Access Agilent 2010年3月号

全自動型 Genomics BioCel : ハイスループットでの遺伝子型解読のための PCR ワークフロー

Marc Valer
Agilent 自動化ソリューション、Integrated Systems、プロダクトマネージャー

生物学的サンプルにおける DNA 配列の解読は、特定の病原体を同定したり、ある疾病に対する遺伝的罹患性を検出したり、あるいは個人間での DNA 配列の類似性および差異を明確にしたりするために、恒常的に用いられる手法です。しかし、配列の解読は時間も労力もかかるプロセスであり、また解析者ごとの結果のぱらつきや、人為的ミスが起きやすいという問題もあります。Agilent Genomics BioCel * は、配列解読のワークフローを自動化して人為的ミスを減らすことでこれらの問題を解決し、信頼性の高い結果をもたらします。

サンガー法に代表される従来の配列解読法には、感度が低い、解読できる DNA 鎖の長さが短いといった問題がありました。ゲノムに含まれる特定の小さい領域をクローン化することでこれらの問題を解決したのが、PCR (ポリメラーゼ連鎖反応) です。

図 1. Agilent Genomics BioCel は遺伝子型判別を自動化する完全自動型のシステムです(画像を拡大するにはここをクリックします)。

ユーザーによる操作を最小限に抑えた完成されたソリューション

Agilent 自動化ソリューションでは、精製した RNA または DNA のサンプルプレートからシーケンサーにかける直前の PCR までのステップを、自動化したシステムを設計しました。このシステムでは、ユーザーによる操作が最小限に抑えられます。アジレントのシステムのカスタマイズやベンチトップワークステーションの経験に基づいて開発された Genomics BioCel は、個々の PCR プロセスを自動化し、Agencourt AMPure や CleanSEQ キットなどの一般的に使用される試薬セットに対応しています。このシステムでは、1 ステップでの逆転写 PCR を行うため、プレートの処理の時間が短縮されています。

多種多様なアプリケーション

PCR による遺伝子型の解析が行われる分野は実にさまざまですが、短時間で多数のサンプルを処理するニーズがある限り、Genomics BioCel はどの分野にでも適用できます (表 1)。また、多くの PCR を用いるアッセイにも応用できます。核酸を抽出するステップや、蛍光または UV により PCR 産物を検出するステップをシステムに追加すれば、一連のアッセイを完全に無人化することができます。

アプリケーションの分野 事例
臨床研究 ・腫瘍細胞における遺伝子型判別の個別化医療への展開
・遺伝子プロファイリングを用いた疾病リスクの予測
疫学と生体防御 ・新しい病原体や既知の病原体の種や変異体の同定、および感染源の特定
・流行リスクと免疫効果の予測
農業とバイオテクノロジー ・食品分析: 野菜類、肉類、および魚類の種判定や純度の分析
・遺伝子組み換え作物 (GMO) の検出
法医学

・個人の特定と遺伝子的類似性の解析


表 1.Genomics BioCel の利用価値が高いハイスループットを必要とする遺伝子型判別のアプリケーション

時間をかけずに、より一貫性の高い結果を実現

Genomics BioCel は多くの利点を持ち、標準化された、完全なワークフローソリューションです。システムの特長を以下に挙げます。

  • プレートへのサンプルや試薬の分注、ピペットチップの交換、プレートシールの開閉などのユーザーによる操作を極限まで少なくすることができます。

  • 密閉されたシステムにより、コンタミネーションのない安定した環境で、一貫性の高い結果が得られます。

  • 複数のサイトで全く同じプロセスが実施でき、プロトコルを改変した場合でも即座に共有できます。

  • 試薬やサンプルを適切に利用することが可能で、密閉したプレートに常に適切な温度で保持できます。

  • 品質保証のプロセスをシンプルにします。Agilent VWorks Automation Control ソフトウェアがそれぞれのステップを記録し、各アッセイが確実に実行されるように、サンプルの移動をバーコードでトラッキングします。また、インキュベーションやステップ間の待機時間を記録しているため、一連のプロセスにおける改善箇所が明確になります。
図 2. ゲノミクスの分野の多くのアプリケーションで PCR または類似のプロトコルを使用するため、Agilent Genomics BioCel を応用して関連したアッセイを実施することができます。
モジュラー設計により、他のアッセイへの応用が可能に

Agilent BioCel プラットフォームは、完全にカスタマイズが可能なソリューションで、あらゆる仕様に関し、検証、実装、サポートが行われます。ここで取り上げた遺伝子型判別のシステムは、考えられる多くの設定の中の 1 つに過ぎず、既存のプラットフォームに基づいて多くの新しいアッセイを設計することができます。Genomics BioCel を有効に応用できる分野を図 2 にまとめました。

図 1 に示した Agilent 1800/1200 Dual BioCel システムでは、サンプルの処理とPCR反応のステップを分けています。PCR のステップが多いラボでは大量の PCR 機をシステムに組み込むのではなく、サンプルの前処理とクリーンアップにのみ BioCel 1800 を使い、処理したプレートをマニュアルで PCR にかけます。こうすることで、システムが不必要に膨大になることを防ぐことができます。このように、BioCel は必要なスループットに応じてさまざまなカスタマイズが可能になっています。

Agilent Genomics BioCel およびその他のゲノミクスでのアプリケーションについては、Agilent 自動化ソリューションのアプリケーションのページにアクセスするか、ハイスループット遺伝子型判別に関する技術詳細が記載されたアプリケーションノート(5990-5258EN) をダウンロードしてください。

*本製品は、研究以外の目的に使用できません。