Access Agilent 2015年8月号

Agilent オートサンプラと iChemExplorer の組み合わせによる 低分子医薬品アプリケーションの自動化および小型化

Graham Farrell
アジレントサイエンスライター

Smriti Khera
アジレントグローバル医薬品分野マーケティングマネージャ

医薬品のケミストリはさまざまなステップで構成されています。専門的な化学者は非常に特殊なタスクを実行しており、それぞれ特有の考慮事項を抱えています。創薬段階にある創薬化学者は、目的とする医療成果をもたらす正しい分子を見つける責任を負っており、開発中のプロセス化学者は、薬物候補の適切な合成方法を見つける必要があります。

医薬品研究開発全体でのケミストリ

実際のところ、医薬品化学者は通常、最適化とテストを実施するために特定の主要系統の類似体を多数生成します。創薬段階を支える分析部門と予備処方部門でも、化学者が生成したライブラリーから非常に多数の化合物を調査します。この目的は、物理化学的、生物学的な薬物代謝および薬物動態 (DMPK) プロファイルを評価して、発見プロジェクトでの重要な決定を支援することにあります。

その一方で、プロセス化学者は合成方法とパイロットプラント工程を開発して最適化し、医薬品開発フェーズとその先で使用する化合物を生成します。プロセス化学者は環境に優しく再現可能な合成経路を持ち、大規模製造にも対応し、安全でコスト効率と作業効率の高い化学プロセスを割り出す必要があります。このため、特定の試薬、試薬量、触媒、その他の反応条件、溶媒などの独立したパラメータを替えながら、類似した一連の実験を複数回実行して、それぞれの合成ステップを最適化します。

多様な実験、収束する目標

2 つの医薬品化学者グループの合成目標は大きく異なりますが、共通点も数多くあります。一般に、類似体の生成や合成の最適化のために、どちらのグループも非常に似た合成反応を実行します。

また、両グループは、目的の合成を実現するための各種触媒のスクリーニングや、基質や官能基の変更など、反応条件を体系的に変更する必要があります。したがって、手間のかかる繰り返し手順を自動化し、省力化することで創薬化学者とプロセス化学者の双方にメリットがあります。分析チームと処方チームもまた、骨の折れる作業の自動化から恩恵を受ける立場にあります。これはまさに、オートサンプラの内部で実行される実験をモニタリングする目的で iChemExplorer がオンラインサンプリングとともに果たす役割です。

オートサンプラの下部に収納された iChemExplorer プラットフォーム

図 1. オートサンプラの下部に収納された iChemExplorer プラットフォーム

iChemExplorer の誕生

ずっと以前に、ある化学者がオートサンプラの底に穴を開けたことで、iChemExplorer は誕生しました (図 1)。このプラットフォームは現在、初期段階の候補評価とスケールアップの最適化のために、多くの新薬メーカーで使用されています。基本的に、オートサンプラのバイアルに数ミリグラムの出発物質を入れ、反応容器として使用します。これにより、廃液を最小限に抑えて迅速に結果を出すことができます。

iChemExplorer は、化学合成を含む多数の医薬品アプリケーションに自動化と省力化を提供する唯一のプラットフォームです。iChemExplorer の追加機能を使うと、非常に高い温度まで細かく温度を制御した化学反応をすべて、Agilent HPLC オートサンプラ内で実行できます。

ICEtray は Agilent 100 ポジションバイアルトレイの代わりに使用できます。ICEtray には、2 mL のバイアルを 57 個格納でき、全てのバイアルを同じ温度でコントロールすることが可能です。推奨される温度範囲は 5 ~ 80 °C ですが、最高で 150 °C まで加熱できます。独立したフロートレイがプログラム可能なサーキュレーターからの伝熱流体の循環を促進して、トレイ温度を制御します。フロートレイを取り付けることで、サンプル温度を室温以下でコントロールすることが可能であり、ソフトウェアから冷却温度プログラムをコントロールしながらを自動運転することができます。磁気駆動のスターラバーはバイアル内で 最大 1,000 rpm で動作します。

Agilent HPLC および LC ソリューションに最適な iChemExplorer

iChemExplorer プラットフォームは当初、Agilent HPLC 向けに開発されましたが、標準および高性能の Agilent 1260 および 1290 Infinity LC オートサンプラにも対応しています。定評ある製品ラインの 1260 および 1290 Infinity LC は医薬品業界の至る所で使われており、ほとんどのラボが少なくとも 1 台は所有しています。ただし、iChemExplorer は新しく導入された Agilent 1290 Infinity II マルチサンプラを、まだサポートしていません。

包括的でありながら使いやすい iChemExplorer のインターフェース

図 2. 包括的でありながら使いやすい iChemExplorer のインターフェース
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包括的でありながら使いやすい iChemExplorer のインターフェース

図 2. 包括的でありながら使いやすい iChemExplorer のインターフェース

Agilent HPLC で iChemExplorer を使用したピーク領域データの例。生成物 (青)、試薬 (茶)、副生成物 (赤) を記載。

図 3. Agilent HPLC で iChemExplorer を使用したピーク領域データの例。生成物 (青)、試薬 (茶)、副生成物 (赤) を記載。(図を拡大)

Agilent HPLC で iChemExplorer を使用したピーク領域データの例。生成物 (青)、試薬 (茶)、副生成物 (赤) を記載。

図 3. Agilent HPLC で iChemExplorer を
使用したピーク領域データの例。生成物 (青)、
試薬 (茶)、副生成物 (赤) を記載。

iChemExplorer によりデータとレポート結果を容易に取得

iChemExplorer のユーザーインターフェースに含まれる iSample を使うと、サンプル位置を選択するたけでサンプリングシーケンスを作成でき、iHeat を使うと手動または自動で温度を制御できます (図 2)。iGraph では、ピークプロファイルの作成とカスタマイズ、別のアプリケーションへの貼り付け、MS Excel® に対するエクスポートをすべてワンクリックで実行できます。ユーザーインターフェースは Agilent ChemStation とシームレスに統合されており、溶解性の調査 (iSample Solubility Tool を使用) などのルーチンワークフローを自動化する便利なツールも搭載されています。

主な iChemExplorer アプリケーション

iChemExplorer を Agilent オートサンプラとともに使う場合の代表的な分析例を図 3 に示します。主なアプリケーションは、以下のとおりです。

  • 類似体 / ターゲットライブラリ
  • 試験的ケミストリ
  • プロセスの最適化 (触媒スクリーニング、実験計画、反応モニタリング)
  • 溶解度試験
  • 安定性と強制分解
  • 遺伝毒性不純物

アジレントの幅広い低分子医薬品向けソリューション

アジレントは、最大の分析効率、機器効率、ラボ効率を実現する Agilent 1290 Infinity II LC を含む幅広いソリューションを分離と検出向けに提供しています。アジレントの分析用 HPLC および UHPLC カラムは、再現性の高い結果を迅速に提供し、あらゆる高分解能 LC/MS 装置で最も低い検出レベルを実現します。6495 トリプル四重極 LC/MS システムは、優れた感度、定評ある信頼性、総合的なシステム堅牢性を実現します。

低分子医薬品アプリケーション向けのすべてのアジレントソリューションは、対象化合物のプロファイリング、同定、特性分析、定量を高い信頼性で実施するための高い感度とデータ品質を提供します。詳細情報を参照し、「見えない価値」を「目に見える成果」へと導くアジレントの支援についてご確認ください。