Access Agilent 2015年3月号

バイオ医薬品分析のための効果的メソッド

Sonja Schneider、Xiaomi Xu、Phu Duong
アジレントアプレケーションサイエンティスト

バイオ医薬品の抗体の製造および精製時には、アミノ酸置換、グリコシル化、リン酸化、その他の翻訳後修飾や化学修飾により、抗体の電荷均一性に変化が生じることがあります。タンパク質の分析では、特定の pH における電荷の変動は、分子の一次構造が変化したことを示しています。こうした構造の変化により、タンパク質に別の形態が生じます。このような変化は安定性と活性に影響を与えることがあるほか、免疫上マイナスの反応を引き起こすこともあります。電荷の変動の分析はバイオ医薬品開発における重要な要素です。この記事では、アジレントの専門家がバイオ医薬品分析の理解を高めるためのテストの手法を紹介します。

なぜグリコシル化分析は重要なのか?

遺伝子組み換え技術を用いた治療用糖タンパク質のグリコシル化プロファイルは、安全性、効能、一貫性に影響を与える重要なパラメータです。HILIC を使用して分析されるグリコシル化パターンに加え、アニオン交換クロマトグラフィーを使用して糖鎖の電荷プロファイルを評価することができます。N-結合型糖鎖の電荷プロファイルは、さまざまな数のアニオン性糖類を含む N-結合型糖鎖の分布を示し、中性、モノ-、ジ-、トリ-、テトラ-、およびより高い-電荷糖鎖構造を含む場合があります。糖鎖の電荷は通常はシアル酸によるものですが、稀なケースとして糖鎖構造内の単糖単位のリン酸化または硫酸化による場合があります。

N-結合型アセチルノイラミン酸 (NeuAc) とN-結合型グリコリルノイラミン酸 (NeuGc) の 2 種類のシアル酸の残留物は、哺乳類の細胞内で発現したタンパク質に結びついた N-結合型糖鎖内で発生します。これらの構造は通常、N-および O-結合型糖鎖の非還元型終端でガラクトース残留物に結びつきます。NeuAc は通常のシアリル化でヒトタンパク質で発生しますが、NeuGc はヒト以外の哺乳類のタンパク質で発生し、治療用糖タンパク質中では望ましくないものです。糖鎖の電荷プロファイルはバイオ医薬品のタンパク質のモニタリングの重要なパラメータで、HILIC プロファイルを補完して、シアリル化の理解を高め、潜在的に望ましくないシアル酸の残留物の存在を特定できます。

ウシフェチュインの電荷プロファイル。各構造は、さまざまに電荷/シアル酸付加された通常フェチュインで生じる N-結合型糖鎖の例です。

図 1. ウシフェチュインの電荷プロファイル。各構造は、さまざまに電荷/シアル酸付加された通常フェチュインで生じる N-結合型糖鎖の例です。(図を拡大)

ウシフェチュインの電荷プロファイル。各構造は、さまざまに電荷/シアル酸付加された通常フェチュインで生じる N-結合型糖鎖の例です。

図 1.ウシフェチュインの電荷プロファイル。
各構造は、さまざまに電荷/シアル酸付加された通常フェチュインで生じる N-結合型糖鎖の例です。

Agilent 1260 Infinity バイオイナート クオータナリ LC で Agilent Bio MAb 5 μm カラムを使用したインタクトおよび C-末端分解 IgG1 の分離。

図 2. Agilent 1260 Infinity バイオイナート クオータナリ LC で Agilent Bio MAb 5 μm カラムを使用したインタクトおよび C-末端分解 IgG1 の分離。(図を拡大)

Agilent 1260 Infinity バイオイナート クオータナリ LC で Agilent Bio MAb 5 μm カラムを使用したインタクトおよび C-末端分解 IgG1 の分離。

図 2.Agilent 1260 Infinity バイオイナート クオータナリ LC で Agilent Bio MAb 5 μm カラムを使用したインタクトおよび C-末端分解 IgG1 の分離。

