Access Agilent 2016年9月号

Agilent 1290 Infinity II 2D-LC ソリューション
による治療用タンパク質中の凝集体における
高分解能・高効率定量

Patrick Cronan および Michael Kruger、アジレントアプリケーションサイエンティスト
Timothy Rice、アジレントグローバル製品マネージャ

モノクローナル抗体や遺伝子組み換えタンパク質などの治療用タンパク質が広く使用されるようになっています。治療用タンパク質は低分子医薬品よりはるかに複雑です。いまや不可欠とも言えるこれらの医薬品は、開発段階からそのライフタイムに渡って分子を詳細に特性解析する必要がありますが、こういった分析には複雑な課題が伴います[1]

プロテイン A は、Staphylococcus aureus の細胞膜に存在する免疫グロブリン Fc 受容体で、ヒト IgG 1、IgG 2、IgG 4 などのポリクローナル IgG およびモノクローナル IgG に対して強い親和性を備えています。この他、ウサギや一部マウスなど他の種の IgG にも強い親和性を示します。一般に、分取スケールおよび加工スケールでの IgG の精製には固定化プロテイン A が使用されています。また、分析スケールでは、Agilent バイオモノリスプロテイン A HPLC カラムを用いることで、複雑な混合物または純粋なサンプル中の IgG の高速定量および小規模な精製を行うことができます[12]。

治療用タンパク質サンプル中の凝集体の定量および解析には、サイズ排除クロマトグラフィー (SEC) が最適です。プロテイン A による捕捉に続いて SEC による凝集体分析を行うことで、サンプルの純度が高まり、より正確な特性解析が可能になります。また、Agilent 1290 Infinity II 2D-LC ソリューションを使用すれば、この一連の分析を 1 回の注入で完了できます。このソリューションでは、一次元目でプロテイン A による捕捉を実行し、溶出した IgG をマルチハートカットループに取り込んで二次元目のAgilent AdvanceBio SEC カラムで溶出させることにより、正確な凝集体分析を行えます (図 1)。

図 1. AdvanceBio SEC カラムにより凝集体が正確に分析されました。

高速凝集体分析に最適な Agilent 1260 Infinity II
バイオイナート LC

今回の調査では、2D-LC ソリューションの一次元目システムとして Agilent 1260 Infinity II バイオイナート LC を使用しました。バイオイナート LC は、マルチハートカットバルブであるAgilent InfinityLab 2D-LC Quick Change バルブ (12 個の 40 µL サンプルループを搭載) を介して二次元目クロマトグラフィー用の Agilent 1290 Infinity II ハイスピードポンプに接続しました。また、一次元目および二次元目システムにダイオードアレイ検出器を装着しました。この調査では、サンプルとして、Sigma 社から購入した IgG 標準物質を使用しました。一次元目のメソッドパラメータを表 1に、二次元目のパラメータを表 2に示します。

パラメータ 説明
カラム Agilent バイオモノリスプロテイン A カラム、室温
流速 0.75 mL/min
移動相 A) 100 mM リン酸バッファ
B) 500 mM 酢酸
グラジエント 0 分 – B 0 %
0.5 分 – B 0 %
0.51 分 – B 100 %
2.5 分 – B 100 %
2.6 分 – B 0 %

表 1. 一次元目の分離 — プロテイン A による親和性捕捉と UV 検出

パラメータ 説明
カラム Agilent AdvanceBio SEC 300A、2.7 µm、 at 25 °C
流速 0.35 mL/min
移動相 10 mM リン酸バッファ pH 7.4、アイソクラティック
2D-LC モード マルチハートカット

表 2. 二次元目の分離 — サイズ排除クロマトグラフィー

図 2. プロテイン A カラムによる親和性捕捉と、熱ストレスをかけた IgG のサイズ排除分離結果

図 2. プロテイン A カラムによる親和性捕捉と、熱ストレスをかけた IgG のサイズ排除分離結果

図 3. IgG および熱ストレスをかけた IgG の 2D サイズ排除分離クロマトグラムの重ね表示

図 3. IgG および熱ストレスをかけた IgG の 2D サイズ排除分離クロマトグラムの重ね表示

2D 分離法が時間節約と効率向上に貢献

2D 分離が、モノクローナル抗体の凝集体分析の高速化に役立ちました。凝集体の特性解析を 2 ステップで構成することにより、分析を 1 回の注入ですべて完了し、フラクションコレクションステップを完全に排除することができました。

Agilent 1290 Infinity II 2D-LC ソリューションによりプロテイン A と SEC を組み合わせることで、1 回の分析で特性解析を行えることを実証した後、2D メソッドを用いてさまざまな凝集体濃度を SEC で検出するテストを実施しました。このテストでは、IgG 標準物質に 65 °C の恒温槽で 24 時間熱ストレスをかけました。これにより、図 2 および図 3 に示すように、凝集体の濃度が高くなりました。図 3 から、凝集体が単量体および二量体から明確に分離していることがわかります。

この調査結果の全文については、アジレントのアプリケーションノート 5991-7223EN をダウンロードしてご覧ください。

Agilent 1290、LC カラム、および AdvanceBio SEC の
組み合わせが汎用性の高い迅速な分析を実現

Agilent 1290 Infinity II 2D-LC ソリューションは、汎用性と効率に優れた mAb 抗体価および凝集体の測定を 1 つのメソッドで実現します。フラクションコレクションや複数回の注入は必要ありません。2D-LC ワークフローの一次元目に用いた Agilent バイオモノリスプロテイン A カラムは、抗体価測定のための分析スケールでの mAb の精製や凝集体分析前の初期精製ステップとして最適です。また、新しい Agilent AdvanceBio SEC 300Å カラムは、単量体から多価凝集体の分離において優れた性能を示し、2D-LC ワークフローの二次元目に用いることで正確な評価が可能になります。

アジレントの幅広い LC システム、カラム、消耗品

アジレントは、多忙なラボの分析効率を最大限に高める幅広い LC システムカラム、および消耗品を提供しています。ラボの目的がサンプルスループットの向上、迅速なメソッド開発、分析困難なアプリケーションへの対応のどれであっても、アジレントのモジュール型システムなら、必要なコンポーネントを柔軟に組み合わせ、優れた結果を生み出すことができます。詳細については、アジレントの担当者にお問い合わせください。お客様のアプリケーションに最適なソリューションを提案いたします。