Access Agilent 2014年1月号

食品や飲料の分析に適した前処理フィルタの選択が容易に

Limian Zhao
アジレントサンプル前処理

保存料、甘味料、着色料、刺激物など栄養価のない食品添加物は、飲料や食品にしばしば使われています。そうした添加物は、通常は安全なものですが、特定の濃度になると、児童のアレルギー反応や多動性障害といった有害な影響を及ぼすことがあります。一部の国では、栄養価のない添加物の使用が制限されています。そのため、食品の品質管理においては、国際規則を遵守するために、そうした添加物の分析が重要となります。

厄介な粒子状物質の除去

合成添加物や人工添加物の多くは水溶性なので、逆相カラムを用いた HPLC による分析が適しています。ほとんどの飲料は LC での分析が可能で、サンプルマトリックスも比較的単純なので、直接注入や、希釈後の LC カラムへの注入により分析することができます。最大の問題は、食品サンプルに含まれる粒子に起因するカラムへの悪影響です。そのため、フルーツジュースなどの粒子が多いサンプルでは、おもなサンプル前処理手法として、ろ過の使用が推奨されています。ヨーグルトやアイスコーヒーなどの一部の飲料には、牛乳が含まれています。そうした牛乳のタンパク質は、有機溶媒によるサンプル沈殿後、遠心分離か、またはろ過をおこなえば、除去することができます。

私たちの研究では、各種の Agilent Captiva プレミアムシリンジフィルタ を検証し、堅牢で効果的な食品や飲料のサンプル前処理にもっとも適した種類のフィルタを特定しました。その後、特定されたフィルタを用いて、分析困難な複数の食品および飲料サンプルに含まれる添加物を分析しました。

最適なフィルタで適切な結果を

サンプルの種類に応じて、各種のシリンジフィルタのろ過回収率を調べました。図 1 は、水性-有機ダイエット飲料における試験結果を示しています。図 2 では、水性スポーツドリンクの試験結果を示しています。

水性/有機混合サンプルのろ過回収率評価。

図 1.水性/有機混合サンプルのろ過回収率評価。(図を拡大)

水性/有機混合サンプルのろ過回収率評価。

図 1.水性/有機混合サンプルのろ過回収率評価。

Agilent Captiva プレミアムシリンジフィルタによるスポーツドリンク中添加物のろ過回収率評価。サンプルを直接ろ過したのち、HPLC に注入しました。RC、再生セルロース、PES、ポリエーテルスルホン、CA、酢酸セルロース。

図 2.Agilent Captiva プレミアムシリンジフィルタによるスポーツドリンク中添加物のろ過回収率評価。サンプルを直接ろ過したのち、HPLC に注入しました。RC、再生セルロース、PES、ポリエーテルスルホン、CA、酢酸セルロース。(図を拡大)

Agilent Captiva プレミアムシリンジフィルタによるスポーツドリンク中添加物のろ過回収率評価。サンプルを直接ろ過したのち、HPLC に注入しました。RC、再生セルロース、PES、ポリエーテルスルホン、CA、酢酸セルロース。

図 2.Agilent Captiva プレミアムシリンジフィルタによるスポーツドリンク中添加物のろ過回収率評価。
サンプルを直接ろ過したのち、HPLC に注入しました。RC、再生セルロース、PES、ポリエーテルスルホン、CA、酢酸セルロース。

おもなサンプル前処理テクニックとしてろ過を用いた、飲料中添加物の HPLC/UV 分析。サンプルのろ過には、Agilent Captiva プレミアム 0.45 µm 再生セルロースシリンジフィルタを使用しました。

図 3. おもなサンプル前処理テクニックとしてろ過を用いた、飲料中添加物の HPLC/UV 分析。サンプルのろ過には、Agilent Captiva プレミアム 0.45 µm 再生セルロースシリンジフィルタを使用しました。(図を拡大)

おもなサンプル前処理テクニックとしてろ過を用いた、飲料中添加物の HPLC/UV 分析。サンプルのろ過には、Agilent Captiva プレミアム 0.45 µm 再生セルロースシリンジフィルタを使用しました。

