Access Agilent 2013年10月号

Agilent Cary 7000 多角度可変自動測定分光光度計による 10 Abs を超える光学密度の測定

Robert Frances
アジレント シニア光学エンジニア

Travis Burt
アジレント プロダクトマーケティングマネージャ、Cary UV-Vis-NIR

高光学密度 (吸光度) の測定は、急速に拡大するバイオフォトニクス分野や、高品質サングラスの製造などのアプリケーションに携わる科学者やエンジニア、メーカーにとって、きわめて重要となります。Agilent Cary 7000 多角度可変自動測定分光光度計 (UMS) は、高光学密度のサンプルを正確に測定するための測光精度、直線性、ダイナミックレンジを備えています。

可視スペクトル域および NIR スペクトル域におけるこの機器の性能を評価するために、高減衰光学フィルターの製造に用いられる材料の光学密度を測定しました。フィルターテクニックを追加して用いることで、可視領域の約 640 nm で10 Abs、 近赤外 (NIR) 領域の約 1500 nm で 8 Abs を超える測光範囲、精度、直線性が得られました。この記事では、その詳細を紹介します。

測光直線性および測光範囲の低コスト測定

フィルターテクニックを追加すれば、高価な較正用標準試料を使わずに、分光光度計の測光直線性および測光範囲を直接的かつ低コストで測定することができます。電磁スペクトルの可視領域に適用したこの手法の詳細は、アジレント文献 5990-7843EN で紹介されています。今回の研究では、可視スペクトル領域および NIR スペクトル領域にこの原理を適用し、サンプル分析に先立って測光性能を確認しました。

可能な場合にはリアビームアッテネータを用いました。サンプルビームの入射光が高度に減衰する場合には、リアビームアッテネータ (RBA) により、機器のダイナミックレンジを広げる必要があります。RBA により、検出器でのサンプルシグナルとリファレンスシグナル (または光強度) のバランスがとれるため、高吸光度のサンプルを測定する際には、この手法が効果的です。以下で述べるタイプのメッシュフィルターか、全自動の Agilent Cary リアビームアッテネータを使えば、RBA に対応することができます。

フィルターテクニックの追加を検証

可視領域における測光範囲を調べるために、BG25 フィルターおよび減衰メッシュフィルターを追加した測定をおこないました。

データ採取手順は、次のとおりです。リアビームにおいて 4.5 Abs 減衰を設定し、1 秒という短いスペクトル平均化によりベースラインを測定しました。その後、BG25 フィルターと減衰メッシュフィルターを個別に測定しました。次に、スペクトル平均化時間を 50 秒にのばし、ブロックトビーム測定をおこなったのち、BG25 フィルターと減衰メッシュフィルターを一緒に測定しました。すべての測定は、透過率 (%T) でおこないました。フィルターの位置と測定間の動きには、特に注意を払いました。

BG25 フィルター (青)、減衰メッシュフィルター (黒)、BG25 フィルターと減衰メッシュフィルターの組み合わせ (赤) のスペクトル。緑のスペクトルは、青および黒のスペクトルの追加にもどづく予測値を示しています。

図 1.BG25 フィルター (青)、減衰メッシュフィルター (黒)、BG25 フィルターと減衰メッシュフィルターの組み合わせ (赤) のスペクトル。緑のスペクトルは、青および黒のスペクトルの追加にもどづく予測値を示しています。(図を拡大)

BG25 フィルター (青)、減衰メッシュフィルター (黒)、BG25 フィルターと減衰メッシュフィルターの組み合わせ (赤) のスペクトル。緑のスペクトルは、青および黒のスペクトルの追加にもどづく予測値を示しています。

図 1.BG25 フィルター (青)、減衰メッシュフィルター (黒)、
BG25 フィルターと減衰メッシュフィルターの組み合わせ (赤) のスペクトル。
緑のスペクトルは、青および黒のスペクトルの追加にもどづく予測値を示しています。

UG11 フィルター 1 (青)、UG11 フィルター 2 (黒)、UG11 フィルター 1 および UG 11 フィルター 2 の組み合わせ (赤) のスペクトル。緑のスペクトルは、青および黒のスペクトルの追加にもどづく予測値を示しています。

図 2.UG11 フィルター 1 (青)、UG11 フィルター 2 (黒)、UG11 フィルター 1 および UG 11 フィルター 2 の組み合わせ (赤) のスペクトル。緑のスペクトルは、青および黒のスペクトルの追加にもどづく予測値を示しています。(図を拡大)

UG11 フィルター 1 (青)、UG11 フィルター 2 (黒)、UG11 フィルター 1 および UG 11 フィルター 2 の組み合わせ (赤) のスペクトル。緑のスペクトルは、青および黒のスペクトルの追加にもどづく予測値を示しています。
 

図 2. UG11 フィルター 1 (青)、UG11 フィルター 2 (黒)、
UG11 フィルター 1 および UG 11 フィルター 2 の組み合わせ (赤) のスペクトル。
緑のスペクトルは、青および黒のスペクトルの追加にもどづく予測値を示しています。

データ処理にあたっては、すべてのフィルター測定結果からブロックトビーム測定の結果を減算し、結果を吸光度単位に変換しました。BG25 フィルターと減衰メッシュフィルターの各スペクトルを加算し、すべてのフィルターを一緒に測定した場合の予測スペクトルを算出しました。

同様のプロトコルを用いて、NIR 領域における 2 つの UG 11 フィルターの追加についても測定しました。

実際値と予測値の優れた相関性

図 1 は、可視領域におけるフィルター追加測定の結果を示しています。実測値 (赤のスペクトル) と予測値 (緑のスペクトル) で優れた相関性が見られ、約 640 nm における最大吸光度は 10 Abs を超えています。フィルターを組み合わせた場合の測定では、良好なシグナル/ノイズ比が得られています。この結果は、Cary 7000 UMS の性能が高く、最大吸光度近くのきわめて低い光レベルも検出できることを示しています。

図 2 は、NIR 領域におけるフィルター追加測定の結果を示しています。実際値 (赤のスペクトル) と予測値 (緑のスペクトル) で優れた相関性が見られ、約 1500 nm における最大吸光度は 8 Abs を超えています。

優れた性能を実現する独自技術

Agilent Cary 7000 UMSAgilent Cary 5000 UV-Vis-NIR は、PbS NIR 検出器で PbSmart 技術を用いている唯一の市販機器です。PbSmart は、Agilent PbS 検出器を制御する独自技術です。機器の優れた迷光および光学設計と組み合わせることで、業界最高の NIR 性能が得られます。
今回のフィルター追加実験は徹底的なものではありませんが、この分光光度計が優れた測光精度を備え、可視領域では 10 Abs、NIR 領域では 8 Abs を超える光学密度を正確に測定できることが確認されています。

フィルター追加テクニックにより、UV-Vis-NIR 領域における Agilent Cary 7000 多角度可変自動測定分光光度計の優れた測光範囲、精度、直線性が実証されました。高光学密度における精密測定が可能な分光光度計をお探しなら、この研究に関する技術ノート 5991-2528EN の完全版をご覧ください。また、先端材料の測定における Agilent Cary 7000 UMS の使用に関する詳細もご確認ください。