にも問題なく対応できます。

無料ポスターを請求して、UHPLC を最大限に活用してください

Agilent UHPLC は、感度とスループットを高める最先端の選択肢です。この記事で説明した簡単なステップに従えば、経験の少ないユーザーが HPLC から UHPLC に移行する際に陥りがちな問題を避けることができます。アジレントの液体クロマトグラフィシステムの詳細をチェックし、ラボで UHPLC の利点を最大限に活用してください。

この情報をまとめた無料ポスター 5990-7594EN をダウンロードできます。ポスターに関する付記と注文フォームが掲載されている www.agilent.com/chem/rrhdforuhplc から請求することもできます。

Bond Elut Plexa や他のアジレントサンプル前処理ソリューションの詳細については、こちらをご覧ください。