Access Agilent 2010年3月号

QuEChERS(キャッチャーズ)の抽出時間を 70 パーセント削減

Joan Stevens
アジレント SPE アプリケーションケミスト

食品中の多種多様な残留農薬を分析するラボは、大容量のサンプルを処理しなければならないため、サンプルをより迅速に高い再現性で前処理できる方法を求めています。このため、アメリカ農務省の科学者が 2003 年に開発した高速前処理手法の QuEChERS (キャッチャーズ) メソッドを採用しているラボが多くあります。このメソッドの実施にかかる労力を削減するために、アジレントはキャッチャーズ分析に必要なものがすべてパッケージされたサンプリーク QuEChERS キットを販売しています。しかし、分析者たちの意見を聞くと、QuEChERS メソッドに含まれる抽出ステップに必要な振とうの処理は非常に手間がかかり、結果にばらつきが出る原因になっていると言います。そこで、アジレントは抽出時間を 70 パーセント削減し、さらに再現性を高める新製品を開発しました。

セラミックホモジナイザ

労力を減らして同等の回収率を実現

QuEChERS (「キャッチャーズ」と発音します) は、迅速 「Quick」、簡単 「Easy」、安価 「Cheap」、効率 「Effective」、堅牢 「Rugged」、安全 「Safe」の頭文字をとったものです。いくつかの簡単な手順のみで、複雑なサンプルのクリーンアップを効果的に行うことができます。

QuEChERS メソッドの最初のステップでは、抽出用の塩とサンプルを 1 分間振とうする必要があります。塩の固まりを充分に粉砕できるまで振とうするには大きな負荷がかかります。また、手動でチューブを振とうすることから生じる、分析者間の効果のばらつきについても指摘されています。しかし、サンプルから確実に農薬を回収するために、この振とうの手順は不可欠です。

図 1. セラミックホモジナイザを使用すると、振とう時間を 20 秒に短縮しつつ、ホモジナイザを使用しないで 1 分間振とうした場合と同等の回収率が得られます(画像を拡大するにはここをクリックします)。
図 2. セラミックホモジナイザを使用した場合、ホモジナイザを使用しない QuEChERS メソッドと同等の回収率が得られ、振とう時間を 60 秒から 20 秒に短縮できます(画像を拡大するにはここをクリックします)。

アジレントの新しいセラミックホモジナイザ付きサンプリーク QuEChERS キットでは、サンプルの振とう時間が 1 分から 20 秒に短縮されました。図 1 は、何種類かの農薬において、振とう時間 20 秒での回収率が、1 分間振とうした時と遜色ないことを示しています。新しい抽出キット分散 SPE キットには、標準キットと同じ仕様で、それに加えて 1 チューブあたり 2 つのセラミックホモジナイザが入っています。ホモジナイザを使うことで回収率の再現性が高まるため、相対標準偏差 (RSD) が低くなります。

セラミックホモジナイザ付きサンプリーク QuEChERS キットを使うと、分析者ごとの振とう効率のばらつきがなくなります。塩の固まりを短時間で効果的に粉砕し、均一なサンプル抽出が行えるので、分析結果の正確性と信頼性が高まります。図 2QuEChERS AOAC および EN メソッド (両メソッドとも、セラミックホモジナイザ使用の場合と使用なしの場合) での農薬回収率です。図 2 から、抽出時間を3分の1に短縮しても、不活性なホモジナイザによって抽出効率が向上していることが分かります。

まとめ

セラミックホモジナイザ付きサンプリーク QuEChERS キットは、食品中の残留農薬分析におけるサンプル前処理を短時間でばらつきなく行うことができる優れたな製品です。生産性と再現性を高める必要がある食品分析ラボでは、セラミックホモジナイザ付きサンプリーク QuEChERS キットをお奨めします。