Access Agilent 2014年7月号

2μm以下の分析 UHPLC から分取 HPLC への シームレスなメソッド変換を可能にする自動精製

Andreas Tei
アジレントプロダクトマネージャ、分取 HPLC システム

新規医薬品や農薬の開発を行っている化学者は、多くの化合物を合成しています。このような化合物は、生物試験を実施する前に精製する必要があります。一般的な超高速液体クロマトグラフィー (UHPLC)は、ハイスループット分析を行うには理想的な手法で、化合物合成の成否をわずか数分で確認することができます。しかし、その後の精製工程では、2 µm 以下の UHPLC カラムから分取カラムへスケールアップするために面倒な計算を行い、精製条件を最適化する必要があります。このプロセスは、クロマトグラフィーの経験が豊富な化学者にとってさえ難しく、経験の浅い人にとってはほとんど不可能に近いことです。

メディシナルケミストリーにおける精製ワークフロー。

図 1. メディシナルケミストリーにおける精製ワークフロー。(図を拡大)
 

メディシナルケミストリーにおける精製ワークフロー。

図 1.メディシナルケミストリーにおける精製ワークフロー。

精製のハードルをクリアするアジレントのソリューション

そうした問題を受けて、HPLCで分取・精製を行う化学者の多くが、精製が簡単になるアジレントのソリューションに注目し始めています。Agilent OpenLAB CDS – Chemstation Edition と新しい Agilent 自動精製ソリューションにより、ハイスループット分析と分取・精製の間にあるハードルを克服し、分析クロマトグラフィーから分取クロマトグラフィーへのメソッド変換を円滑化できるようになりました。新しいソフトウェアでは、各目的化合物に応じてカスタマイズしたグラジエントプロファイルを適用し、化合物のハイスループット精製を自動化することが可能です。この機能は、精製ワークフロー全体にわたって、サンプルとそれに対応する採取フラクションを自動で追跡する機能が組み合わさっています (図 1)。

未精製のサンプルをUHPLC/MSで分析することがよくあります。目的の化合物を自動的に同定し、最適な分離能と精製効率が得られるようにカスタマイズされたグラジエントプロファイルが作成されます。精製後、スペクトルデータにより、採取したフラクションの純度を直接測定します。純度の高い同じ化合物のフラクションをプールし、乾燥させ、UHPLC/MS に再度注入して純度確認を行ったのちに、アーカイブ化またはスクリーニング試験を実施します。ソフトウェアが精製プロセス全体にわたって、注入したサンプルを追跡し、採取したフラクションを同定します。

一般的なグラジエント (a) とフォーカスグラジエント (b) の比較。

図 2. 一般的なグラジエント (a) とフォーカスグラジエント (b) の比較。(図を拡大)

一般的なグラジエント (a) とフォーカスグラジエント (b) の比較。

図 2. 一般的なグラジエント (a) とフォーカスグラジエント (b) の比較。

メソッド変換が成功した後の精製結果。

図 3. メソッド変換が成功した後の精製結果。(図を拡大)

メソッド変換が成功した後の精製結果。

図 3. メソッド変換が成功した後の精製結果。

分析 UHPLC から分取クロマトグラフィーへ

この例では、UHPLC カラムを用いた未精製サンプルの分析スカウティングに、一般的なグラジエントを適用しました。一般的なグラジエントプロファイルを用いた結果、このサンプルの分離能は最適化できませんでした (図 2a)。

フォーカスグラジエントプロファイル (修正したグラジエントプロファイル) を用いたところ、目的の化合物とその副生成物が良好に分離できました (図 2b)。スケールアップの方程式を用いて、このフォーカスグラジエントプロファイルを、より大きな分取カラムに対応したメソッドに変換しました [1,2]。

