Access Agilent 2014年7月号

高 pH 条件でも妥協のないクロマトグラフィーが実現

Jason Link
アジレント低分子 HPLC カラムプロダクトマネージャ

HPLC メソッド開発は、多くの難問により、ますます難しくなっています。その一例が、さまざまな国にラボを配置する企業が増えていることです。そうした企業では、受託分析ラボを含むラボ同士のネットワークのあいだでシームレスにメソッドを変換する必要があります。このスケールで効率と精度を維持するためには、堅牢なメソッドが必要不可欠です。

メソッド最適化における移動相 pH の設定

堅牢なメソッドを得るためには、同様に堅牢なメソッド開発プロセスが求められます。長期間にわたって安定した信頼性の高いメソッドを維持するためには、堅固なプロセスが欠かせません。メソッド開発に共通するステップとしては、分離モードやカラムケミストリ、有機移動相の選択などがあります。なかでも見すごされがちなプロセスが、移動相 pH の調整です。これは、メソッド開発にきわめて重要な影響を与えることがあります。酸や塩基といったイオン化する化合物の場合、pH の変化に伴い、保持力や選択性が大きく変わる可能性があります。メソッド最適化の際に、もっともふさわしい pH を見極めることはきわめて重要です。そのため、メソッド開発において、標準的な手順として低、中、高 pH 分析が導入されるケースが増えています。

しかし、分析対象成分の分離に成功する可能性を高められる一方で、低、中、高 pH 分析には、いくつかの難問も伴います。HPLC カラムの多くはシリカ充填材を用いてつくられているため、中または高 pH を用いるメソッドに使用すると、カラムの寿命が短くなることがあります。特に、高温条件と組み合わせる場合には、その影響が大きくなります。そうした高 pH 条件下では、分析対象成分の保持力が経時的に変化し、不測の結果が生じたり、カラム交換の頻度が高くなったりする可能性もあります。その結果、メソッドの分析コストが増加します。

保持力変化の根本的な原因は、高 pH 条件で HPLC カラムがダメージを受けることにあります。そうした高 pH 条件では、シリカ材のシロキサン結合が加水分解され、シリカの溶解につながります。それにより、保持力が変化し、全体的なクロマトグラフィー性能が低下します。

メソッド開発における Agilent Poroshell 120 HPH カラムを用いた低、中、高 pH での分離 (溶媒 A、バッファ、溶媒 B、アセトニトリル)。

図 1. メソッド開発における Agilent Poroshell 120 HPH カラムを用いた低、中、高 pH での分離 (溶媒 A、バッファ、溶媒 B、アセトニトリル)。(図を拡大)

メソッド開発における Agilent Poroshell 120 HPH カラムを用いた低、中、高 pH での分離 (溶媒 A、バッファ、溶媒 B、アセトニトリル)。

図 1. メソッド開発における Agilent Poroshell 120 HPH カラムを用いた低、中、高 pH での分離 (溶媒 A、バッファ、溶媒 B、アセトニトリル)。

Agilent Poroshell HPH-C18 カラムおよび他社製高 pH カラムを用いて、pH 10 という厳しい条件下で、酸性、塩基性、中性化合物を含む混合物の分離を 2000 回実施しました。

図 2. Agilent Poroshell HPH-C18 カラムおよび他社製高 pH カラムを用いて、pH 10 という厳しい条件下で、酸性、塩基性、中性化合物を含む混合物の分離を 2000 回実施しました。(図を拡大)

Agilent Poroshell HPH-C18 カラムおよび他社製高 pH カラムを用いて、pH 10 という厳しい条件下で、酸性、塩基性、中性化合物を含む混合物の分離を 2000 回実施しました。

図 2. Agilent Poroshell HPH-C18 カラムおよび他社製高 pH カラムを用いて、pH 10 という厳しい条件下で、
酸性、塩基性、中性化合物を含む混合物の分離を 2000 回実施しました。

高 pH 条件でもカラムの長寿命を確保する新しい Poroshell 技術

現在では、新たなカラム技術により、シリカ溶解やそれによる保持力の変化を防止できるようになっています。すでに述べたように、ほとんどの HPLC カラムはシリカベースであるため、高 pH 条件下でも堅牢なカラムが必要な場合は、選択肢が限られます。また、高速 LC に対応する表面多孔性技術へ移行するケースが増えていますが、そうしたケースでは、シリカベースのカラムを使用する以外の選択肢はありません。

アジレントでは、高 pH 条件下のシリカ溶解という問題に対応するために、Poroshell HPH-C18 および HPH-C8を導入しました。シリカ表面を有機的に修飾する独自プロセスにより、高 pH でもシリカ材の安定性が保たれます。また、この技術を Agilent Poroshell 120 ファミリに加えることで、Poroshell 120 カラムの使用を継続しながら、移動相 pH にかかわらず、あらゆる高速 LC メソッド開発に対応できるようになりました。

図 1 を見ると、このケミストリにより、メソッド開発の柔軟性が向上することがわかります。この図では、低、中、高 pH のメソッドを用いて、酸性、塩基性、中性化合物の混合物を分離しています。すべての化合物について、高 pH 条件で最高の分離能が得られていることから、今後メソッドを使用する際には、このケミストリが最善の選択肢と考えられます。しかし、シリカベースの支持材を用いたカラムでは、問題が生じる可能性があります。Agilent Poroshell HPH-C18 カラムでは、有機的に修飾したシリカ材が用いられているため、高 pH で使用しても、カラム寿命への影響がずっと小さくなります。図 2 では、Agilent Poroshell HPH-C18 カラムおよび他社製高 pH カラムを用いて、酸性、塩基性、中性化合物を含む混合物を高 pH および高温条件下で 2000 回注入した場合の影響を示しています。

pH 以外の利点:メソッド開発の柔軟性を高める相ケミストリ

高 pH 域で保持力の安定性が向上することにより、幅広い Agilent Poroshell 120 ファミリのさらなる利点を活用する機会が得られます。たとえば、背圧への影響を最小限に抑えながら、分離時間を短縮したり、スループットを向上させたりすることができます。高温および高 pH 条件下でのカラム寿命を向上させ、ラボのダウンタイムを最小限に抑え、時間と費用を節約する新しい Poroshell HPH ケミストリは、メソッド開発における積年の問題を解消するのに役立ちます。

Agilent Poroshell 120 ファミリは、あらゆる既存の LC でサブ 2 µm カラムと同等の性能を実現します。600 bar までで安定性が保たれる Poroshell 120 は、高速 UHPLC 分析に適しています。また、従来の 5-µm メソッドについても、分析時間を 4 分の 1 から 5 分の 1 に短縮し、メソッドを加速させることができます。ZORBAX ケミストリと足並みをそろえた 10 の相からなるこのファミリにより、メソッド開発および変換が容易になり、柔軟性が高まります。アジレントでは、Poroshell 120 カラムの使用に関する多くのリソースや実例を提供しています。詳しくは業種別のアプリケーションノートをご覧ください。また、シリカ表面が修飾された Agilent Poroshell 120 カラム が、厳しい条件で他のカラムより優れた性能を発揮できる理由についてもご確認ください。