Access Agilent 2010年2月号

Agilent 1290 Infinity LCの自動交互カラム再生によるスループットの向上

Angelika Gratzfeld-Huesgen および Edgar Nägele
アジレント LC アプリケーションケミスト

LC ラボの多くは、一定時間内により多くのクロマトグラフィを実行しなければならないという大きな重圧を感じています。多くの場合、LC メソッドとハードウェアを最適化することによりスループットを大幅に向上させることができます。グラジエント分析を実行する場合は、2 本の同一のカラムを使用した LC システムを設定し、これらの 2 本のカラムで注入を交互に行うこともできます。この方法では、1 本のカラムを洗浄し、平衡化させている間に、もう 1本のカラムでサンプルを分析できます。この交互カラム再生を自動化することで、同じ時間で実行可能な分析が最大 50% 増加します。

1日当たりのサンプル処理量が大幅に増加

交互カラム再生は、一部の LC 手順を平行して実行できるため、サンプルのスループットが向上します。グラジエント LC 分析には、一般に次の 4つの手順があります。

 1.サンプルの吸引と注入
 2.グラジエントクロマトグラフィの実行
 3.サンプルマトリクスを除去するためのカラムの洗浄
 4.グラジエントの初期条件までのカラムの平衡化

図 1.A) LC を実行する際の順番に行う分析ステップを B) 交互カラム再生とオーバーラップした注入に置き換えると、スループットが大幅に向上します(画像を拡大するにはここをクリックします)。
図 1.A) LC を実行する際の順番に行う分析ステップを B) 交互カラム再生とオーバーラップした注入に置き換えると、スループットが大幅に向上します (画像を拡大するにはここをクリックします)。

通常は、図 1A に示すように、これらの手順は順番に実行します。同一のカラムともう 1 つのグラジエントポンプを追加すると、カラム洗浄と平衡化を 1 本のカラムで行いながら、もう 1 本のカラムで次の分析を実行できます (図 1B)。この手順は交互カラム再生と呼ばれます。分析 (溶出) と再生ポンプの間での 2 本のカラムの切り替えには、2 ポジション/10 ポートバルブを使用します。

図 1B にはオーバーラップした注入も示します。オーバーラップとは、1 つのサンプルの分析中に次のサンプルをオートサンプラのループに吸引し、最初の分析が終了するまでループ内に保持するという意味です。次の分析が開始されたら、このサンプルを直ちに注入します。この結果、吸引および注入時間が最初の分析のサイクルタイムにのみ追加され、次の分析には追加されないため、時間がさらに短縮されます。

アジレントでは、Agilent 1290 Infinity LC システムを従来の LC モードで実行し、交互カラム再生と注入のオーバーラップを使用することによって時間が短縮されることを先ごろ明らかにしました。図 1B に類似した設定を使用して、17 種の農薬のグラジエント分析を実行しました。アジレントのアプリケーションノート 5990-5069EN(英語) で解説しているこの農薬の例では、同じ時間で実行できる分析数が 50% 増加しました。

図 2. 両方のカラムから 10 回連続して実行した農薬の分析を重ねて表示すると、リテンションタイムとピーク面積の再現性が優れていることがわかります(画像を拡大するにはここをクリックします)。
図 2. 両方のカラムから 10 回連続して実行した農薬の分析を重ねて表示すると、リテンションタイムとピーク面積の再現性が優れていることがわかります(画像を拡大するにはここをクリックします)。
図 1. 抽出イオンクロマトグラムにより、この 17 種の農薬などの対象化合物を迅速に確認し、定量することができます(画像を拡大するにはここをクリックします)。
図 3. 抽出イオンクロマトグラムにより、この 17 種の農薬などの対象化合物を迅速に確認し、定量することができます(画像を拡大するにはここをクリックします)。

再現性の高い結果を維持

特に、システムに 2 本の LC カラムを組み込んだ場合は、分析ごとの結果の再現性を確認する必要があります。精度を評価するために、Agilent 1290 Infinity ダイオードアレイ検出器を使用しました。図 2 に、両方のカラムを使用し、10 回連続して分析を行ったときの UV 信号を重ねて示します。注入量が 0.25 µL のときの 2 本のカラムのリテンションタイムの精度は、相対標準偏差 (RSD) 0.18% 未満 (代表値)、ピーク面積における精度は 1.9% 未満 (代表値) でした。

ここでは従来の LC 分析を実行したため、Agilent 6140 シングル四重極 LC/MS システムを検出器として使用することができました。6140 四重極システムの抽出イオンクロマトグラムを図 3 に示します。この高感度の LC/MS システムは微量農薬のスクリーニングに最適です。Agilent ChemStation ソフトウェアを使用すると、抽出イオンテーブルで適切な質量を選択し、特定の農薬を迅速に検索することができます。

UHPLC モードで生産性をさらに向上

ここに示すデータは従来の LC で得られたものですが、超高速液体クロマトグラフィ (UHPLC) 向けの 1290 Infinity LC を使用すると、サイクルタイムをさらに短縮することができます。短いカラム、高い流量、最大で 1200 bar の背圧を使用した操作により、約 2000 回の UHPLC 分析を 24 時間以内で実行することができます。UHPLC 分析では Agilent 超高圧 2 ポジション/10 ポートバルブを活用してカラムの交換を行います。従来の LC と UHPLC の交互カラム再生の詳細については、アプリケーションノート 5990-5069EN(英語) をダウンロードしてください。このアプリケーションノートには、詳細な情報と他の UHPLC データが記載されています。