Access Agilent 2009年12月号

HPLC のヒント : 粒径の小さな充填剤を使って、幅広い流量範囲で分離効率を向上

Dawn Stickle
Agilent LC アプリケーションスペシャリスト

多くのラボは、従来の HPLC カラム (通常は 4.6 mm x 15 cm または 25 cm で、5 µm 充填剤) 向けに開発された HPLC メソッドを使用しています。そうしたラボでは、サンプル量の増加に直面した場合、古いメソッドに修正を加え、クロマトグラフィ性能を損なわずに分析時間を短縮することが求められています。クロマトグラフィ理論では、5 µm 粒子のカラムの効率がもっとも高くなるのは、0.8 mL/min の流量とされています。しかし、実際の分析における線速度は、2 mL/min を超えることもしばしばです。そのため、カラム効率が低下し、シャープなピークが得られなくなります。カラム効率を上げるもっとも簡単な方法は、より小さい粒子を充填したカラムに変更することです。

3.5 µm 粒子を使うことで分析時間を 3 分の 1 に短縮

分離能を損なわずに分離スピードを高める方法には、さまざまな選択肢があります。カラムに2µm または 2.5 µm 粒子を使うこともできますが、これらの粒子は高流量でカラム効率を維持できず、また、背圧の低い 3.5 µm 粒子とほぼ同じカラム効率です。別の選択肢としては、シングルリジッドまたはセミリジッドの多孔質ロッドで構成されるモノリスカラムを使う方法があります。これらのカラムは、幅広い流量で効率を維持できますが、その効率はやはり 3.5 µm 多孔質粒子とあまり変わりません。以上のことから、3.5 µm 粒子は非常によい選択肢です。3.5 µm 粒子を充填した 15 cm カラムの効率は、5 µm 粒子を充填した 25 cm カラムと同じで、分析時間を 33 % も短縮できるという利点があります。同じ固定相を使えば、選択性が変わることもなく、メソッド開発も必要ありません。

 

図 1. 粒子サイズとカラム長を同時に小さくすれば、分析時間と溶媒使用量を削減することができます(画像を拡大するにはここをクリックします)。

1.8 µm 粒子でさらに短縮

このコンセプトをさらに進めて、1.8 µm 粒子を充填した 75 mm カラムを使えば、分析時間を 66 % も短縮することができます。サブ 2-µm の粒子の利点は、広い範囲の線速度で高いカラム効率を維持できることです。そのため、高流量を利用して、分析時間をさらに短縮することが可能です。この例では、流量を 2 倍にすることで、生産性が 6 倍になっています。短いカラムにより、溶媒消費量や廃液量を大幅に減らせるという利点もあります。

簡単なメソッド修正

カラムに小さい粒子を使う場合、メソッドに若干の修正を加える必要があります。アイソクラティック分析の場合は、カラムを交換するだけで分析時間を短縮できます。しかし、グラジエント分析の場合、分離を維持するために、カラム長の減少 (または流量の上昇) に比例してグラジエント時間を短くする必要があります。また、短いカラムに変更する場合には、サンプルの注入量を減らす必要もあります。

図 2.1200 bar までに対応する 1290 Infinity LC なら、カラム粒子サイズと長さの選択肢を最大限に広げることができます。

性能を高める複数の機器オプション

既存の HPLC において、カラム効率を維持しながら高い線速度を活用することも可能です。サブ 2-µm 粒子を使うと背圧が高くなりますが、短いカラムを使って相殺することができます。長さ 50 mm 以下の ZORBAX Rapid Resolution High Throughput (RRHT) カラムの多くは、標準的な HPLC システムで使用できます。

最高の性能を得たい場合、特に 100 mm 以上のカラムを使う必要のある分析には、Agilent 1200 シリーズ Rapid Resolution LC (RRLC) システムAgilent 1290 Infinity LC システムなどの超高性能液体クロマトグラフィ (UHPLC) システムの使用を推奨します。これらの最先端ソリューションは、システムボリュームが少なく、高い背圧に耐えることができます。また、どちらのシステムも、データ取り込み速度が上がり、ダイオードアレイ検出機能が改良されています。これにより、幅の狭い (0.5 秒) ピークでも十分にデータを取り込むことが可能になっています。

サブ 2-µm 粒子を充填した Agilent ZORBAX RRHT カラムは、600 bar までの圧力に耐えられます。これは、1200 シリーズ RRLC システムの圧力上限に対応しています。1290 Infinity LC とともに発表された Agilent ZORBAX Rapid Resolution High Definition (RRHD) カラムは、1200 bar という 1290 Infinity LC システムの圧力上限に対応できます。

従来のメソッドにおいて、分析スピードを大幅に向上させる必要がある場合は、小さい粒子を充填したカラムへの変更を検討してみてください。5 µm 粒子を充填した長いカラムで開発したメソッドを、サブ 2-µm 粒子を充填した短いカラムへ移行する際には、LC Method Translatorソフトウェア を参考にしてください。