Access Agilent 2013年8月号

Agilent Cary 7000 多角度可変自動測定分光光度計 (UMS) を用いた ディスプレイ材料の光学特性評価

Travis Burt
アジレントProduct マネージャ Cary UV-Vis-NIR

Huang ChuanXu
アジレント分光光度計 Productスペシャリスト

Andy Jiang
アジレント分光光度計 Productスペシャリスト

日常使用するディスプレイは、サイズ、重量、消費電力が小さくなり、モバイル性が向上するにつれ、普及率を伸ばし続けています。産業用、家庭用の幅広い用途で発光ダイオード (LED) や液晶ディスプレイ (LCD) の技術を用いた光ディスプレイが使用されています。こうした技術の進歩により、新規材料の光学特性を評価することは非常に重要です。Agilent Cary 7000 多角度可変自動測定分光光度計 (UMS) は、光ディスプレイに使用される新規材料の光学特性を高精度に評価するのに最適な分光光度計です。

ディスプレイには、全表示領域を照らすためのバックライト、ビューワに表示する際の発光タイミングや色をコントロールするための液晶が使用されています。バックライトに使用される固体光導波路の多くは、光学的に透明なポリマー材料でできています。反射材は固体光導波路の光学および電気効率を高めます。

高効率で光を導くため、光導波路で使用されるバックライト用反射材は高い反射率であることが必要です。光導波路を多重 (数十回) 反射して通る際、反射率の低い反射材では使用できる光がすぐに消滅してしまうため、反射率の目標値は通常 98 %超としています。光学多層膜コーティングにより薄い反射膜の反射率が高くなり、表面が光学活性になります。アセンブリ前の反射材の正確な光学特性評価 (QA/QC) では、反射率 (%R) や透過率 (%T) の値が正しく測光されるよう、光学活性を慎重に考慮する必要があります。

絶対反射率と透過率を測定する Cary 7000 UMS の図解。検出器の直前に偏光解消板を取り付けることができます。

図 1.絶対反射率と透過率を測定する Cary 7000 UMS の図解。検出器の直前に偏光解消板を取り付けることができます。
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絶対反射率と透過率を測定する Cary 7000 UMS の図解。検出器の直前に偏光解消板を取り付けることができます。

図 1.絶対反射率と透過率を測定する Cary 7000 UMS の図解。
検出器の直前に偏光解消板を取り付けることができます。

透過率と反射率を両方測定

アジレントの新製品、自動化された UV-Vis-NIR 分光光度計の Agilent Cary 7000 UMS を使用して、光学活性反射材のサンプルを測定しました。UMS はさまざまな入射角度で透過率や絶対反射率の測定を、試料の着脱をせずに自動で行うことができます。直線偏光をサンプルに入射することで透過率の測定ができ、サンプルを通り入射平面に垂直な軸の周りで検出器アセンブリを回転することで反射率の測定ができます。(図 1.参照)サンプルへの入射光は s または p 偏光が使用可能です。

用意したサンプルの面積は約 50 平方mm、厚さは約 100 µm でした。Cary 7000 UMS で測定する前にサンプルが光学活性であることを示すため、サンプルに S 偏光の白色可視光を斜めに当て、サンプルからの正反射光をもう一つの偏光板を通して目視しました。反射光の強度が最大となったのは、観察用の偏光板を S 偏光 (0°) の位置から数°回転させたところでした。

入射 S 偏光と目視で確認した光の角度差は、旋光性、すなわち光学活性であることを示しています。この実験により、分光光度測定を行う際は検出器の前に偏光解消板を入れる必要があることが確認できました。

入射角 70 °(赤色) 、60 °(緑色)、45 °(茶色)、30 °(黒色)、s 偏光でのバックライト材料の反射率。

図 2. 入射角 70 °(赤色) 、60 °(緑色)、45 °(茶色)、30 °(黒色)、s 偏光でのバックライト材料の反射率。(図を拡大)

入射角 70 °(赤色) 、60 °(緑色)、45 °(茶色)、30 °(黒色)、s 偏光でのバックライト材料の反射率。

図 2.入射角 70 °(赤色) 、60 °(緑色)、45 °(茶色)、30 °(黒色)、s 偏光でのバックライト材料の反射率。

図 2 の拡大図。

図 3. 図 2 の拡大図。(図を拡大)

図 2 の拡大図。
 

図 3. 図 2 の拡大図。

サンプル処理時間が大幅に短縮

検出器の前に偏光解消板を配置することで、サンプルにより反射光に加えられた旋光性を補正することができます。検出器前の偏光解消板とサンプル前の偏光板は、各サンプルの測定の前に行う 1 回のベースライン測定に含まれています。Cary 7000 UMS は、既知の偏光状態であれば、1 度だけのベースライン測定であらゆる入射角度の反射率 (%R) を測定することができます。この独自の機能により、大幅に分析時間を短縮し、サンプルスループットを高めることができます。

反射率のデータは、70、60、45、30 °の 4 つの入射角 (AOI) で、300 ~ 1200 nm のスペクトル範囲で測定しました。(図 2)図 3 ではっきりと示されているように、サンプルの反射率は設計仕様の通り、可視波長領域 (400 ~ 800 nm) にわたり 98 %超であることが確認できました。

対象波長領域 (400 ~ 800 nm) においては幅広い入射角度にわたり一様な反射率を示し、対象波長領域外 (> 800 nm) においては角度依存性を示すことが、多角度測定で明らかになりました。60 °を超える入射角 では、600 ~ 700 nm および 800 ~ 900 nm の領域で反射率 (%R) の低下が見られました。これらの角度での反射率 (%R) プロファイルのスペクトル依存性は高入射角で色の変化として現れることが予想されます。

絶対反射率 (偏光解消板あり/なし)。偏光解消板を使用しない場合は、反射率 (%R) の値が疑似的に 100 %を超えます。

図 4. 絶対反射率 (偏光解消板あり/なし)。偏光解消板を使用しない場合は、反射率 (%R) の値が疑似的に 100 %を超えます。
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絶対反射率 (偏光解消板あり/なし)。偏光解消板を使用しない場合は、反射率 (%R) の値が疑似的に 100 %を超えます。

図 4. 絶対反射率 (偏光解消板あり/なし)。偏光解消板を使用しない場合は、
反射率 (%R) の値が疑似的に 100 %を超えます。

偏光解消板で得られる正確な結果

図 4 では、検出器の直前で偏光を解消することの重要性を示しています。偏光解消板を使用しない場合は、サンプルが光学活性であることにより反射率 (%R) の値が疑似的に 100 %を超えます。偏光解消板は光の旋光性を補正し、正確な値を提供します。

Agilent Cary 7000 UMS は、光学ディスプレイで使用される次世代材料の光学特性を測定するための有用なツールです。サンプル上にコーティングされた特定のポリマー膜による旋光性は、直線偏光の入射光を使用し、検出器前に偏光解消板を配置することで正確に測定することができます。

先進材料アプリケーション向けの高品質の分光光度計は、Agilent Cary 7000 多角度可変自動測定分光光度計にお任せください。新しい Cary 7000 UMS の動作については、こちらのビデオをご覧ください