Access Agilent 2011年6月号

スマートフィルトレーションによる「Just Enough (過不足のない)」サンプルクリーンアップ

David C Jones
フィルトレーションプロダクト、アジレントプロダクトマネージャ

生体分析メソッドの開発は、感度、サンプルのクリーンさ、メソッドの堅牢性と、メソッド開発や以降のサンプル前処理メソッドに費やす多くの時間、およびコストとのバランスが必要です。今日の質量分析機器の感度と堅牢性に関する技術革新により、「Just Enough」 のサンプルクリーンアップの概念が根付きつつあります。「Just Enough」 メソッドは、メソッド開発時間を最小限に抑えながら、十分クリーンなサンプルを取得することに特化しています。一般的な 「Just Enough」 メソッドの例として、希釈、除タンパク、液液抽出などがあります。Agilent Captiva NDLipids がもたらす化学的剥離や 「スマートフィルトレーション」 などの新しい技術により、時間を犠牲にすることなく、干渉を排除して分析感度を向上することができます。これは、希望のレベルの感度を得るために時間のかかるサンプル前処理メソッドを実行する必要がなくなるという意味です。

干渉の排除について

適切な 「Just Enough」 技術を選択するための鍵は、代表的な生体分析サンプルの一般的な干渉と、LC/MS 分析に与えるその影響を理解することです。図 1 は、生体分析サンプルの代表的な干渉の影響を示すポストカラムインフュージョンの実験です。この実験では、共溶出する対象化合物がイオン化に与える干渉の影響を測定するために、対象化合物を HPLC カラムに定期的に注入します。注入トレースのくぼみや負の値は、共溶出による干渉が原因です。

干渉のタイプ 塩/極性イオン タンパク質/ペプチド リソホスファチジルコリン 脂質および
その他の疎水性物質
一般的な溶出条件
(C18 カラム)
<20% の有機化合物で無効または無効に近い 40 ~ 70% の有機化合物でカラムボリュームの数 10 倍 70 ~ 90% の有機化合物でカラムボリュームの数 10 倍 >90% の有機化合物でカラムボリュームの数 10 ~ 100 倍
短期的な影響
(1 回の注入)
大幅なイオン抑制 大幅なイオン抑制 大幅なイオン抑制 ある程度のイオン抑制があるが、通常は LC カラム上に保持
長期的な影響
(複数回の注入)
不明 不明 感度の低下、変動の上昇 度の低下、変動の上昇
考えられる長期的な原因 イオン源のコンタミネーション イオン源のコンタミネーション イオン源のコンタミネーション、カラムへの多少の蓄積 イオン源のコンタミネーション、カラムへの蓄積

図 1. 一般的なポストカラムインフュージョンのトレース (青) をホスファチジルコリンのトレース (ピンク) に重ねたもの。その他のイオン抑制機能と対応する原因を説明の表に示します。

干渉についての理解を前提とし、さまざまなサンプル前処理技術を使用してこれらの対象化合物を効果的に取り除く方法について考えます。表 1 に、これらの干渉に対するさまざまなサンプルクリーンアップ技術の効果をまとめます。

技術   液液抽出 (SLE) 沈殿/フィルトレーション 「スマート」フィルトレーショ 固相抽出(SPE)
干渉 希釈および注入 Chem Elut Captiva Captiva NDLipids Bond Elut SPE
微粒子 × ×
タンパク質 × 一部
脂質 × × ×
オリゴマー型
界面活性剤
× × ×
× × × ×

図 1. 一般的なポストカラムインフュージョンのトレース (青) をホスファチジルコリンのトレース (ピンク) に重ねたもの。その他のイオン抑制機能と対応する原因を説明の表に示します。

固相抽出で最もクリーンなサンプルが得られることに疑問の余地はありませんが、一部の 「Just Enough」 技術では、メソッド開発に対する投資を最小限に抑えながら大きなクリーンアップを実現することができます。Agilent Captiva NDLipids は、干渉する脂質と界面活性剤を除去することにより、標準的な除タンパクの結果を向上させます。脂質と界面活性剤はイオン抑制を引き起こし、その結果分析感度が低下することが知られています。脂質はカラムに蓄積し、最終的には、複数回の注入でアプリケーションの堅牢性に影響を与ええます。

図 2. Agilent Captiva NDLipids によるクリーンアップ手順 (図を拡大)。

図 3. (A) 未処理ブタ血漿サンプルと、(B) タンパク質および脂質除去済みサンプルのイオン抑制 (青) およびホスファチジルコリン (ピンク) のトレース。イオン抑制の多くがフィルトレーションによって除去されたことは明らかです (図を拡大)。

Captiva NDLipids の使用

標準的な除タンパク/フィルトレーションメソッドを使用すると、さらにクリーンなサンプルを取得することができます。その場合も、新しいクリーンアップメソッドの習得や開発の必要はありません (図 2)。革新的なノンドリップ設計により、すべての Captiva 製品の迅速で一貫した流量を利用して、ウェル内での除タンパクと自動化が実現します。

Captiva NDLipids は、タンパク質の干渉と、イオン抑制を引き起こす脂質をサンプルから完全に除去します (図 3)。干渉物質がカラムや機器のインタフェースに蓄積しないため、より堅牢なメソッドが得られます。さらに、Captiva システムは、今日の微粒子カラムで使用できる 0.22 µm までのサンプルフィルトレーションを提供します。これらのすべての機能が、わかりやすい一般的な除タンパク質プロトコルにより実現します。

高スループット分析に理想的な 「Just Enough」 を超えるクリーンアップ

Agilent Captiva NDLipids は、使いやすさはそのままで、除タンパクの 「Just Enough」 クリーンアップを改善したものです。このフィルトレーションに基づく除去アプローチによって、さらにクリーンになり、感度が向上し、今日の高スループット生体分析のためのより堅牢なメソッドが実現します。

Captiva やその他の先進的な消耗品の詳細については、アジレントの SPE 製品ページで最新の SPE 技術の説明をご覧ください。