Access Agilent 2017年1月号

食品検査ラボのベストプラクティス: アジレント - AOAC 共同ワークショップのハイライト

Thierry Faye, アジレントグローバル市場開発マネージャ
Chandrasekar Kandaswamy, アジレント GC/MS シニア市場開発サイエンティスト
Anand Sheshadri, アジレント LC/MS シニア市場開発サイエンティスト
Ankur Srivastava, アジレント市場プログラムマネージャ

食品安全は、誰もが関心あるテーマです。アジレントは、世界中の政府機関および食品研究の第一線で活躍する科学者と協力し、食品の安全の確保と品質の向上に取り組んでいます。その一環の活動として、アジレントは AOAC International インド支部と、食品研究の科学者を対象とした 2 日間の欧州連合 (EU) ガイドライン (SANTE 11945/2015) のワークショップをインドで開催しました。

「このような専門的で充実した内容のプログラムの企画と開催に協力したアジレントに感謝します。食品規制に携わる EU のエキスパートと交流し、アジレント最新の製品やワークフローに触れる機会は、我々が食品安全を確保するうえで大変有用です。」

Kaushik Banerjee 博士, AOAC International インド支部会長

図 1. 農薬のメソッドバリデーションに関する EU ガイドラインについて役立つ情報を伝える Carmen Amate 博士

図 1. 農薬のメソッドバリデーションに関する EU ガイドラインについて役立つ情報を伝える Carmen Amate 博士

このワークショップは、講義、実技、およびディスカッションのプログラムで行われました。実践的なラボセッションでは、サンプル前処理にアジレント QuEChERS ソリューションの実演を行いました。Agilent トリプル四重極 7010B GC/MS6495 LC/MS、および 7800 ICP-MS でのメソッドの最適化およびトラブルシューティングについても紹介しました。

欧州連合ガイドラインの遵守

EURL (欧州リファレンス・ラボラトリー) で果物および野菜中の残留農薬の研究に取り組む Carmen Ferrer Amate 博士 (スペイン、アルメリア) は、欧州連合ガイドラインを満たすうえで最も重要となるメソッドバリデーションパラメータについて、自身の専門知識をワークショップ参加者に講義しました (図 1)。Amate 博士は、LC/MS/MS および GC/MS/MS による多様な食品の定量分析に伴うマトリックス効果について取り上げ、脂質の多いマトリックスに対して希釈法や Agilent QuEChERS EMR—Lipid などのクリーンアップ法を用いて、シグナルの増強または抑制 (マトリックス干渉) に対処する方法について解説しました。

「アジレントの機器、カラム、およびサンプル前処理製品にはいつも満足しています。間違いのない優れた結果が容易に得られることが分かっていますから。」と、Carmen Ferrer Amate 博士は語っています。Amate 博士は、EURL ネットワークの活動と技能試験 (EUPT) に関するプレゼンテーションを講義の最後に加えました。

最良のクロマトグラフィー結果を得るためのサンプル前処理の最適化

アジレントの製品スペシャリストである Ram Prasad Ganni は、食品汚染物質検査におけるサンプル前処理の重要性と、さまざまな食品マトリックスに伴う課題をテーマに講義を行いました。Ganni は、食品汚染物質の分析に用いられるさまざまなサンプル前処理法の利点を説明しました。固相抽出 (SPE) 法および QuEChERS 法について、各サンプル処理ステップの重要性と、それによるクロマトグラフィーおよび回収率への影響について解説しました。チリの抽出および分散クリーンアップの実技では、サンプル前処理の最適化により、最良のクロマトグラフィーを得る方法と機器のダウンタイムを低減する方法を実演しました。

図 2. 50 ng/mL の GC/MS 農薬分析キャリブレーション確認溶液 (青)、蜂蜜抽出物の 60 回の注入後 (赤)、ライナおよび Agilent Intuvo Guard Chip 交換後 (緑) のクロマトグラムの重ね表示。優れた一貫性のある結果が得られています。

