Access Agilent 2011年3月号

抗体のハイスループット精製用のシステム

Marc Beban
ディレクタ、アプリケーションマーケティング&ストラテジー、Agilent 自動化ソリューション

医薬品の開発において、生物製剤の割合が増加するのに伴い、正確で感度が高く、ハイスループットに対応できるタンパク質分析の需要が高まっています。これらのメソッドは、タンパク質発現システムから取得したサンプルや、血清のサンプル、培養細胞での産生物など、生物製剤の創薬プロセス全体を通して複雑なサンプルの分析に使用されます。通常のワークフローでは、分析者は HPLC と免疫測定法を使用して複雑なサンプルから特定のタンパク質をアフィニティ精製し、吸光度、蛍光、または化学発光を使用してそれらを定量化します。従来の方法では、サンプル容量と試薬の使用量の問題から、ハイスループットでの分析に適応させることには大きな課題がありました。

AssayMAP® マイクロクロマトグラフィ技術 [1] を搭載した Agilent Bravo Automated Liquid Handling Platform は、サンプルからのポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体の微量精製および前処理用のシンプルで正確なハイスループットプラットフォームです。Agilent Bravo 96AM 分注ヘッドは、従来のアフィニティ HPLC と同じタンパク質 A 化学的特質を持つ AssayMAP カートリッジを利用し、Agilent Bravo の高度な分注処理を追加して複雑なマトリクスからのタンパク質精製を可能にします。この自動化プラットフォームは、少量のサンプル中の対象分子の正確なクロマトグラフィ分離を可能にする精密な流量制御をはじめとする、ハイスループットで高度な並列処理が可能な幅広い分注処理に対応しています。その結果、1 回の分析で最大 96 サンプルを同時処理できるハイスループットのシステムが実現します。

図 1. 吸光度値は、非特異的タンパク質 (FGel) のバックグラウンドが高いにもかかわらず、システムが hIgG を正確に精製できることを示しています。(画像を拡大)
図 2. Protein 230 チップからのエレクトロフェログラムは 166 kDa での hIgG ピークを示し、5 または 10 mg/mL のバックグラウンドタンパク質を含むサンプルからの効果的な精製を実証しています。(画像を拡大)
図 3.自動化カートリッジによる hIgG 精製の分析間での再現性は、カートリッジ生成など、プロトコルとハードウェア両方における信頼性を示します。(画像を拡大)
ここに示す結果は、フィッシュゼラチン (FGel Sigma、#G7041) 由来のさまざまな濃度のバックグラウンドタンパク質を含むサンプルからヒト免疫グロブリン G (hIgG) を精製した場合のシステムのパフォーマンスを示しています。

タンパク質のバックグラウンドレベルに左右されない定量精製

タンパク質を精製する場合は、正確な回収量を得ることが重要になります。この機能をテストするために、0、5、および 10 mg/mL の最終濃度の FGel (バックグラウンドタンパク質) で前処理した hIgG (2 mg/mL ~ 0.016 mg/mL) の 2 倍連続希釈を 3 セット作成しました。BioSystem Development 社の AssayMAP タンパク質精製カートリッジを使用して hIgG を精製しました。精製を自動化するために、標準の Agilent Bravo を 96AM 液体処理ヘッド、および Agilent VWorks Automation Control ソフトウェアで制御される Agilent 96 チャネル洗浄ステーションおよびポンプモジュールと共に使用しました。

アジレントのアプリケーションノート 5990-7203EN で詳細に説明している精製を行った後で、図 1 に示すように各溶出液のセットに対する平均吸光度値をプロットしました。この図は、サンプル中のフィッシュゼラチンタンパク質の濃度に依存しない hIgG の線形の結果を明確に示しています。

次に、収集したサンプルの純度をテストしました。このテストでは、Agilent 2100 バイオアナライザAgilent Protein 230 キットを使用して個々のカートリッジから未精製および精製済みの生成物のセットを分析しました。図 2 に、Protein 230 チップの 4 つのレーンからのエレクトロフェログラム出力の重ね書きを示します。166 kDa ピークは hIgG の期待される位置を示し、"M" というラベルの付いた矢印は上限および下限のタンパク質ラダーマーカーを示しています。5 または 10 mg/mL のバックグラウンドタンパク質のサンプルから精製された hIgG にはコンタミネーションがないことに注意してください。

再現可能なアッセイによる一貫性のある結果の実現

最後に、使用済みまたは未使用のカートリッジによる多くの精製で結果が再現可能であることを確認する必要があります。そのために、10 mg/mL FGel のバックグラウンド中に 0.1、0.4、または 2 mg/mL hIgG を含むサンプルのセットを作成しました。続いて、各希釈で 4 本のカラム (A1 ~ H4、A5 ~ H8、または A9 ~ H12) を充てんするようにサンプルプレートを前処理し、このプレートを使用して6 回の連続精製分析を行いました。分析と分析の間にサンプルプレートを 180° 回転して、1 回の分析で大量または少量の hIgG 精製に使用されたカートリッジが次の分析において最も異なる濃度で使用されるようにしました。4 回の分析後にカートリッジボックスを交換し、さらに 2 回の分析を行いました。

図 3 に、この実験による hIgG のカートリッジベース精製の分析間再現性を示します。この図では、凡例の各サンプルの横に相対サンプルプレートの回転が示され、各入力濃度の平均吸光度値と標準偏差が示されています。6 回の精製分析は、直前にカートリッジに充てんされていた hIgG の濃度や、カートリッジが新規か再利用かということに影響を受けることなく、連続分析から溶出した生成物の量がサンプル間でよく一致していることを示しています。

この研究は、Agilent Bravo と AssayMAP 技術により、生物製剤の創薬と開発をサポートする、hIgG タイター用のマイクロクロマトグラフィシステムが提供されることを示しています。抗体を精製する場合は、Agilent 技術資料 5990-7203EN にある詳細な研究を参照してください。

  1. AssayMAPは、BioSystem Developmentの米国登録商標です。