2 µm 以下カラムから 5 µm カラムへメソッドを変換したあとは、分取システムにおいて化合物をベースライン分離することができました (図 3)。

この、 UHPLC から分取HPLC へのメソッド変換プロセスの詳細については、アジレント技術資料 5991-2013EN をご覧ください。

精製プロセスにおける課題

1 日、1 システムあたり 50 種類以上のサンプルを精製する場合、各サンプルに応じてカスタマイズしたグラジエントを作成するのはほぼ不可能です。このことは、クロマトグラフィーを行う研究者の人数が限られている場合にも同じことがいえます。これまでは、解決策としてあらかじめ決めておいた複数のグラジエントプロファイルから最適なものを選択する方法がとられてきました。そのため、カラムの最大ロード量、純度、回収率について妥協することも少なくありませんでした。プロセス上のエラーを最小限に抑えるためには、注入したサンプルとそれに対応するフラクションの自動追跡が必要です。

自動精製ソフトウェア、分析結果ブラウザ。

図 4. 自動精製ソフトウェア、分析結果ブラウザ。(図を拡大)
 

自動精製ソフトウェア、分析結果ブラウザ。

図 4.自動精製ソフトウェア、分析結果ブラウザ。

妥協のない精製ステップ

OpenLAB – Chemstation Edition に対応するアジレントの新しい自動精製ソフトウェアが登場したことで、精製ステップで妥協する必要がなくなりました。Agilent UHPLC/MS システムで得られた分析結果を新しい自動精製ソフトウェアにアップロードすれば、各サンプルに応じてカスタマイズされたグラジエントプロファイルが精製の際に作成され、使用されます。

カスタマイズされたグラジエントプロファイルとスペクトルデータは、分析結果ブラウザで見ることができます (図 4)。グラジエントプロファイルと同定した目的物は、オペレーターが修正することも可能です。精製が完了したら、採取したフラクションのすべての情報をフラクション結果ブラウザで見ることができます。サンプル注入からフラクション採取までを追跡したファイルが CSV フォーマットで作成されます。

完全統合型で拡張可能なワークフロー重視のソリューション

Agilent 自動精製ソフトウェアは、Agilent 1260 Infinity 分取スケール LC/MS 精製システムに対応しています。医薬品の創薬研究や農薬研究に適した、拡張可能なワークフロー重視のソリューションです。堅牢な 1260 Infinity UHPLC および分取 HPLC モジュールと独自のソフトウェアアルゴリズムをベースに開発されたこのシステムなら、自動ディレイボリュームキャリブレーションとフォーカスグラジエントをそれぞれの目的化合物に応じて簡単にカスタマイズし、精製工程を向上させることが可能です。

Agilent 1260 Infinity 分取スケール LC/MS 精製システムを導入すれば、以下のような多くの利点が得られます。

  • 完全な自動精製 – 手作業による精製メソッドの開発は不要です。
  • 流量、カラムサイズ、粒子径にかかわらず、分析カラムから分取カラムへのメソッド変換を自動化することができます。
  • 数学的なアルゴリズムを用いて、各サンプルに応じて作成された最適な (フォーカス) 分取グラジエントプロファイルを用いることで、最高の分離能と精製効率が簡単に得られます。
  • サンプルシーケンス、分析結果、精製工程のインポートおよびエクスポート、採取したフラクションの再分析および再フォーマットといった自動精製ワークフローに対応しています。
  • シンプルなユーザーインタフェースを用いた EasyPrep モードにより、頻繁にシステムを使用しないユーザーでもワークフローを効率化できます。

UHPLC、HPLC、MS のあらゆるニーズに応えるアジレント

Agilent 自動精製ソフトウェアの詳細については、OpenLab CDS データシートおよび 分取クロマトグラフィーの自動ワークフローソリューションに関する技術概要をご覧ください。また、アジレントのウェブサイトでも、OpenLAB – Chemstation Editionに関する詳細をご覧いただけます。アジレントでは、幅広い UHPLC、HPLC、MS ソリューションを提供しています。これらのアプリケーションについても、詳細をご確認ください。

References

  1. D. Guillarme, D. Nguyen, S. Rudaz, J.L. Veuthey, Eur. J. Pharm. Biopharm., 2007, 66, 475-482.
  2. D. Guillarme, D. Nguyen, S. Rudaz, J.L. Veuthey, Eur. J. Pharm. Biopharm., 2008, 68, 430-440