Access Agilent 2015年1月号

より適切な GC および GC/MS 微量分析のための Agilent J&W Ultimate Plus 不活性化シリカチューブ

Ngoc-A Dang
アジレント GC 研究開発

不活性化フューズドシリカチューブは、重いマトリクスの GC および GC/MS アプリケーションにおける半揮発性化合物分析で、ガードカラム、リストリクタ、トランスファーライン、リテンションギャップ用に広く使用されています。高い不活性度は、分析対象物の分解を最小に抑えてピークテーリングを低減するため、微量濃度での反応性の高い化合物の正確で再現性のある分析にとって重要な要件です。アジレントは、キャピラリ用の不活性化ケミストリの開発における長年の実績の基に、GC および GC/MS アプリケーションのための新しいフューズドシリカとして Agilent J&W Ultimate Plus フューズドシリカを発売しました。

Agilent J&W Ultimate Plus フューズドシリカチューブの優れた性能を説明するために、まず、他のサプライヤが提供する不活性化フューズドシリカチューブと比較します。比較では、不活性度を測るクロマトグラフィーテストを使用し、ピーク非対称性といくつかの化合物の相対的回収率を測定します。その後、依存性薬物を分析物として使用し、2 回目の比較テストを実行しました。これらの化合物は、一般的に GC 流路内の活性点に吸着するので、化学的に活性化していると十分に認識されます。

システムテストのタンデムカラムセットアップ (A) とアジレント/他サプライヤのチューブテスト (B)。

図 1. システムテストのタンデムカラムセットアップ (A) とアジレント/他サプライヤのチューブテスト (B)。(図を拡大)

システムテストのタンデムカラムセットアップ (A) とアジレント/他サプライヤのチューブテスト (B)。

図 1. システムテストのタンデムカラムセットアップ (A) とアジレント/他サプライヤのチューブテスト (B)。

非常に不活性な Test Mix 2 を使用した、さまざまな 6 m × 0.53 mm のチューブ タイプの比較。上はシステムテスト、中央は Agilent J&W Ultimate Plus フューズドシリカチューブ、下は 他社製チューブで、小さなピークテーリングと n-プロピルベンゼンとの明白な共溶出が見られます。

図 2. 非常に不活性な Test Mix 2 を使用した、さまざまな 6 m × 0.53 mm のチューブ タイプの比較。上はシステムテスト、中央は Agilent J&W Ultimate Plus フューズドシリカチューブ、下は 他社製チューブで、小さなピークテーリングと n-プロピルベンゼンとの明白な共溶出が見られます。
(図を拡大)

非常に不活性な Test Mix 2 を使用した、さまざまな 6 m × 0.53 mm のチューブ タイプの比較。上はシステムテスト、中央は Agilent J&W Ultimate Plus フューズドシリカチューブ、下は 他社製チューブで、小さなピークテーリングと n-プロピルベンゼンとの明白な共溶出が見られます。

図 2. 非常に不活性な Test Mix 2 を使用した、さまざまな 6 m × 0.53 mm のチューブ タイプの比較。
上はシステムテスト、中央は Agilent J&W Ultimate Plus フューズドシリカチューブ、
下は 他社製チューブで、小さなピークテーリングと n-プロピルベンゼンとの明白な共溶出が見られます。

アジレントのチューブによる不活性度の強化

タンデムカラムのセットアップを (図 1Agilent J&W VF-5ms GC カラムと 60 °C で組み合わせて使用しました。システムテストが基準不活性度プロファイルを確立するために最初に実行され、リファレンスカラムが水素炎イオン化検出器に接続されました (図 2、上)。

次に、 Ultimate Plus フューズドシリカまたは他のサプライヤのフューズドシリカチューブに置き換えて検出器に接続しました。その後、2 種類のテスト混合物での化合物のピーク非対称性と回収率について、チューブの不活性度を評価しました。チューブの活性点に吸着することが知られている化合物 (例えば、1-デカノール、4-ピコリン、リン酸トリメチル、1,2-ペンタンジオール) は、チューブ不活性度について有効な評価となりました。

Ultimate Plus フューズドシリカは、他のサプライヤのチューブよりも明らかに不活性度が優れていました。アジレントのチューブを使用した場合、リン酸トリメチル、1,2-ペンタンジオール、n-プロピルベンゼン (化合物 9-11) は分離されましたが (図 2、中)、他のサプライヤのチューブの活性表面にはリン酸トリメチル、1,2-ペンタンジオールが強く吸着しました。その結果、ピークは小さく、テーリングはおおきくなり、n-プロピルベンゼンで明らかな共溶出がありました (図 2、下)。

