ビールの分析: アジレント・テクノロジーが実力を発揮


John Lee、アジレント食品分野マネージャ

ビールは、世界で最も広く消費されている飲料の 1 つです。例えば、ドイツのビール年間消費量は 1 人あたり平均 100 リットルを超えています。製品の品質を確保するために、ビールメーカーでは、発酵工程を最初から最後まで管理して香気成分をすべて評価するだけでなく、香気が与える影響の良し悪しを判断して新たな原材料の効果をテストするなど、ほとんどあらゆるものが分析されています。フーゼル油や高級アルコール、そのエステル、ビシナルジケトン、アルデヒド、および有機酸のすべてがビールの風味バランスに影響することもわかっています。
これらの成分の管理に熱心なビールメーカーでは、目的とする特性が高まっているかをバッチごとにモニタリングして香りをコントロールします。このモニタリングや新しいビール製品の研究および開発ツールとして、ヘッドスペースガスクロマトグラフィー質量分析計または水素炎イオン化検出器が使用されています。

ビールに魅力的な苦味を与える成分で、香りに不可欠なホップ由来のイソα酸をモニタリングするために、超高速液体クロマトグラフィー (UHPLC) が使用されます。この重要となる化合物はイソフムロンと呼ばれます。

ホップ由来の天然イソフムロンの酸化による異臭の発生 (光の曝露による変質) を防ぐために還元イソフムロンが用いられることがありますが、ビールメーカーおよび規制当局は、こういった化合物の未申告使用など不適切な生産の防止にも取り組んでいます。実際、還元イソフムロンは原材料として申告することが義務付けられているか、国によっては使用が一切禁止されています。

アジレントは、1 回の分析で関連するイソフムロンと還元イソフムロンをすべて分析することのできる UHPLC メソッドを提供します。

ホップから生成されるイソα酸にはよく知られているイソフムロンにとどまらず、多くの種類が存在しています。これらの化合物をより幅広く分析することで、ケモメトリクスにもとづく多様なビールの分類が可能になり、これを真正性の確認に役立てることができます。

しかしながら、化合物の範囲が広がれば、解析しなければならない化合物の特性も必然的に拡大することになり、1 つの分離モードでは対応できなくなります。

この課題を解決するのが、アジレントの 2D-LC 技術四重極飛行時間型質量分析計の組み合わせです。このきわめてパワフルな分離アプローチなら、さまざまなイソα酸や還元イソα酸を同定することができます。

ビールには、健康に有益なビタミン、ポリフェノール、アミノ酸、および鉱物も含まれています。Agilent LC および LC/MS システムは、ビール中のビタミン B 群およびポリフェノール類を正確に評価できることがわかっています。Agilent ICP-MS および ICP-OES は、栄養素の評価に非常に有効です。

ビールには、マイコトキシン、生体アミン、重金属などの汚染物質や、さまざまなアレルゲンが含まれている可能性もあります。アジレントは、これらの対象すべてに対して、最終製品が各種規制で定められている食品安全の基準に適合しているかを効果的に評価するための LC/MS および原子吸光分光分析メソッドを開発しました。

偶然にも、2016 年は現代のビール醸造につながった初の食品規制法の制定 500 周年にあたります。1516 年 4 月 23 日にバイエルン (現在はドイツの一州) で「ドイツビール純粋令」として知られる Reinheitsgebot が採択されました。現代のビール醸造につながった初の食品規制法の詳細についてはこちら >>

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教授: Jana Hajslova, University of Chemistry and Technology in Prague 食品分析・栄養学部長

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