図 3. おもなサンプル前処理テクニックとしてろ過を用いた、飲料中添加物の HPLC/UV 分析。
サンプルのろ過には、Agilent Captiva プレミアム 0.45 µm 再生セルロースシリンジフィルタを使用しました。

再生セルロース (RC) フィルタでは、水性および水性/溶媒混合サンプルの両方において、優れた回収率が得られました。そのため、HPLC 分析に先立つ市販飲料/食品サンプルの前処理には、RC 0.45 µm シリンジフィルタを選択しました。これらのサンプルは、検出された添加物の量やサンプルマトリックスの種類に応じて、直接分析するか、水または有機溶媒で適切に希釈して分析しました。比較のために、ろ過のほか、13,000 rpm で 2 分間遠心分離をおこないました。化合物の同定にあたっては、飲料/食品サンプルおよび標準試料のリテンションタイムと UV スペクトルを比較しました。相対回収率 (%) は、ろ過したサンプルと遠心分離したサンプルの添加物のピーク面積比を比較して算出しました。これらの結果を、上の 図 3 および下の 表 1 に示しています。

飲料/食品サンプル

サンプル前処理

検出された添加物

平均相対回収率 (%)
(n = 3)*

冷凍濃縮果汁

室温で解凍、水で 10 倍に希釈

アスコルビン酸

103.4

サッカリン

103.1

ストロベリーアイス

室温で解凍、MeOH で 2 倍に希釈し、
ボルテックス

N/A

N/A

野菜ジュース

水で 10 倍に希釈し、ボルテックス

アスコルビン酸

99.4

スポーツドリンク

直接分析

アスコルビン酸

97.0

アセスルファム K

99.3

アルラレッド

94.6

エナジードリンク

直接分析

N/A

N/A

フルーツパンチ

直接分析

アスコルビン酸

100.8

アセスルファム K

100.2

安息香酸

100.2

保存果実
(果汁のみ分析)

水で 10 倍に希釈し、ボルテックス

アスコルビン酸

98.6

アイスコーヒー

アセトニトリルで 3 倍に希釈し、
ボルテックス

カフェイン

101.6

相対回収率 = ろ過したサンプル中の化合物のピーク面積 x 遠心分離したサンプル中の化合物の 100 % ピーク面積
表 1.食品および飲料サンプルの前処理と添加物回収率。

簡単で効果的なろ過

Agilent Captiva プレミアムシリンジフィルタを使えば、飲料に含まれる添加物の分析において、簡単でシンプル、かつ効果的で堅牢なサンプル前処理が実現します。飲料は、直接ろ過か、ろ過後の希釈をおこなえば、HPLC での分析が可能になります。フルーツジュースなどの粒子量の多い食品については、深度のあるフィルタを使えば、フィルタメンブレンのつまりを防ぐことができます。究極的には、フィルタを選択する際には、サンプルの種類、分析したいターゲット物質の特性、機器の特性などを考慮する必要があります。

アジレントの堅牢なシリンジフィルタファミリー

HPLC、UHPLC、LC/MS、GC、GC/MS 分析前のサンプルのろ過は、最適なシステム性能と分析結果を得るためには非常に重要です。Agilent Captiva プレミアムシリンジフィルタは、業界最高速の流量とロード容量により、これまでにない高速のプロセスを実現します。さらに、アジレントは LC/MS テストを設定し、他のメーカーよりも確実に不純物を除去できるシリンジフィルタを提供しています。すべての Agilent Captiva プレミアムシリンジフィルタには HPLC または LC/MS 認定証が付属します。

幅広いメンブレンタイプとポアサイズから、ニーズに適したものを選択することができます。アジレントのセレクションツール3-ステップ選択ガイドでは、それぞれのニーズに最適な Agilent Captiva プレミアムシリンジフィルタを見つけることができます。さらなる詳細を知りたい方は、アジレントのプレミアムシリンジフィルタ化学適合性チャートや、ステップごとの使用ガイドをご覧ください。