非極性化合物 (n-デカン) のピーク非対称性値は、チューブ タイプと類似していました。これらの値は、理想的なピークの非対称性係数として定義されている 1 に近くなりました。しかし、アジレントのチューブを使用したときの極性化合物 (1-デカノール) のピークの非対称性係数は、さまざまな内径で他のサプライヤのチューブの非対称性係数よりも 1 により近くなります。また、チューブの内径が大きくなると、違いも大きくなります。つまり、 Ultimate Plus フューズドシリカの不活性度の性能が向上したことが示され、極性化合物とチューブ表面の活性点との間の相互作用によって化合物のピーク非対称性が増大することが説明されます。アジレントのチューブでは、1-デカノールで良好な相対回収率が示されました (n-トリデカンと比較して)。これら比較の詳細については、アジレント文献 5991-5142JAJP をご覧ください。

Agilent Ultimate Plus による薬物スクリーニングでのより正確な結果

尿、血液などのさまざまなタイプの生体サンプルに含まれる依存性薬物の同定と定量は、法医学および臨床毒性学において重要です。GC/MS は依然として、薬物の確証的な分析用またはスクリーニングテスト用の「標準分析法」とみなされています。微量濃度の薬物およびその代謝物を高い感度で選択的に判定できるためです。依存性薬物は、GC の前に誘導体化されない場合は、化学的に活性化した化合物として知られています。この結果、ピーク形状や定量が悪化し、一部の活性化が高い分析対象物のピークが消失します。

Agilent Ultimate Plus 不活性フューズドシリカチューブ (緑色のクロマトグラム) と他社製の不活性フューズドシリカチューブ (赤色のクロマトグラム) を MSD 用 GC リストリクタとして使用した依存性薬物チェックアウト混合物の 5 ng/ 成分オンカラムのインカレントクロマトグラムをすべて重ねて表示しています。

図 3. Agilent Ultimate Plus 不活性フューズドシリカチューブ (緑色のクロマトグラム) と他社製の不活性フューズドシリカチューブ (赤色のクロマトグラム) をMSD 用 GC リストリクタとして使用した依存性薬物チェックアウト混合物の 5 ng/ 成分オンカラムのインカレントクロマトグラムをすべて重ねて表示しています。(図を拡大)

Agilent Ultimate Plus 不活性フューズドシリカチューブ (緑色のクロマトグラム) と他社製の不活性フューズドシリカチューブ (赤色のクロマトグラム) を MSD 用 GC リストリクタとして使用した依存性薬物チェックアウト混合物の 5 ng/ 成分オンカラムのインカレントクロマトグラムをすべて重ねて表示しています。
 

ピーク番号

化合物

1

アンフェタミン

2

フェンテルミン

3

メタンフェタミン

4

ニコチン

5

MDA

6

MDMA

7

MDEA

ピーク番号

化合物

8

メペリジン

9

フェンシクリジン

10

メサドン

11

コカイン

12

プロアジフェン (SKF-525a)

13

オキサゼパム

14

コデイン

ピーク番号

化合物

15

ロラゼパム

16

ジアゼパム

17

ヒドロコドン

18

テトラヒドロカンナビノール

19

オキシコドン

20

テマゼパム

21

フルニトラゼパム

ピーク番号

化合物

22

ジアセチルモルヒネ

23

ニトラゼパム

24

クロナゼパム

25

アルプラゾラム

26

ベラパミル

27

ストリキニーネ

28

トラゾドン


図 3. Agilent Ultimate Plus 不活性フューズドシリカチューブ (緑色のクロマトグラム) と他社製の不活性フューズドシリカチューブ (赤色のクロマトグラム) を
MSD 用 GC リストリクタとして使用した依存性薬物チェックアウト混合物の 5 ng/ 成分オンカラムのインカレントクロマトグラムをすべて重ねて表示しています。

別の比較では、Agilent J&W DB-5ms Ultra Inert GC カラムを 5975C MSD トリプルアクシス検出機能を搭載した Agilent 7890 シリーズ GC システムで使用しました。図 3 は、依存性薬物チェックアウト用混合物の 5 ng/成分オンカラムのイオンカレントクロマトグラムをすべて重ねて表示しています。Ultimate Plus (緑色のクロマトグラム) と他社製の非活性化フューズドシリカチューブ (赤色のクロマトグラム) を、MS インターフェースへの GC リストリクタとして交互に設置しました。

Ultimate Plus フューズドシリカチューブは、チェックアウト標準におけるほとんどの分析対象物でより良好なレスポンスを示し、他社製チューブよりも不活性度の性能が明らかに向上しました。1 ng/成分オンカラムでの比較可能な結果を示した本アプリケーションの詳細については、アジレント文献 5991-5303EN をご覧ください。

不活性度、感度、活性分析対象物での再現性の向上

Agilent GC ソリューションが GC/MS システム流路全体で、どのように適切に活性点を最小に抑えているかを紹介してきました。このソリューションの高い感度と再現性により、非誘導化分析対象物の直接分析が可能になりました。分析対象物と直接接触する流路成分の不活性度が向上しています。Agilent Inert Flow Path ソリューションおよび Agilent J&W Ultra Inert GC カラムを使用すれば、活性分析対象物の検出限界の低減を求めて高まる要求に対応できます。Agilent J&W GC カラムセレクションツールを使用して、アプリケーションに最適なカラムをご確認ください。