Access Agilent 2015年6月号

クオリティ・バイ・デザインの迅速なメソッド開発と、 UHPLC から HPLC への変換

Andreas Tei
Agilent Pharma Segment Manager – Small Molecules

Vinayak Azakaprakalam
Agilent Application Chemist

医薬品 QA/QC ラボでの分析メソッドの成功は、誰もが望むところです。分析メソッド失敗のリスクを軽減するため、メソッド開発におけるクオリティ・バイ・デザイン (QbD) のアプローチでは、実験計画 (DoE) と多変量解析を使用してデザインスペースを開発しています。デザインスペースは、メソッドパラメータの変化が結果に大きく影響しない実験条件を定義します。アジレントのツールでは、このアプローチを促進し、メソッドの失敗と規格外の結果を減らします。

医薬品業界では、メソッドの開発、バリデーション、および QA/QC ラボへの変換という流れになります。また、QbD の原則に基づく、従来の HPLC カラムを使用したカラムスクリーニングとメソッド開発には時間がかかります。スクリーニングの段階で、短いサブ-2 µm (2 µm以下の粒径)カラムで UHPLC メソッドを使用すると、効率が大幅に上がります。

重要メソッド特性 (Critical Method Attribute; CMA) (医薬品有効成分 (API) の分解能やピーク純度) を損なわずに UHPLC 条件から HPLC 条件にメソッドを変換するのは、難しい場合があります。Agilent Method Translator およびアジレントのインテリジェントシステムエミュレーション技術 (ISET) を Fusion QbD Method Development and Validation Software と組み合わせると、QbD アプローチ内で、メソッドを UHPLC から HPLC に高速かつ効率的に変換できます。

最適化した QbD メソッドを UHPLC から HPLC に変換するための全体的な手順

図 1. 最適化した QbD メソッドを UHPLC から HPLC に変換するための全体的な手順(図を拡大)

最適化した QbD メソッドを UHPLC から HPLC に変換するための全体的な手順

図 1. 最適化した QbD メソッドを UHPLC から HPLC に変換するための全体的な手順

左側にソフトウェアパッケージ、右側に詳細手順が表示された QbD ワークフロー

図 2. 左側にソフトウェアパッケージ、右側に詳細手順が表示された QbD ワークフロー(図を拡大)

左側にソフトウェアパッケージ、右側に詳細手順が表示された QbD ワークフロー

図 2. 左側にソフトウェアパッケージ、右側に詳細手順が表示された
QbD ワークフロー

堅牢なメソッド作成の概要

アジレントでは最近、この効率的なメソッド変換に成功しました。まず、サブ-2 µm カラムを搭載した Agilent 1290 Infinity バイナリ LC で、QbD の概念を使用してメソッドを作成しました。次に Agilent Method Translator を使用して、大きい粒子を使って UHPLC サブ-2 µm カラムから HPLC カラムへの変更のメソッド条件を計算しました。この手順は、ターゲットシステムを示す Agilent 1260 Infinity バイナリ LC としてエミュレートした Agilent 1290 Infinity LC で実行しました。次に、メソッドを最適化して、ターゲットシステムの新しいデザインスペースを作成しました。図 1 は、このプロセスの概要を示しています。

メソッド開発の促進の詳細

ワークフローではまず、6 つの短いサブ-2 µm カラム、2 つの有機溶媒、および pH が異なる 5 種類の水系溶媒をスクリーニングしました。この手順では、Agilent 1200 Infinity シリーズメソッド開発ソリューションと Fusion QbD Software を使用しました (図 2)。最適な条件は、Agilent ZORBAX ラピッドレゾリューション High Definition (RRHD) Eclipse Plus C8 カラムで、pH 7、10 分間のグラジエント時間でした。次に、これらの条件をさらに最適化して、堅牢なメソッドを達成してから、UHPLC メソッドのデザインスペースを生成しました。

Agilent Method Translator は、新しく作成した UHPLC メソッドから HPLC メソッドへの変換に役立ちました。変換したメソッドを DoE で最適化するため、温度、グラジエントの傾き、pH を変えて、メソッドの堅牢性を確保しました。結果の HPLC デザインスペースを以前に生成した UHPLC デザインスペースと比較して、両方のシステムのデザインスペース内の実証済み許容範囲 (PAR) を検証しました。最後に、ターゲットシステムで、HPLC メソッドの API 領域の再現性、リテンションタイム、分離度を検証しました。

表 1 は、ワークフローの各手順に必要な時間を示しています。この表には、シーケンスの実行、サンプルと溶媒の調製、機器の設置にかかる時間が記録されています。この表によると、短いサブ-2 µm カラムを使ったスクリーニング時間が、従来のカラムを使った場合よりずっと短いことがわかります。このアプローチを使用することで、メソッド開発時間を 2 営業日も短縮できました。

ワークフロー手順

サブ-2 µm カラムを
使用した場合の期間
(日単位)

ワークフロー手順

従来のカラムを
使用した場合の期間
(日単位)

UHPLC スクリーニング

2

HPLC スクリーニング

5

UHPLC 最適化

1

 

 

HPLC 最適化

2

HPLC 最適化

2

Agilent 1260 Infinity LC
での検証

1.5

Agilent 1260 Infinity LC
での検証

1.5

合計

6.5

合計

8.5

表 1. QbD ワークフローの各手順に必要な時間を見ると、スクリーニング手順でサブ-2 µm カラムを使用した場合、2 日間短縮できることがわかります。

サンプルクロマトグラムでは、2 つの LC システム間で、最適化されたメソッドを変換できます

図 3. サンプルクロマトグラムでは、2 つの LC システム間で、最適化されたメソッドを変換できます(図を拡大)

サンプルクロマトグラムでは、2 つの LC システム間で、最適化されたメソッドを変換できます

図 3. サンプルクロマトグラムでは、2 つの LC システム間で、最適化されたメソッドを変換できます

エミュレーションとターゲットの間の一貫性の検証

Agilent 1290 Infinity LC システムのエミュレーションモードで新しく開発された HPLC メソッドは、ターゲットの Agilent 1260 Infinity LC でレプリケート(繰り返し再現)されました。2 つのサンプルクロマトグラムの間の API のリテンションタイムと分離度の差異は、許容範囲内でした (図 3)。6 つのレプリケートで、メソッドの再現性を検証しました。その結果、API 領域の RSD、リテンションタイム、分解能は許容範囲内でした。例えば、API 分離度の偏差 (%) は 4.2 で、リテンションタイムは 0.1 でした。また、Agilent 1260 Infinity LC で PAR をレプリケートして、CMA の性能要件を満たしていることを確認しました (データは表示していません)。

この作業の詳細については、アジレント文献 5991-5701EN を参照してください。医薬品開発で QbD を実施するためのアジレントのソリューションの詳細については、5991-2166JAJP 入門書をダウンロードしてください。