Access Agilent 2010年10月号

規制の厳しいラボ: Agilent 1200 シリーズ LC から Agilent 1260 Infinity LC へのシームレスなメソッド変換

A. G. Huesgen
アジレントアプリケーションケミスト

新しい機器を購入した場合、若干のスタートアップ時間が必要となりますが、バリデーション済みのメソッドを使用しているラボにおいては、メソッドの再バリデーションといったさらなる問題に直面することになります。コストのかかる再バリデーションを避けるためには、古い機器で確立されたシステム適合性要件を、新しい機器が満たさなければなりません。ここでは、従来と同等かそれ以上のシステム適合性を持ってAgilent 1200 シリーズ LC から Agilent 1260 Infinity LC にメソッドを変換可能であることを示しています。

信頼性の高いメソッド変換

シームレスなメソッド変換が可能であることを示すために、パラセタモール (アセトアミノフェン) と関連不純物の分析を行いました。欧州薬局方 (EP) および米国薬局方 (USP) の規定に従い、UV 検出によるアイソクラティックメソッドを用いて、パラセタモール (図1) を分析しました [1,2]。

Agilent 1200 シリーズ LC システムでシステム適合性テストを開発したのち、Agilent 1260 Infinity LC が許容基準を満たすかどうかを調べました。表 1 に、各システムの構成を示しています。

図 1. パラセタモール (図示) と不純物の分析を用いたテストでは、2 つの LC システムで同等の結果が得られました。
1200 Series LC 1260 Infinity LC
Quaternary pump (G1354A) with external vacuum degasser (G1322A) Quaternary pump with integrated vacuum degasser (G1311B)
Column compartment (G1316A) Column compartment (G1316A)
Diode array detector (G1315D) with flow cell with 10 mm path length Diode array detector (G4212B) with flow cell with 10 mm path length
Standard autosampler + sample cooling unit Autosampler (G1367E) + sample cooling unit
Software: ChemStation B.04.02 Software: ChemStation B.04.02
表 1. 2 つの LC システムの構成

テストに使用した参照用溶液は、EP の規定に従って調製しました。溶液には、パラセタモールと以下の不純物が含まれています。

  • 不純物 K = 4-アミノフェノール

  • 不純物 B = N-(4-ヒドロキシフェニル) プロパンアミド

  • 不純物 A = 2-アセトアミノフェノール

  • 不純物 H = 4-(アセチルアミノ) 酢酸フェニル (N,O-ジアセチル-4-アミノフェノール)

  • 不純物 I = 1-(2-ヒドロキシフェニル) エタノン

  • 不純物 J = 4-クロロアセトアニリド

システム適合性テストには、リテンションタイム (RT) 精度、面積精度、分離度 (Rs)、シグナル/ノイズ比 (S/N)、理論段数、テーリングファクタ、ピーク対称度に関する許容基準が含まれています。1200 シリーズ LC システムでメソッドを実行し、システム適合性を確立させたのち、パラメータを一切変更せずに、クロマトグラフィ条件を 1260 Infinity LC に変換しました。カラム、調製済みサンプルのバッチ、移動相のバッチについては、すべての実験で同一のものを使用しました。機器条件については、近日中に公開されるアジレントアプリケーションノートをご覧ください。

同等またはそれ以上のシステム適合性

1260 Infinity LC のフローパスは、1200 シリーズ LC システムからのメソッド変換が容易になるように設計されています。図 2 に、実験の結果を示しています。2 つのシステム間のリテンションタイムの変動は、1.4 % 未満でした。

図 2. 分析結果の重ね表示では、2 つのシステムのクロマトグラムが良好に一致していることがわかります(画像を拡大するにはここをクリックします)。
Parameter and Acceptance criteria 1200 Series LC 1260 Infinity LC
RT RSD < 0.5% < 0.057% RSD < 0.039% RSD
Area RSD < 2% < 1.44% RSD < 1.17% RSD
Rs paracetamol and Impurity K > 4 9.53 9.68
S/N Impurity J > 50 884.1 1042.5
Plate number Impurity H > 2000 13728 13654
Tailing factors < 2 0.98 – 1.10 0.99 – 1.06
Symmetry factors 0.8 – 1.1 0.880 – 1.019 0.927 – 0.999
表 2. どちらのシステムも、システム適合性テストの許容基準を満たしています。

表 2 では、1200 シリーズ LC と 1260 Infinity LC のシステム適合性結果を比較しています。1260 Infinity LC は、1200 シリーズ LC で確立された要件を完全に満たしていることがわかります。

  • リテンションタイムの変動は、1260 Infinity LC のすべてのピークで 1.4 % 未満でした。

  • リテンションタイム精度 (RTs) は、1260 Infinity LC で向上しました。

  • 面積精度はほぼ同じでした。

  • 分離度 (Rs) は、1260 Infinity LC でやや向上しました。

  • シグナル/ノイズ比 (S/N) は、1260 Infinity LC で向上しました。

  • 理論段数、USP テーリングファクタ、ピーク対称度はほぼ同じでした。

ラボの拡張が容易です

Agilent 1200 シリーズ LC で規制の厳しい分析を行っている場合、新しい 1260 Infinity LC を導入すれば、システム適合性要件を簡単に満たすことができます。このテストでは、パラセタモールと不純物の分析において、どちらの機器もシステム適合性テストの許容基準を満たすことが示されています。同じカラムと同じ移動相バッチを用いれば、リテンションタイムはほとんど同じになります。1260 Infinity LC では、多くのテストパラメータで 1200 シリーズ LC と同等の結果が得られているほか、分離度、シグナル/ノイズ比、リテンションタイム精度については、それ以上の結果が得られています。実験の詳細とその他の結果については、近日中に公開されるアプリケーションノートの完全版をご覧ください。

参考文献

  1. European Pharmacopoeia 5.0, 2184-5
  2. European Pharmacopoeia Monograph Paracetamol 01/2005:0049 / 2.2.29