Access Agilent 2011年1月号

Agilent Poroshell 120 による LC の生産性の向上

William Long
アジレントアプリケーションサイエンティスト

多くのラボでは、現在ラボにある、または将来購入予定のあらゆる LC を駆使して、より高速な LC 分析を実施したり、より優れた分解能を実現することで、コストを削減したいと考えています。Agilent Poroshell 120 などの表面多孔性の粒子を使用すれば、ピークキャパシティと分解能を増加させ、その一方で低い圧力を維持することができます。実際、Poroshell 120 カラムは、一般的なサブ 2 ミクロンカラムの半分の圧力で、サブ2ミクロンカラムの 90 パーセントのカラム効率を実現します。

昨年、アジレントは、EC-C18SB-C18 という 2 つの Poroshell 120 を発表しました。[1] 今回新たに Agilent Poroshell 120 EC-C8の新しいカラム相 が加わり、新たな選択肢が提供されたことで、クロマトグラフィの高い選択性を実現できます。EC-C8 は、高い保持力と純度をもつ塩基不活性化逆相充てん剤であり、幅広い化合物で優れたピーク形状を示します。EC-C18 と比べると、中性の疎水性化合物に対する保持力が低くなるという特長があります。

Poroshell 120 EC-C8 は、リテンションタイムが短いため、高速分析が可能になります。これは、アルキル鎖が短く保持力が弱いためですが、Poroshell 120 EC-C18 と同等の選択性が保持されます。Poroshell 120 EC-C8 カラムを使用すると、酸、塩基、中性化合物の左右対称のピーク形状が得られるため、メソッド開発に最適です。Poroshell 120 EC-C8 は、Poroshell 120 EC-C18 よりも疎水性が低く、C8 カラムに 5~10 % 少ない有機修飾剤を含む移動相を使うことでカラム間の保持力を適合させることができます。

図 1.Poroshell 120 と競合カラムの塩基性および中性サンプルの比較では、Poroshell 120 カラムが塩基性アミトリプチリンでより優れたピーク形状をもたらすことが示されています(図を拡大)) 。

結果の信頼性を高める良好なピーク形状

図 1 は、数種類のカラムで塩基化合物と中性化合物の混合物を比較分析しています。Poroshell 120 EC-C18 および C8 カラムは、対象となるすべての化合物に対して優れたピーク形状を示しています。また、Poroshell 120 EC-C8 カラムよりも Poroshell 120 EC-C18 カラムのほうが保持力が大きいです。アミトリプチリンなどの塩基化合物のピーク形状は、競合カラムよりも、Agilent Poroshell 120 カラムの方がより左右対称です。

図 1 では、中性および酸性化合物の保持力をC8 カラムで比較していますが、競合 C8 カラムは、アミトリプチリンに対してより大きい保持力とピークテーリングを示しています。同様に、競合 C18 カラムは、酸性および中性化合物に対して Poroshell 120 EC-C8 カラムと同等の保持力を示していますが、アミトリプチリンのピークは、競合 C18 カラムでかなり大きい保持力とテーリングがあることを示しています。

コスト削減のための分析時間の短縮

Poroshell 120 カラムは、生産性を高めるためにメソッドを調整する必要がある場合に最適です。Poroshell 120 EC-C8 は L7カラム相に分類されます。すべての米国薬局方 (USP) メソッドと同様、特定のメソッド調整は再バリデーションを行うことなく実施することが認められていますが、長さ、内径、粒子径、移動相組成を変えることはできますが、移動相の成分とカラム相は再バリデーションを実施しないと変えることはできません。[2]

図 2.全多孔性 L7 カラムを用いたイブプロフェン経口懸濁液の USP メソッド (下) と Poroshell 120 EC-C8 を用いた高速メソッド(図を拡大)) 。

多くのラボは、既存の機器を使って分析時間を削減することで生産性を改善したいと考えています。図 2 では、Poroshell 120 EC-C8 カラムにおいて、イブプロフェン経口懸濁液の分析時間が、同じ線速度で約 20 分間 (下) から 5 分超 (中) に劇的に短縮されています。211 bar の背圧は、従来の LC の範囲に十分に収まっています。

USPの修正案では、再バリデーションを行わなくても実施できるメソッド変更の範囲が拡大され、より高速な分析を行うためにさらに多くのオプションが提供されています。この変更によって、より短いカラムと小さい粒子を用いて、さらに高い流量で、高速のクロマトグラフィを実現しながら、クロマトグラフィの分離能を維持することができます。[3] Poroshell 120 は、1.7 μm の硬質コアと 0.5 μm 多孔性外層で、総径は 2.7 μm、つまり 5 μm粒子の直径の約半分です。通常、粒子径を半分にした場合、流量を 2 倍にすることで、同等の分離能を維持することができます。例えば、Agilent 1260 Infinity LC において 5 μ× 4.6 mm id × 150 mm の全多孔性カラムを 2 mL/min で分析した場合、4.6 mm id × 50 mm の Poroshell 120 カラムでは約 4 mL/min で分析することで、必要なピーク分離能を維持することができます。

さらなる選択性のための選択肢

Agilent Poroshell 120 EC-C8 は、Poroshell 120 ラインナップに導入された新しいカラム相というだけではありません。これから数か月の間に、アジレントでは、さらなるカラム相を提供する予定です。これらの製品を使うことで、表面多孔性粒子で広範なメソッドを開発し、これらの新しいカラムにさらに多くの既存のメソッドを移行させることができます。

より低い背圧で、最大の分解能と最高の生産性が必要な場合は、Agilent Poroshell 120 カラムをご検討ください。また、今お使いのメソッドに高速なカラムを適用する方法を収めたビデオをご覧いただけます。(英語です)

参考文献

  1. Anne E. Mack and William J. Long, "Fast, Low Pressure Analysis of Food and Beverage Additives Using a Superficially Porous Agilent Poroshell 120 EC-C18 Column," Agilent publication number 5990-6082EN, July 2010.
  2. Ludwig Huber, "Validation of Analytical Methods," Agilent publication number 5990-5140EN, March 2010.
  3. U. Neue, D. McCabe, V. Ramesh, H. Pappa, and J. DeMuth, "Transfer of HPLC Procedures to Suitable Columns of Reduced Dimensions and Particle Sizes," Pharmacopeial Forum, Vol. 35(6), Nov-Dec 2009, pp. 1622-1626.