Access Agilent 2009年10月号

ChromSword による新しい薬品のHPLC メソッド開発時間の短縮

武田薬品工業株式会社
開発分析研究所
辛島 正俊様

医薬品の HPLC分析法は、従来、分析法開発者の経験や勘に基づいた試行錯誤の末に開発されてきましたが、近年の医薬品開発の急激な加速、開発テーマ数の増加に対応するためには、迅速で統一された分析法開発のフローが必要になっています。開発テーマの HPLC分析法を迅速且つ確実に開発するための方法として、HPLC メソッド自動開発システム 「ChromSword」 ソフトウェアを試しました。

HPLC メソッド自動開発システム 「ChromSword」 は、構造式の情報や予備実験の結果を実験者が入力し、最適条件を探索するオフライン機能と 「ChromSword」 自身が分析条件を考えて実際に分析を行い、分離条件を最適化するオンライン機能を有しています。これら複数の機能を医薬品の開発段階に応じて使い分けることによって、より効率的な検討に結びつけることが可能となります。現段階では、概ね表1 に示すような段階的な使用を想定しています。それぞれのステージでの検討例を紹介します。

開発初期
前臨床
Ph I ~II
Ph III~NDA
       
原薬量の制限
乏しいバッチヒストリー
原薬量の確保
Forced Degradation Study
製剤処方化検討
安定性試験
バッチヒストリーの蓄積
類縁物質の構造決定
合剤の開発

オフライン (構造モデル) オフライン (多項式モデル) オンライン (スクリーニング) オフライン(構造モデル)

表 1. 開発段階に応じた ChromSword の機能の使い分け

シミュレーションと実際の分離の間の優れた相関

開発初期段階にある化合物A のメソッド開発においては、基本的な物性情報 (UV吸収、pKa、溶解度等) と化合物A の構造式から推定された生成し得る類縁物質構造の情報を基に、オフライン機能の 0次予測でグラジエントパターンを暫定的に決定しました。化合物入手後、2回の予備測定を行い、オフライン機能の多項式モデルに基づいて有機溶媒比率の最適化を行ったところ、シミュレーション結果と実測 (図1) の結果がよく一致しました。
移動相pH とグラジエントパターンをオフラインで最適化した検討例、オンライン機能を用いて類縁物質の分離を改善した検討例などもあります。

図 1. 観察された分離とよく相関している ChromSword の予測(画像を拡大するにはここをクリックします)。

 

アジレントのパートナーから入手可能

これらの結果に基づくと、ChromSword ではメソッド開発の加速化が保証されます。この製品をお試しになる場合、アジレントが ChromSword Group と提携して ChromSword Auto 4 を提供しています。これは、Agilent ChemStation または Agilent EZChrom Elite データシステムを搭載した Agilent 1100 シリーズ、1200 シリーズ、1200 シリーズ Rapid Resolution LC および 1290 Infinity LC と互換性があります。ChromSword は、Agilent 1200/1290 シリーズ LC メソッド開発ソリューションとも統合され、分離パラメータを完全に自動的に最適化します。詳細については、ChromSword 製品ページをご覧になるか、アジレントの担当者にお問い合わせください。

Reference

1. E. F. Hewitt, P. Lukulay, and S. Galushko, “Implementation of a rapid and automated high performance liquid chromatography method development strategy for pharmaceutical drug candidates,” J. Chromatogr. A, 1107, 79-87, 2006.