C-末端分解 IgG1 の組成

図 3. C-末端分解 IgG1 の組成(図を拡大)

C-末端分解 IgG1 の組成

図 3. C-末端分解 IgG1 の組成

最初の例では、フェチュインからの N-結合型糖鎖は酵素によって切断され、その後、HILIC カートリッジを使用してクリーンアップした後、2-アミノベンズアミドで標識化されます。糖鎖の電荷プロファイルの決定には、 Agilent Bio SAX カラムが Agilent 1260 Infinity バイオイナート クオータナリ LC で使用されました。図 1 は、 ウシフェチュインの電荷プロファイルを、中性 (ピーク 1)、モノ- (ピーク 2)、ジ- (ピーク 3)、トライ- (ピーク 4)、テトラ- (ピーク 5)、ペンタ-シアル酸付加 (ピーク 6) の N-結合型糖鎖に分離して示しています。各ピークの隣に、一般的にウシフェチュイン内で生じるシアル酸の (0 ~ 5 までの) 異なる電荷を持つ糖鎖構造を示しています。ピークは良好に分離され、分析の精度は優れ、リテンションタイムの相対標準偏差は 0.002 % 未満、面積精度の標準偏差は 10 % 未満です。詳細については、無料のアジレント文献 5991-5221EN を参照してください。

アジレントのカラムによる、高分離能 IgG1 分析

モノクローナル抗体/IgG1 (mAb) は、過去 10 年間で一般的になってきたバイオ医薬品です。IgG1 は構造的な複雑さのために、通常は高い不均一性を示し、さまざまな翻訳後修飾が含まれています。これらの中で、重鎖にさまざまなレベルの C 末端リジンが共通して存在します。C 末端リジン変異体の不均一性の程度は製造の一貫性を示すため、評価されなければなりません。カチオン交換Agilent Bio MAb 5 µm カラム は、特に、Agilent 1260 Infinity バイオイナート クオータナリ LC と組み合わせて使用する場合に高分離能 IgG1 分析に必要な選択性を備えています。

このアプリケーションでは、カルボキシペプチダーゼ B を使用して IgG1 の C 末端からリジンやアルギニンなどの塩基性アミノ酸を切断しました。インタクトと C 末端分解 IgG1 のクロマトグラムを比較することによって、IgG1 の C 末端リジンを同定できます。図 2 は、インタクトと C 末端分解 IgG1 クロマトグラムを示しています。上はクロマトグラム全体の図、下は拡大図です。約 2 分での早期の溶出ピークはカルボキシペプチダーゼ B に相当します。オリジナルの IgG1 には、4 つの塩基変異体のピーク、およびリジン変異体である lys-1 と lys-2 g で 2 つのピークがあります。変異体のピーク面積は全ピーク面積の約 8.64 % と 1.34 % です (図 3)。分析の再現性は IgG1 を 10 回注入してテストしました。リテンションタイム、ピーク形状、ピーク面積には明らかに一貫性がありました。この実験に関する詳しい説明については、アジレントの技術資料 5991-0895EN を参照してください。

アジレントでは、バイオ医薬品分析のさまざまなソリューションを提供しています。

ここの例で説明してきたように、 Agilent 1260 Infinity バイオイナート クオータナリ LC システム は、良好なピーク形状を提供し、pH 1 ~ pH 13 の極端な pH 値と高塩濃度の緩衝剤のような難しい溶媒条件を容易に処理します。送液ポンプに耐腐食性の高いチタンを使用し、サンプル流路での金属接触を一切排除することで、正確なテスト結果を提供する堅牢性のきわめて高いシステムを実現しています。

アジレントは、正確かつ再現性の高い測定結果を提供する信頼性のある機器を構築しています。 バイオ医薬品およびバイオシミラーに関するアジレントの豊富なソリューションをご覧ください。また、無料の新ウォールチャート(掛け図)  タンパク質を正確に評価するためのツールセットについては アジレントの担当者にお問い合わせください。