Access Agilent 2009年12月号

Agilent 7700x ICP-MS が食品中微量金属の簡便かつ高速一斉分析を実現

Steven Wilbur、山中理子
アジレント ICP-MS アプリケーションスペシャリスト

輸出入される食品中の化学的および生物的汚染物質は、効率的に監視するのがきわめて困難です。従来、食品中金属の分析には、幅広い元素、濃度、食品の種類に対応する複数の手法が必要とされてきました。このアプローチは時間と費用がかかることから、より高速で感度が高く、コスト効率の良いスクリーニング手法が求められています。Agilent 7700x ICP-MS は、コリジョンセル手法により、1台で簡便に食品に含まれる各種の微量成分や主成分を正確に分析することができます。このアプローチなら、多数のサンプルを迅速に分析し、有毒金属の含有量を測定することを可能にします。一定濃度以上で特定の金属を含有することが判明し、化学構造 (または化学種) を特定する必要が生じた食品試料については、アジレントが提供する LC-ICP-MS や GC-ICP-MS などのハイフォネート ICP-MS テクニックを用いて、さらなる形態別分析を行うことができます。

パラメータ
RF 電源 (W) 1550
キャリアガス流量 (L/min) 0.99
スプレーチャンバ温度 (℃) 2
サンプリング位置 (mm) 8
引き出し電極 1 (V) 0
CeO+/Ce+ (%) 1.1
Ce++/Ce+ (%) 1.9
感度 cps/ppb Li: 62700
Y : 92920
Tl: 87080

表 1. Agilent 7700x ICP-MS の測定パラメータ(ワンクリックでのプラズマ設定およびオートチューン機能により設定)
図 1. Be、Cr、As、Se、Cd、Hg の検量線(画像を拡大するにはここをクリックします)。
表 2. 3 種類の認証参照食品サンプルの測定値と認証値の比較(画像を拡大するにはここをクリックします)。

簡単に設定できるオートチューニングと分析メソッド

Agilent 7700x は、さまざまな金属をさまざまな濃度で含む食品を幅広く一斉分析することができます。この性能を証明するために、複数の認証参照食品サンプルを分析しました。ワンクリックでのプラズマ設定機能を用いてロバストプラズマ条件を設定し、オートチューン機能で最適な感度、質量レスポンス、最小干渉を設定しました。測定パラメータを表 1 に示します。メソッドをできるだけ簡単かつ高速にするために、ヘリウム (He) セルガスだけの単一のガスモードでオクタポールリアクションシステム (ORS3) を使用しました。この信頼性の高いセルメソッドを使えば、分析対象物やマトリクスの組成にかかわらず、全ての多原子干渉を効果的に除去できます。サンプルあたりの分析時間は 3 分以下でした。毒性が高い危険な元素および分析が困難な元素の検量線例を図 1 に示します。

1 回の分析で微量元素、超微量元素および準主要元素を正確に測定

食品中に幅広い濃度で含まれる元素の監視には、分析機器性能上で困難が伴います。従来、このような幅広い濃度域の分析を行うためには、準主要元素 (Na と Ca) については ICP発光分析装置 (ICP-OES)、Pb と Cd については黒鉛炉-原子吸光分析装置 (graphite furnace AA)、Hg については専用の Hg アナライザもしくは冷蒸気-原子吸光分析装置 (cold vapor AA)、As と Se については水素化物‐原子吸光分析装置 (hydride AA) が必要となります。Agilent 7700x ICP-MS の Heコリジョン モードなら、1 回の分析ですべての元素を簡便に測定できます。一般的な多原子干渉を受けないため、通常はコリジョンガスを使わない条件で測定される Be や Hg といった元素も同様に、He モードで優れた感度が得られています (Be 検出下限 = 28 ppt、Hg 検出下限 = 1.6 ppt)。

マイクロ波分解による前処理後、認証参照食品サンプルを直接分析しました。各サンプル 0.5 g~1 g を計量し (含水率測定後)、HNO3 6 mL と H2O2 2 mL を用いてマイクロ波分解により前処理しました。超純水を用いて、すべてのサンプルの最終容積を 100 mL としました。分析結果を表 2 に示します。Ni、Mn、Cu、As、Se、Cd、Hg、Pb といった微量元素、超微量元素の測定値は、3 種類すべてのサンプルで認証値と良好に一致しました。Fe、Ca、Zn の測定値は認証値と少しのずれは、前処理方法である分解手順に由来します。

食品中含有元素類の一斉高速スクリーニング分析

一般的な食品サンプルの分析で、複数のサンプル前処理手順や分析装置を使用する必要はなくなりました。マイクロ波分解と ICP-MS 分析を用いたシンプルなメソッドを使えば、食品を迅速かつ正確に分析し、微量元素、超微量元素と準主要元素の濃度を測定することができます。Agilent 7700x を Heコリジョンガス (He モード) で使用すれば、一般食品に含まれる幅広い金属元素の分析において、マトリクス干渉を完全に除去し、優れた感度と精度を得ることができます。He モードは高感度と汎用性を備えているため、マイクロ波分解前処理をしたあらゆる食品サンプルの含有元素分析に応用できます。サンプルマトリクスやその組成について、前もってデータを収集する必要はありません。この研究の詳細については、アプリケーションノート (5990-4539EN,英語) に記載してあり、ここからダウンロードできます。

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