Access Agilent 2011年8月号

Agilent Bond Elut QuEChERS キットと LC/MS/MS による米サンプル中残留農薬の高速分析

Andy Zhai
アジレントサンプル前処理アプリケーションケミスト

表 2. 実験条件 (図を拡大)。

図 1. 米マトリックスプランクの MRM クロマトグラム。LC/MS/MS の優れた選択性により、ターゲット農薬の干渉ピークが除去されています (図を拡大)。

図 2. マトリックスブランク (IS 添加) と 10 ng/g 添加米抽出液の LC/MS/MS クロマトグラム (図を拡大)。

表 3. Agilent QuEChERS キットを用いて精製した、10、50、250 ng/g における添加米中農薬の回収率と再現性。マトリックス添加検量線に照らして、3 種類の QC サンプルを定量しました (図を拡大)。

表 4. 米抽出液に含まれる農薬の直線回帰方程式と相関係数 (R2)。すべての農薬で、直線キャリブレーション範囲は 5~500 ng/gでした。5 ng/g という定量下限は、MRL を下回っています (図を拡大)。

食品サンプルに含まれる危険性の高い残留農薬の分析は、監視および定量が必要な化合物の濃度が低く、さらに種類が多いという 2 つの理由で困難となります。AOAC QuEChERS メソッドは、複雑な食品マトリックスに含まれる残留農薬の抽出を円滑化し、農薬の検出と定量を容易にします。

この研究では、中国の米で一般的に検出される 12 種類の農薬を分析しました (表 1)。サンプル精製に Agilent Bond Elut キットを使用し、分析には Agilent Poroshell 120 カラムを使用しました。実験の詳細を表 2 に示しています。

農薬名 カテゴリー MRL (ng/g)
アセフェート 有機リン 20
カルバリル カルバメート 50
カルベンダジム ベンゾイミダゾール 100
シプロジニル アニリノピリミジン 500
イマザリル イミダゾール 20
イミダクロプリド ネオニコチノイド 1000
ペンコナゾール トリアゾール 50
プロポキスル カルバメート 2000
ピメトロジン ピリジン 600
チアベンダゾール ベンゾイミダゾール 50
エトプロホス 有機リン 5
クレソキシムメチル ストロビルリン 50
表 1.米に含まれる 12 種類の農薬の化学情報と最大残留限界値

サンプル前処理: 干渉と分析対象化合物を選択的に除去

まず、農薬の含まれない有機栽培米を上海のマーケットで購入しました。サンプルを -20℃ で一晩冷凍し、翌日にホモジナイズしました。

抽出/分画にあたっては、QC サンプルを適切な QC 添加溶液 100 μL で調製しました。対照用ブランクを除くすべてのサンプルに IS 添加溶液を加えました。さらなるホモジナイズ後、Agilent Bond Elut QuEChERS AOAC 抽出キットを各遠心分離管に加え、よく振って遠心分離しました。

分散 SPEにあたっては、ACN 上澄み層 8 mL を Agilent Bond Elut QuEChERS AOAC 分散 SPE 15 mL チューブに移し、混合し、遠心分離しました。サンプルを窒素で乾燥させ、ACN に溶解し、ろ過したのち、LC/MS/MS に注入しました。

すべての農薬標準と内部標準 (IS) 原液は、-20℃ で混合および保管しました。TPP を含む IS 添加溶液を用いて、3 種類の QC 添加溶液を毎日作成しました。

複数の残留農薬の分析で干渉のない優れた感度が実現

図 12 は、Agilent Bond Elut QuEChERS AOAC バッファ抽出キットと分散 SPE キットにより、米に含まれる農薬が迅速かつ効果的に精製されていることを示しています。回収率と再現性はいずれも、複数クラスの複数残留農薬測定における許容範囲内でした。また、不純物やマトリックス効果による干渉も生じていません (表 3)。分析したすべての農薬の LOQ が、米において規定されている MRL を下回っている点に注目してください (表 4)。

本研究で用いた農薬が、幅広い種類や特性を持つ代表的なものであることを考えると、Agilent Bond Elut QuEChERS AOAC 抽出および分散 SPE キットは、同様の食品マトリックスに含まれる他の農薬の分析においても、優れた選択肢であるといえます。

この研究の詳細については、アプリケーションンノート 5990-8034EN をダウンロードしてください。最新の SPE 製品やテクニックについては、アジレントの SPE 製品ページをご覧ください。