Access Agilent 2016年7月号

Agilent MS/MS、UHPLC、Q-TOF による食肉中の動物用医薬品の迅速かつ正確でコスト効率の高い測定

Tarun Anumol、アジレント LC/MS アプリケーションサイエンティスト

動物用医薬品は、家畜の病気の防止や成長促進のために使用されています。過剰な使用から食肉が汚染される場合があり、食品中の動物用医薬品の残留物の測定が重要になっています。しかし、食肉のような動物由来の食品は複雑なマトリックスのため、分析に手間がかかります。

正確な測定とモニタリングの実現した包括的ソリューション

通常、動物用医薬品の正確な測定には、多くの場合 LC/MS/MS テクノロジーをベースとする高度な分析メソッドと機器が必要です。今回の研究では、食品中の 122 種類の動物用医薬品を測定する 12 分間の分析メソッドを開発しました。Agilent 6545 Q-TOF LC/MSAll Ions MS/MS 測定とアジレントの動物用医薬品パーソナル化合物データベースライブラリ (PCDL) を組み合わせて使用しました。

Agilent Q-TOF による高速かつ高感度なデータ採取

今回の分析では、122 種類すべての動物用医薬品を USDA で定めた各薬品の最大許容レベルの 0.5 倍、1.0 倍、2.0 倍の濃度で、ウシの肝臓、腎臓、筋組織にスパイクしてサンプルとしました。

スパイクしたサンプルは、Agilent 6545 Q-TOF LC/MS の Agilent All Ions データ取り込みモードを用いて分析しました。Agilent MassHunter Qualitative ソフトウェアを用いて、化合物の検出と検証を行いました。PCDL は各化合物の MS/MS スペクトルとリテンションタイムが登録されており、データ確認プロセスで偽陽性を素早く、かつ、確実に除外することができます。6545 Q-TOF LC/MS を使用した分析では、すべてのマトリックス中で 92 % 以上の動物用医薬品が、3 種類すべてのスパイク濃度レベルで検出されました。

図 1. 50 ng/mL の動物用医薬品標準のサンプルクロマトグラム。

図 1. 50 ng/mL の動物用医薬品標準のサンプルクロマトグラム。

Agilent 1290 Infinity UHPLC が実現するシャープなピークと最高の分離能

このメソッドでは、Agilent 1290 Infinity 超高性能液体クロマトグラフ (UHPLC) と 40 µL ループ HiPALS オートサンプラを使用しました。Agilent ZORBAX Eclipse Plus C-18 カラム (2.1 × 100 mm) を使用し、水 +0.1 % ギ酸 (A) および MeCN +0.1 % ギ酸 (B) のグラジエント条件で分離しました。Agilent ZORBAX Eclipse Plus ガードカラム (2.1 × 5 mm) および、分析カラムの前にインラインフィルタを接続しました。図 1 に、50 ng/mL の動物用医薬品標準のサンプルクロマトグラムを示します。

図 2. A) 筋中のノボビオシンの質量スペクトルと同位体間隔。B) プリカーサ (I) と 3 つの最も存在量の多いフラグメント (II、III、IV) を持つ コリジョンエネルギー 10 eV でのノボビオシンの Agilent PCDL のライブラリスペクトルと実際のサンプルデータ (C) との比較。同定された化合物。

図 2. A) 筋中のノボビオシンの質量スペクトルと同位体間隔。
B) プリカーサ (I) と 3 つの最も存在量の多いフラグメント (II、III、IV) を持つ コリジョンエネルギー 10 eV での
ノボビオシンの Agilent PCDL のライブラリスペクトルと実際のサンプルデータ (C) との比較。同定された化合物。

All Ions MS/MS による食肉中の動物用医薬品の同定

Agilent All Ions MS/MS ワークフローは、プリカーサの質量を特定し、Agilent PCDL のスペクトルデータから高コリジョンエネルギーチャネルで共溶出するフラグメントを検索します。図 2 に、Agilent MassHunter Qualitative ソフトウェアと All Ions MS/MS 法を用いた例を示します。自動的検証に使用される成分のデータ例が表示されています。

図 2A (挿入図) は、ウシの筋中で許容レベル濃度 (等倍) のノボビオシンと同定された質量スペクトルです。実際の測定 (垂直スティック表示) と対応する赤色ボックス表示の予想同位体の存在量および間隔が示されています。PCDL と対応する質量精度、同位体間隔、同位体存在量、リテンションタイム (RT) は トータルスコア 98.41となりました。図 2B (挿入図) は、Agilent Veterinary Drugs PCDL の コリジョンエネルギー 10 V でのノボビオシンの MS/MS スペクトルを示しています。[M+H]+ プリカーサ (I) と最も存在量の多いフラグメントイオン (II、III、IV) が表示されています。図 2C (挿入図) は、筋サンプル中で見られる実際の分離ピークを示しています。

Agilent MassHunter ソフトウェアによる高分解能データ解析

All Ions MS/MS ワークフローは、同一の測定で分子とフラグメントイオンのデータが収集できるよう、低および高コリジョンエネルギーチャネルで同時に高分解能の MS データを取り込むように設計されています。Agilent MassHunter ソフトウェアがデータ取り込みを実行します。データ解析は Agilent MassHunter Qualitative ソフトウェアで行います。Agilent MassHunter Qualitative Analysis の Find by Formula 機能をデータベース検索機能と組み合わせて PCDL を活用します。

図 3. Agilent All Ions MS/MS データ解析ワークフロー。

図 3. Agilent All Ions MS/MS データ解析ワークフロー。

PCDL は、この研究に必要なすべての動物用医薬品とその分子式、精密なモノアイソトピック質量、CAS 番号、[M+H]+ イオンの 0、10、20、40 V で収集された MS/MS スペクトル、開発された LC メソッドで標準物質を測定して得られたリテンションタイムに関する情報が登録されています。この充実した登録データは、同定の特異性を大幅に向上させます。図 3 に、この研究で動物用医薬品の分析に使用したデータ処理フィルタと All Ions MS/MS ワークフローを示します。

食肉中の動物用医薬品の優れた検出、分離、解析機能を実現する統合されたアジレントソリューション

この実験では優れた分離および検出性能を持つ Agilent 1290 Infinity UHPLC、高分解能および超高感度性能を持つ Agilent 6545 Q-TOF LC/MS により、ウシの筋、肝臓、腎臓などの関連するマトリックス中の ng/g レベルで 120 種類を超える動物用医薬品を分析できることが実証されました。

シンプルで効率的な Agilent All Ions MS/MS ワークフローにより、同一の分析でのフラグメントイオンを使用した分析物の検出と同定が行えます。これにより、偽陽性の可能性を大幅に低減できます。検量線を作成して、定量の実用性も確認しました。Agilent 6545 Q-TOF LC/MS を使用して、食肉中の動物用医薬品の高感度な定性および定量を実施することができました。

このアプリケーションの詳細については、アジレントアプリケーションノート 5991-6651EN をご覧ください。

アジレントのデータ解析ソリューション

アジレントは、ラボのスループットおよび効率を向上させる 液体クロマトグラフィーLC/MS ソリューション、関連ソフトウェアおよび サービスを豊富に提供しています。詳細については、アジレントまたはアジレント販売店にお問い合わせください。