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ホルマリン固定パラフィン包埋 (FFPE) サンプルは、分子生物学研究における貴重なサンプル源です。各種の組織や病態から得た膨大なサンプルアーカイブを利用できる FFPE サンプルは、遺伝子発現と疾患進行の関連性に関する仮説を検証するのに最適な情報源です。一方、癌をはじめとするさまざまな疾患の診断および予測に利用できる可能性のある マイクロ RNA (miRNA) のプロファイルの解析は、近年とりわけ大きな注目を集めています。多くの研究では、新鮮凍結 (FF) 組織に重点が置かれていますが、FFPE サンプルを分析するレトロスペクティブ研究も行われています。しかし、FFPE サンプルは劣化していることが多いため、分析結果が FF サンプルと同等であることを示すことが重要となります。最近、Agilent miRNA マイクロアレイを用いたワークフローを使えば、FFPE サンプルから FF サンプルと同等の結果を得られることが示されました。
マイクロアレイは、遺伝子発現の網羅的研究に役立つツールとして確立されています。アジレントは miRNA アプリケーションに加えて、遺伝子発現、比較ゲノムハイブリダイゼーション (CGH)、コピー数変異 (CNV)、クロマチン免疫沈降 (ChIP) および DNA メチル化によるロケーション分析など、幅広いアプリケーション分野に対応するマイクロアレイや関連試薬を開発しています。
先ごろ発表されたアプリケーションノートで、Agilent miRNA マイクロアレイを用いたワークフローでFFサンプルを使用した場合と FFPE サンプルを使用した場合を比較した結果が示されていますのでご紹介いたします。
図 1 は、実際に行った実験のワークフローを示しています。
FFPE から RNA を抽出するためのメソッドの多くは、FF サンプルよりも長い RNA を回収するように最適化されていますが、今回の実験では、FF サンプルと FFPE サンプルの miRNA 分析結果に良好な相関性が得られました。図 2 にAgilent miRNAマイクロアレイで検出された miRNA の平均数をサンプルの種類別に示しています。FF サンプルと FFPE サンプルの違いはわずかでした。この結果は、FFPE サンプル中の miRNA が保管中も分解されずに維持されている事と、Agilent miRNA マイクロアレイを用いたワークフローを使えば、それを高い効率で抽出し解析出来る事を示しています。図 3 では、FF サンプルと FFPE サンプルの miRNAマイクロアレイデータの相関を示しています。正常な大腸の FF サンプルおよび腫瘍 FF サンプルのマイクロアレイデータに対して、同様の FFPE サンプルセットのデータをプロットしています。この図では、発現レベルに強い相関性が示されています。R2値は正常サンプルで 0.953、腫瘍サンプルで 0.948 でした。
こうした結果は、FFPE サンプルを使用しても、Agilent miRNA マイクロアレイを用いたワークフローを使えば、信頼性と再現性の高い結果が得られることを示しています。最適化されたプローブと 5 桁の直線ダイナミックレンジを備えたアジレントのマイクロアレイは、幅広いサンプルにおいて、感度の高い miRNA発現のプロファイリングを可能にします。詳細については、アプリケーションノート (5990-4944EN、英語) をダウンロードしてください。