Access Agilent 2009年11月号

HPLC のヒント: UV 検出器フローセルに注目

Michael Woodman、アジレント市場開発スペシャリスト、CAG
Dat Phan、アジレント LC アプリケーションエンジニア

最高の LC データを望むなら、アプリケーションに適した UV フローセルを適切に扱う必要があります。もっとも大切な目標は、クロマトグラフィ分離能を維持しながら、最高の感度を得られるフローセルを選択することです。

残念ながら、ユーザーの多くは、HPLC システムで問題が生じたときにしか、フローセルのことを考えません。UV フローセルのメンテナンスは簡単なので、どんな HPLC システムユーザーにもできます。はじめに、4 つの一般的な故障予防対策をご紹介します。:

Agilent 1290 Infinity LC
  • フローセルの多くは、石英ウィンドウまたはフューズドシリカ構成部分を備えています。そのため、pH 9.5 以上のアルカリ性溶液の使用は避けてください。アルカリ性溶液を使うと、こうした構成部分が影響を受け、光学性能が損なわれることがあります。
  • フローセル内での結晶化を防ぐために、バッファや塩溶液、特に高 pH 溶液の使用後は、必ず水で洗浄してください。
  • 一晩中 LC を使用しない場合は、藻の増殖を防ぐために、フローセルに 10 % 以上の有機移動相を充填してください。
  • 最新型のフローセルのなかには、コーティングまたはコーティングされていないフューズドシリカキャピラリを使用しているものがあります。溶媒を流さずに UV ランプの電源を入れると、コーティングキャピラリに悪影響が出ることがあります。メーカーの説明書をよくお読みください。

フローセルの選択

HPLC システムに適したフローセルを選択することがきわめて重要です。たとえば、複数の検出器 (または検出器とフラクションコレクタ) が連続して接続されている場合には、高圧フローセルが必要となることもあります。また、最適な分離能や感度を得るためには、フローセルの容量や光路長が適切かどうかを確認する必要もあります。

内径の小さいカラムには容量の小さいフローセルが必要になることは広く知られていますが、カラムの長さ、粒子サイズ、グラジエントの勾配も、すべて重要な役割を担っています。たとえば、急勾配のグラジエントで 4.6 mm カラムを用いると、高分離能条件下で長い 2.1 mm カラムを用いた場合よりも、ピークボリュームが小さくなります。

フローセル選択のガイドラインとしては、Agilent LC Method Translator を使うといいでしょう。[Advanced Mode] タブで現在の条件や新条件の候補を入力すると、Agilent Method Translator がピークボリュームを概算します。クロマトグラフィ分離能を低下させる不要な分散を最小限に抑えるためには、フローセルのピークボリュームを約 10 % 以下にする必要があります。

また、絶対セルボリュームが必ずしも考慮すべきパラメータではない点に注意してください。重要なパラメータは、実効セルボリュームです。たとえば、Agilent 1290 Infinity ダイオードアレイ検出器の新しいセルデザインは、オプトフルイディクス導波路をベースにしています。全反射の原則を用いたこのデザインにより、分離能を損なうセル分散効果のない高感度な分析が可能となります。

 

図 1. オプトフルイディクス導波路を用いたフローセルにより、きわめて微量成分のピークでも、高い感度が得られます(画像を拡大するにはここをクリックします。

フローセルの洗浄

無人シーケンス分析中にシステムが突然シャットダウンした場合、サンプルがフローセル内に残っている可能性があります。塩バッファを入れたままシステムの稼動を一晩止めていたときには、はじめに低流量でシステムを洗浄し、システム圧力を観察することが重要です。カラムコンパートメントを 60 °C に設定した温水洗浄なら、UV フローセルを効果的に洗浄できます。

質量分析計 (MS) に関する考慮事項

UV フローセルの分散は、MS 性能に大きな影響を与えます。MS トレースにおいてクロマトグラフィのピーク幅が広すぎる場合には、アップストリームのフローセルなしでピーク幅を確認してください。UV フローセルの前にティーを置き、MS ソースへのフローを分割するなど、代わりの配管方法を検討してもいいでしょう。

これらのヒントは、UV フローセルの使用やメンテナンス、および最高の動作条件の維持に役立つものです。Agilent 1290 Infinity LC システムに搭載されている新しい Agilent Max-Light フローセルでは、オプトフルイディクスカートリッジのデザインにより、感度と性能が大きく向上する一方で、ここで挙げた多くの問題が解消されています。

アジレントポッドキャスト Web サイトから、その他の HPLC ヒントや参考文献にアクセスできます。フローセルのポッドキャストにリンクする場合は、Agilent LC Method Translator および LC メンテナンスガイドを確認してください。