Access Agilent 2013年9月号

Agilent RapidFire ハイスループット質量分析システムを用いた 血清中抗てんかん薬 6 種類の超高速分析

Mohamed Youssef
アジレントアプリケーションサイエンティスト、RapidFire

Vaughn P. Miller
アジレントアプリケーションマネージャ、RapidFire

従来、臨床研究における抗てんかん薬の定量分析の手法としては、HPLC、LC/MS/MS などの技術が用いられています。スループットを高め、分析時間を短縮する必要性から、従来の技術における改善要件が増大しています。スループットに関する問題を解消するのが、Agilent RapidFire ハイスループット質量分析システムです。このシステムでは、超高速固相抽出 (SPE) MS/MS 分析が可能で、1サンプルあたりの分析時間は 15 秒未満が可能です。

分析に使用した 6 種類の抗てんかん薬の化学構造。1 分あたり 4 サンプルを超えるスループットが得られることが実証されました。

図 1.分析に使用した 6 種類の抗てんかん薬の化学構造。1 分あたり 4 サンプルを超えるスループットが得られることが実証されました。(図を拡大)

分析に使用した 6 種類の抗てんかん薬の化学構造。1 分あたり 4 サンプルを超えるスループットが得られることが実証されました。

図 1.分析に使用した 6 種類の抗てんかん薬の化学構造。1 分あたり 4 サンプルを超える
スループットが得られることが実証されました。

ヒト血清中の 6 種類の抗てんかん薬 (AED) の同時分析に対応できる、超高速 SPE/MS/MS メソッドを開発しました。分析対象の AED を図 1 に示しています。LC/MS/MS および HPLC アッセイと比べて、分析時間を大幅に短縮しながら、同様の分析結果を得ることができました。

驚くべきスピード、正確な分析結果

単純なタンパク質沈殿手法に続いて、RapidFire SPE/MS/MS による希釈注入分析をおこなえば、1~100 µg/mL の直線範囲でヒト血清中の分析対象物を正確かつ精密に分析することが可能です。RapidFire SPE/MS/MS システムを用いたサンプル分析の所要時間は、1 サンプルあたり 14 秒という驚くべき短さでした。この超高速メソッドは、効率的な定量ワークフローに必要なスピードと精度を兼ね備えています。

この研究で用いた Agilent RapidFire/MS/MS システムは、以下のモジュールで構成されています。Agilent RapidFire 300Agilent 6460 トリプル四重極 LC/MS システム、Agilent MassHunter Workstation Triple Quadrupole Acquisition ソフトウェア (B.04.01) および Qualitative Analysis (B.04.00)、Quantitative Analysis (B.04.00)、RapidFire Acquisition ソフトウェア。

すべての実験において、6 種類すべての AED と内標準の定性イオンと定量イオンを同時にモニタリングしました。Agilent MassHunter Workstation Quantitative Analysis により、クオリファイアイオン比を自動的に計算しました。アプリケーションノート 5991-2292EN に、RapidFire/MS/MS 条件を記載しています。

6 種類の AED の典型的な検量線。注入間隔はわずか 14 秒です。

図 2.6 種類の AED の典型的な検量線。注入間隔はわずか 14 秒です。(図を拡大)

6 種類の AED の典型的な検量線。注入間隔はわずか 14 秒です。

図 2.6 種類の AED の典型的な検量線。注入間隔はわずか 14 秒です。

6 種類の AED の典型的な検量線。直線範囲は 1~100 mcg/mL です。黒丸は較正用標準試料、青い三角は QC 標準試料を示しています。

図 3. 6 種類の AED の典型的な検量線。直線範囲は 1~100 mcg/mL です。黒丸は較正用標準試料、青い三角は QC 標準試料を示しています。(図を拡大)

図 2 の拡大図。
 

図 3. 6 種類の AED の典型的な検量線。直線範囲は 1~100 mcg/mL です。黒丸は較正用標準試料、青い三角は QC 標準試料を示しています。

シンプルで迅速なサンプル前処理

サンプル前処理にあたっては、薬剤の含まれていないヒト血清に AED を添加したのち、メタノールとアセトニトリルを用いてタンパク質沈殿をおこないました。内標準を含む水でサンプルを 50 倍に希釈したのち、RapidFire/MS/MS システムと逆相 C18 カートリッジを用いた SPE/MS/MS により分析しました (図 2)。

高品質の定量分析

キャリーオーバーを検証するために、すべての分析対象物について、もっとも濃度の高い較正用標準試料の直後にマトリックスブランクを分析しました。いずれの分析対象物についても、深刻なキャリーオーバーは見られませんでした。血清に各 AED を添加して得られた検量線は、測定範囲 (1~100 mcg/mL) において優れた直線性が得られ、R2 値は 0.995 を上回りました (図 3)。

各 AED の QC 標準試料を数日間連続で分析し、日内および日間精度と正確性を評価しました。精度は 7 % 以内で、測定範囲内の濃度における変動係数は、いずれも 7 % 未満でした。

血清に添加した 6 種類の AED のすべてについて、2000 回を超える測定を実施し、メソッドの再現性を評価しました。いずれの分析対象物についても、機器のレスポンスは安定が保たれ、変動係数は 1.6~7 % でした。これらの結果は、RapidFire システムの堅牢性、SPE カートリッジの長寿命、このアッセイにおける分析対象物の定量の一貫性を示しています。

迅速で正確、精密なメソッド

タンパク質沈殿と希釈および注入によるサンプル前処理に続いて、Agilent RapidFire/MS/MS により高速分析をおこなうこの手法は、ヒト血清中の抗てんかん薬のスクリーニングおよび定量に対応できる、きわめて効率的なメソッドです。このシンプルなプロトコルを用いて、血清中の 6 種類の薬剤を迅速かつ正確、精密に測定することができました。

サンプルあたりの分析時間はわずか 14 秒で、1 時間あたりでは、250 サンプル以上を分析することができます。分析結果は LC/MS/MS と同等ですが、一般的な LC/MS/MS メソッドに比べて、スピードと効率が 10 倍に向上します。

効率の向上とコストの削減

このアプリケーションは、きわめて経験豊富な顧客と協力して開発したものです。その顧客は、いまでは同様の複数のメソッドの有効性を確認し、臨床研究サンプルのルーチン分析に RapidFire/MS/MS を使用しています。この臨床研究ラボが手に入れた RapidFire/MS のおもな利点は、以下のとおりです。

  • 従来の LC/MS/MS 分析に匹敵する分析結果
  • MSベースの分析時間が 10 分の 1 に短縮
  • 分析結果が得られるまでの時間が短縮
  • 年間 20 万ドル以上のコスト削減

血清中 AED のスクリーニングおよび定量に対応できる、きわめて効率の良いメソッドを必要としている方は、アプリケーションノート 5991-2292EN の完全版をご覧ください。また、こちらのビデオでは、主要な創薬、代謝研究、臨床研究アプリケーションにおける Agilent RapidFire 技術による分析時間とコストの削減に関する詳細をご覧いただけます。