図 2. 50 ng/mL の GC/MS 農薬分析キャリブレーション確認溶液 (青)、蜂蜜抽出物の 60 回の注入後 (赤)、ライナおよび Agilent Intuvo Guard Chip 交換後 (緑) の
クロマトグラムの重ね表示。優れた一貫性のある結果が得られています。

マトリックス干渉を抑制するメソッドの迅速な開発

アジレントの GC/MS サイエンティストである Chandrasekar Kandaswamy の講演では、ラボ間再現性の重要性と、多成分一斉分析における MRM トランジション選択の影響に焦点を当てました。改良型 QuEchERS 法によりサンプル前処理を最適化することで、共溶出物を最小限に抑え、70~120 % の回収率を達成することができました (図 2)。リテンションタイムロッキングAgilent MassHunter 農薬および汚染物質 MRM データベースを併用することにより、GC/MS/MS 機器のパラメータ設定時間が短縮されました。ポリ塩化ビフェニル (PCB) や多環芳香族炭化水素 (PAH) を含む農薬 1100 種について平均 5 つの MRM トランジションを利用できるため、ターゲット化合物に対するマトリックス干渉のない MRM トランジションが選択でき、優れた選択性を持つルーチン分析を実現することができました。

食品中の微量金属およびその他元素の定量

アジレントの ICP-MS アプリケーションケミストである Vinay Jain 博士は、ルーチン分析に適した Agilent 7800 ICP-MS について説明しました。この ICP-MS は、現場で実証された堅牢なハードウェアに、自動最適化ツールと、ルーチン分析を容易にするプリセットメソッドを搭載したシステムです。ラボの生産性を高め、信頼性の高い分析結果を実現します。Agilent 7800 ICP-MS は、高いマトリックス耐性、広いダイナミックレンジ、多原子干渉の効果的な抑制により、複雑で多様なサンプルマトリックス中でも確実な結果が得られます。しかも、設定や使用が非常に簡単なため、食品や農産物などきわめて幅広いサンプルマトリックスで信頼性の高い結果をすばやく得ることができます。その優れた性能を証明するために、Jain 博士は、粉ミルク中の微量金属の分析および定量を実演しました。

図 3. ワークショップでは、実りあるディスカッションも行われました。互いの経験を共有し合うアジレントの Thierry Faye 博士 (左) と Indian Agricultural Research Institute の All India Network Project on Pesticide Residues ネットワークコーディネータの K. K. Sharma 博士 (右)。

図 3. ワークショップでは、実りあるディスカッションも行われました。互いの経験を共有し合うアジレントの
Thierry Faye 博士 (左) と Indian Agricultural Research Institute の All India Network Project on Pesticide
Residues ネットワークコーディネータの K. K. Sharma 博士 (右)。

時間節約に有効な275 種が分析可能な単一の LC/MS/MS メソッド

アジレントの LC/MS サイエンティストである Anand Sheshadri は、香辛料サンプルに含まれる微量濃度の農薬、マイコトキシン、着色料、およびピロリジンアルカロイド (PA) のスクリーニングと定量が可能な単一の LC/MS メソッドの開発について説明しました。このメソッドでは、LC/MS 分析前に、チリおよびターメリックサンプルに対して EMR-QuEChERS による効果的でシンプルなサンプルクリーンアップを行います。これにより、農薬 245 種、PA 20 種、着色料 6 種、およびアフラトキシン 4 種のすべてを単一の LC/MS/MS メソッドで分析することができました。また、マトリックス適合キャリブレーション標準を用いて分析対象物を定量しました。この分析は、Agilent 1290 Infinity II LCAgilent 6495 トリプル四重極 LC/MS のシステムを使用しました。分析対象物の 75 % 以上について、70~130 % という良好な回収率が得られました。

より安全な食品のために

食品および農業では、感度と生産性に優れた分析ソリューションがこれまで以上に求められています。今後もこのような共同ワークショップの取り組みなどを通じて、食品安全を取り巻く課題の克服に役立つ情報やツールを提供していきます (図 3)。

食品安全に対するアジレントの取り組みについて、ブログでも様々な役立つ情報がご覧いただけます。