リアルタイム定量 PCR (qPCR) とマイクロアレイ分析は、遺伝子発現異常の解明に不可欠な手法です。マイクロアレイデータの解析に求められる最低限の情報を規定するガイドラインは、2001 年から策定されていますが [1]、qPCR 実験に関する同様の規定は、最近まで策定されていませんでした。 2009 年初め、qPCR を扱う著名科学者の連合により、qPCR 実験を公表する場合に報告すべき最低限の情報に関する規定が策定されました。これらの規定は、MIQE ガイドライン (「minimum information for publication of quantitative real-time PCR experiments (定量的リアルタイム PCR 実験の公表に必要な最小限の情報)」の略) と呼ばれています。本稿では、このガイドラインの遵守における Agilent 2100 バイオアナライザの役割を解説します。
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MIQE ガイドラインでは、実験結果の変動の原因となりうる事項が詳細に説明されているほか、論文を送る際に記入し、出版元に提出すべきチェックリストも規定されています。qPCR のチェックリストでもっとも重要となる項目が、核酸抽出です。特に、mRNA プロフィールをターゲットとする実験の場合、qPCR 実験結果の精度、再現性、妥当性、さらにはその解釈の正当性、信頼性を確保するためには、RNA サンプルの品質評価が必要不可欠です。
定評のあるメソッドにより、迅速な評価を実現
RNA 品質管理において業界標準となっている Agilent 2100 バイオアナライザと Agilent RNA キットの組み合わせは、信頼性の高いRNAサンプルの品質管理を可能にします。アジレントは RNA Integrity Number (RIN) アルゴリズムを開発し、RNA 品質評価を標準化しました。Agilent 2100 バイオアナライザで RNA サンプルを分析すると、ソフトウェアがサンプルRNAの劣化のレベルにもとづき、自動的に 1~10 のインテグリティナンバー (RIN値) を割り当てます。2006 年のこのアルゴリズムの発表以来、複数の雑誌記事が RIN の使用に言及し、遺伝子発現実験における RNAの 劣化の影響を解説しています [2,3,4]。
MIQE ガイドライン遵守における Agilent 2100 バイオアナライザの重要な役割については、ATAA Biocenter の Mikael Kubista 教授がウェブセミナーで解説しています。Kubista 教授はこの解説のなかで、サンプル管理の妥当性や、qPCR 結果における RNA の品質劣化の影響について説明しているほか、実際に Agilent 2100 バイオアナライザを用いて RNA サンプルの品質を管理している TATAA Biocenter の実例も紹介しています。
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qPCR を扱う研究者にとって、RNA の品質の維持・管理は必要不可欠です。Agilent 2100 バイオアナライザと Agilent RNA キット、RIN アルゴリズムを組み合わせれば、qPCR 実験において RNA 品質を迅速に評価できる完璧な分析ソリューションが実現します。MIQE ガイドラインを遵守する必要がある方は、Agilent 2100 バイオアナライザによる RNA 品質管理、qPCR、RNA 品質チェックに関する詳細情報をご覧ください。
参考文献