Access Agilent 2011年3月号

超高速・高分離 HPLC (UHPLC)分離のパフォーマンスを最適化するシンプルなアプローチ

Xiaoli Wang
Agilent R&D サイエンティスト

クロマトグラフィー分析者は、より短時間でより多くのサンプルを分析する必要があるため、分離効率を低下させずに分析をより高速化することを求めています。ここでは、粒径、カラム長さ、および溶出速度を最適化して一定の分析時間内で最大の理論段数を実現する方法を示します。このアプローチでは、超高圧 (1100 bar) での2-μm以下 の全多孔質粒子と、中程度の圧力 (550 bar) での3-μm 以下の表面多孔質粒子の両方での超高速 (30 秒)分離を開発することができます。

カラムを高温にすることで、優れた分離速度が得られます。これは、理論段数とカラムのデッドタイムの比率がきわめて高いこと (N/t0 > 2000) で示されます。このような超高速分離は、医薬品溶出試験に理想的であり、このアプリケーションでは従来の HPLC 分離よりも3 ~ 5 倍高速になります。

高速分析に最適な条件の計算

表 1 に、溶出試験での超高速分離におけるメソッドのパフォーマンス基準とメソッドの目標をまとめます。最適なメソッドを開発するために表 2 に示すシンプルな手順を示します。

メソッドのパフォーマンス基準 メソッドの目標
約 30 秒の超高速分離 約 4 秒のカラムのデッドタイム
目標とする段数 最小 5000 段
分離に優れた特異性 合理的に保持された医薬品有効成分 (API) ピーク (3 < k' < 5)
堅牢なメソッド

動作に機器の最大能力を必要としない

  • 80 ℃の温度
  • 機器またはカラム耐圧の 90% の圧力
少ない溶媒消費 内径 2.1 mm カラムを使用

k' = 保持係数 (キャパシティファクタ)
表 1. 超高速溶出試験のメソッドのパフォーマンス基準と目標。

ステップ 手順
1 目的の圧力と温度での最適な3つのパラメータ、粒径 (dp)、カラム長 (L)、および速度 (ue) を調べるために最適化を実施します。
2 ステップ 1 で計算した粒径に最も近い市販の粒径を選択します。次に、この固定の dp で 2つのパラメータの最適化を実施して、最適な L と ue を調べます。
3 ステップ 2 で計算したカラム長に最も近い市販のカラム長を選択します。次に、この固定の dp とL で 1つのパラメータの最適化を実施して、目的のカラムのデッドタイム t0 に達するために必要な ue を調べます。

表 2. イソクラティック分離に推奨される最適化手順。

メソッド最適化手順を示す理論と式は、Agilent オンラインライブラリに掲載されているこの文書の完全バージョンに記載されています。通常、理論では、超高速分離には小さい粒子、高圧、および高温が必要であることが示唆されます。このため、80 ℃および機器またはカラムハードウェアで許容される最大圧力の 90% でカラムを操作しました。全多孔質粒子に加えて、2.7 μm の表面多孔質粒子を評価しました。この表面多孔質粒子は、より低い圧力で2-μm 以下の全多孔質粒子に近いパフォーマンスを実現しました。

図 1. 36 秒以内でのメチルパラベンの分離。デッドタイムマーカーはウラシルです (図を拡大)。
図 2. シプロフロキサシン 500-mg の徐放性錠剤の溶出プロファイルは、3 つのテストメソッドの結果が同等であることを示しています (図を拡大)。

文献で報告されている中で最高の速度

表 2 の計算に基づいて、1.8 μm の全多孔質粒子 (Agilent ZORBAX Rapid Resolution High Definition SB-C18) または 2.7 μm の表面多孔質粒子 (Agilent Poroshell 120 SB-C18) を充てんした 75 mm x 2.1 mm カラムを選択しました。分離は Agilent 1290 Infinity LC システムで実施しました。図 1 に、Rapid Resolution High Definition (RRHD) カラム (A) と Poroshell 120 カラム (B) で得られたメチルパラベンのクロマトグラムを示します。どちらの場合も、非常に高い理論段数 (N > 11,000) で分離が 36 秒以内に完了しました。N/t0 の値 (分離速度の優れた測定基準) は、ZORBAX RRHD で 2480、Poroshell 120 で 2010 でした。これらの速度は、文献で報告されている中で最高であり、高温と超高圧を組み合わせることが超高速分離を実現する強力な方法であることを明確に示しています。

LC と UV に共通する溶出結果と分析時間

図 1 の超高速分離は、表 1 に示すメソッドのパフォーマンス基準を満たし、シプロフロキサシン 500-mg の徐放性錠剤の溶出試験に適用されました。最初に溶出サンプルを UV で分析しました。UV は高速なため、多くの場合に従来の HPLC 分析よりも推奨されています。次に、1.8 μm ZORBAX RRHD SB-C18 カラムと 2.7 μm Poroshell 120 SB-C18 カラムの両方で超高速 LC メソッドによりサンプルを分析しました。図 2 に、3 つの分析メソッドでの溶出プロファイルを示します。同等の結果が得られたことが明確に示されています。

すべての溶出サンプルの超高速 LC 分析は、1 時間以内に完了しました。この分析は、溶出試験で使用されている従来の HPLC 分析よりも 3 ~ 5 倍高速です。また、一般的な自動 UV 分析と同等以上の速度です。高濃度のため、UV 測定の前に溶出サンプルを希釈する必要があり、これにより UV 分析時間がかなり長くなりました。明らかに、広いサンプル濃度範囲を処理する LC の能力は UV よりも大きな利点になります。

要約すると、超高速分離は従来の HPLC 分析よりもかなり高速であり、医薬品溶出試験に理想的です。考えられるその他のアプリケーションとして、剤形の均一性テストやクリーニングテストがあります。詳細については、2010 年 11 月に LCGC Column Watch で発行された、等式と計算が記載されている文書をご覧ください。